文○税理士 今村仁
「中小企業は今こそ新事業活動促進法の承認を受けるべし」と題して、その承認メリットを前々回は「税金面」、前回は「融資面」において詳細に解説した。
今回は、その承認を受けるための手続き面について、詳しくみていくこととする。まず大きな流れは下の図を参照してほしい。
| 新事業活動促進法承認タイムスケジュール | ![]() |
|---|
このように承認が降りるまでに大体3ケ月ほどかかるのだが、自社で手続きをされるということであれば原則費用はかからない。ただし費用がかからないとはいえ、申請書類を作りこんでいくのは結構大変な作業で、何かのついで感覚では最終承認を受けるところまでたどりつかないかもしれない。実際私の知り合いの方でも、途中で承認申請を挫折されている方がいる。
しかし、かといって、過度に心配する必要はない。今から説明する3つのツボに重点をおけば、コンサルタントに頼まなくてもご自身でも承認を受けることは可能だ(事業計画における数字の部分についてのみ顧問税理士さんなどに頼んだほうが良い場合がある)。
それでは、具体的に承認手続きについて順を追ってみていくこととする。
最初は、自社が新事業活動促進法の承認を受けることができる対象会社かどうかを確認するところから始まる。これについては、表の通りである。
IT推進アドバイザー派遣事業の利用条件
| 主たる事業を営んでいる業種 (平成5年10月日本標準産業分類第10回改定分類による) | 資本金基準 (資本の額又は出資の総額) | 従業員基準 (常時使用する従業員の数) |
|
|---|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業その他の業種(下記以外) | 3億円以下 | 300人以下 | |
| ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円以下 | 900人以下 | |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 | |
| サービス業(下記以外) | 5000万円以下 | 100人以下 | |
| ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 | |
| 旅館業 | 5000万円以下 | 200人以下 | |
| 小売業 | 5000万円以下 | 50人以下 | |
(注1)常時使用する従業員には、事業主、法人の役員、臨時の従業員を含まない。
(注2)資本金基準又は従業員基準のいずれかを満たせば対象企業となる。
主たる事業の内容により基準が異なるので注意してほしい。そして、資本金基準と従業員基準はどちらか一方が該当すれば、対象会社となるのでご留意頂きたい。
もう1つ申請書類を作成する前にしておかないといけないのが、法律名にもあるように、承認予定の会社が「新事業活動」を行なう必要があることだ。これが1つ目の承認のツボだ。
「新事業活動」とは、次の4つの「新たな取り組み」をいう。
ただしこれはあまり難しく考える必要はない。この新事業活動とは、自社にとって「新たな取り組み」であれば構わないということになっている。たとえ、その新たな活動がすでに他の事業者で採用されていても構わないのである。ただし、
を判断し、「それぞれについてすでに相当程度普及していると認められる場合には、承認対象外となる」(基本方針 第2 経営革新1(1))のでご注意頂きたい。
対象会社に該当し新事業活動を行なうのであれば、次に中小企業庁のWebサイトにある「経営革新計画申請様式」にのっとって、経営革新計画を作成していこう。この経営革新計画は、これからやろうとしている経営革新の目標やその内容を文章にするところから始まる。これはそれほど難しくはない。
実は大変なのは、そのあとの数字をともなう経営計画及び資金計画のところだ(2つ目の承認のツボ)。これは承認を受ける上での最大の山場かもしれない。守らなければならないのは、以下の表にある基準である。
| 計画終了時 | 「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」の伸び率 | 「経常利益」の伸び率 | ||
|---|---|---|---|---|
| 年率 | 期間合計 | 年率 | 期間合計 | |
| 3年計画の場合 | 3%以上 | 9%以上 | 1%以上 | 3%以上 | 4年計画の場合 | 3%以上 | 12%以上 | 1%以上 | 4%以上 | 5年計画の場合 | 3%以上 | 15%以上 | 1%以上 | 5%以上 |
(注1)付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
(注2)経常利益=営業利益―営業外利益(支払利息等)
※通常の経常利益とは異なることに注意。
つまり3年計画で、計画終了時に「付加価値額」又は「1人当たり付加価値額」を9%以上、5年計画で15%以上に、また「経常利益」を3年計画で3%以上、5年計画で5%以上にそれぞれ向上させる数値目標を立てる必要がある。国は、これを数字をともなう「経営の質の向上」であるととらえていて、そういった中小企業が増えれば日本が活性化すると考えているようだ。ただしこの部分は結構難解なため、顧問の税理士さんなどに協力を仰いでみるのもいいかもしれない。
そしていよいよ新事業活動促進法の承認申請をすることになる。まず申請先であるが、以下の図をご覧いただきたい。
![]() |
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原則、本社所在地を管轄する都道府県となっている。
次に、申請書類であるが、これは以下の表をご覧頂きたい。
| 申請書類 | |
|---|---|
| 1 | 様式第6(変更申請の場合は、様式第7)、別表1~7の正本(1通) |
| 2 | 1の写し(1通) |
| 3 | 中小企業者等の定款 |
| 4 | 中小企業者の最近2期間の事業報告書、貸借対照表、損益計算書(これらがない場合には、最近1年間の事業内容の概要を記載した書類) |
(注1)都道府県によっては、上記1~4申請書類の他、提出する資料等がある場合があるので、提出する都道府県にご確認頂きたい。
上記の「経営革新計画申請様式」等を原本及びコピーと2通用意し、それに定款や2期分の決算書をつけるだけである。
そして申請書を申請先に提出すると、次に担当の役所の方がヒアリングに訪れることになる。そして社長や経理担当者などに新事業の概要や数字の裏づけなどのヒアリングをされる。実はこの部分結構大変である。ヒアリングの後も何度もメールや電話でやり取りすることが多い。しかしこれは事業計画の実現可能性を検討してくれているのだから、前向きにとらえて対応することが望ましい。結構大変な作業になる場合が多いので、これを3つ目の承認のツボとしておく。
ここまでくると、いよいよ経営革新審査会による審査がおこなわれ、そこで認められれば、ついに「新事業活動促進法の承認」を受けることとなる。
大体ここまでに3ケ月ぐらいの期間が必要となるが、前々回見たように、承認メリットはいくつもあるので、ぜひ承認メリットをいかして今後の事業活動に臨まれることを期待する。
今日の話が少しでも読者の皆さんのお役に立てたのであれば幸いである。
監修者紹介
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今村 仁(Hitoshi Imamura) 今村仁税理士事務所は、ベンチャー・起業家・中小企業の参謀役税理士(SZ)として、会社設立から株式公開支援まで幅広くサポートしています。大阪・京都・神戸及び東京を中心に活動しています。 |
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