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営業力は“情報化”でどこまで高まるか?
Part1●営業支援システムの“価値”と“限界”を探る(2/2)

質問:
営業支援システムの導入はいかに進めるべきなのか?

SFAは営業部門のみならず
全社的な業務改革ツール

 営業力を強化するためには、まず、顧客のニーズを踏まえて社内のあらゆる業務を進められるよう、業務の仕組みを変えることが重要というのが白潟氏の考えだ。

「マーケティングとは、顧客の要求からあらゆる業務を始めること。しかしこれが実践されておらず、供給者側の仮説にのっとり製品やサービスを開発したり、PRを実施したりといった企業が少なくない。そこで、営業力を強化したいと考えるのであれば、まず“コキャスタ”(顧客の要求からスタートする)を社内に浸透させる必要がある」(白潟氏)

 コキャスタの考えに従えば、必然的に社内のあらゆる部門が営業部門で収集される情報に着目し、営業部門との情報のやりとりが活性化される。加えて、コキャスタを実践するための業務改革も進むとともに、営業部門のみならず他部門で必要とされる情報も明確となる。この段階に至った時点で、初めて営業支援システムの導入に乗り出すというわけだ。

 これに対して長尾氏は、全社レベルで顧客情報の活用を勧めるための業務改革の必要性については同様に認識しているものの、営業支援システムを業務改革の手段と位置付けている点で白潟氏と大きく立場が異なる。つまり、システムの導入と業務改革を同時に進めようというわけだ。

 もっとも、全社レベルの業務改革を1度に実施することは現実的には極めて困難。そこで、まずは営業部門での利用を軌道に乗せ、その後、他部門との情報共有を推進するという手順を踏むことになる。その際に注意すべきなのが、必ずトップマネジメントを巻き込んで導入を進めることだという。

「営業スタッフに情報入力を徹底させるだけでも非常に難しい。加えて、さまざまな部門の業務や意識を変革するにあたっては、さまざまな立場から反対の意見が噴出するであろうことは容易に想像できる。このような逆風の中でプロジェクトを進めるためには、トップマネジメントの支援が不可欠と言える」(長尾氏)

情報システム担当は
トップと現場のコーディネーター

 前述したように単に営業支援システムを導入しただけでは、日報を電子化したにすぎない。そのことを踏まえ、長尾氏はシステムの導入を機に業務改革を進めるために、まずは次のような具体策を実施すべきと述べる。

「営業スタッフの意識を変えるためにも、“次にどうするのか”の観点から、営業支援システムに情報を入力させるべき。たとえば、従来“定期訪問に行きます”と記入されていたものを、“定期訪問に行って何をするのか”まで書かせる。これにより、営業スタッフは顧客の反応を入力せざるを得なくなる。また、次にどうするかが分かることで、営業マネジャーはコーチングの手法で助言を行ないやすくなる」(長尾氏)

 紙ベースの営業日報では、営業スタッフの1日の行動は把握できたものの、営業部門として個々の顧客に対してどのような提案活動を行なってきたのかを履歴として把握することが困難だった。しかし、営業支援システムに各種の受注見込み情報を一元的に蓄積することで、個々の顧客に対するこれまでの営業活動履歴を管理でき、次の提案活動に反映させやすくなる。

 また、営業部門だけでは解決できない問題があった場合には、他部門に対応を依頼できるようにすることで、営業スタッフの情報入力に対するモチベーションを向上させることができ、他部門を巻き込んだ業務改善につなげることが可能になると指摘する。

「営業スタッフが入力した情報は、営業マネジャーのみならず自身の営業活動にとっても極めて有効なもの。そのことを気付かせるために、トップマネジメントの支援を受けつつ、情報入力を何としても続けさせる必要がある。その過程では、場合によっては現場の意見を汲み取ることも必要。情報システム担当者は、入力する情報の種類と、入力/確認するための環境をいかに整備すればよいのかを明確にするためのコーディネート役になることが求められる」(長尾氏)

 長尾氏によると、営業部門の営業支援システムに対する意識を変えるためには3年ほど必要とされる。その分、SFAの導入効果がすぐには表れないことを、トップマネジメントに説明しておくことも必要だろう。

回答:まずは営業部内で情報活用の仕組みを整え他部門との連携を図るべし

営業マネジャーの本来の役割

 営業マネジャーの本来の役割は、自分の部下の数より1人多い分の売上をチームとして上げることとされる。このハードルを乗り越えるために、営業マネジャーには部下の能力を引き出す能力が求められる。しかし、営業マネジャーは優秀な営業スタッフであったために、何気ない会話で部下のやる気を削ぐ傾向があるという。

「自分の営業手法に自信を持っているあまり、部下に自分の考えを押し付けてしまいがち。それによって部下がやる気を失い、生産性を下げてしまうケースが少なくない」(白潟氏)

 このような状況を回避するためのちょっとしたコツとして、白潟氏が挙げるのが、部下に対して「なんで」と言わないことだ。

「“なんで○○しないのか”と部下に命令しても、部下はやる気をなくすだけ。代わりに、1年の最初の1カ月は自由にやらしてみる。多くの場合、スキルがそれほど高くないことから、目標を達成できないはず。そこで初めて、“こんな手法で営業してはどうか”と助言をすることで、素直に営業マネジャーの意見に耳を傾けてくれるはずだ」

質問:
営業支援システムはどこに着目し選択するべきか?

営業スタッフに情報の
フィードバックが可能か?

 現在、国内外を問わず、さまざまなベンダーが営業支援システムを提供している。長尾氏は、それらの中から製品を選択する際のポイントとして、現場に対してどれほど情報をフィードバックできるかを重視すべきと強調する。

「米国で作られた製品をそのまま日本向けにローカライズした製品は、その多くが情報をサマリーとして把握できる点は優れており、営業マネジャーや本社の企画部門での利便性は高い。しかし、営業スタッフに対してコメントを返す機能が乏しく、現場にとって利用するメリットが乏しいことから利用を根付かせにくい面がある」(長尾氏)

 具体的には、これまで用いられてきた営業日報形式の情報入力画面の有無と、そこへの情報入力を通じ、顧客ごとのコンタクト履歴が作成できるか否かが重要だ。日報形式であれば、営業スタッフそれぞれの一日の行動を把握しやすく、行動に対するフィードバックも入力しやすい。また、コンタクト履歴を基に、1案件ごとの活動方針を検討することも可能になる。

 一方で、営業支援システムは販売支援を目的にSCMやERPなどの他システムとの連携が進められ、現在、SFAはCRMシステムの機能の一部として取り込まれつつある。長尾氏は、このような流れを非常に好意的に受け止めているという。

「このような流れはいわば必然とでも言うべきもの。特に中堅・中小企業は大企業よりも営業活動に工夫を凝らさなくてはならない分、収集できる情報の質も高く、それらを共有することで見込められるメリットも大きいと考えられる。そこで、他システムとのデータ連携が容易に行なえるかどうかも確認すべき」(長尾氏)

 加えて、長尾氏によると製品だけに注目するだけでなく、導入時に十分なコンサルティングを受けられるかどうかにも配慮した方がよいという。営業支援システムの導入にあたって、営業部門の業務改革を実施する必要があり、第三者に客観的に既存の業務プロセスをチェックしてもらう方が、改善点を見つけ出しやすいからだ。

 もっとも、どんなに注意を払って製品を選択し、運用にまでこぎつけたとしても、営業支援システムの効果が目に見えるかたち現れにくい業種・業態があることも忘れてはならない。

「建設など、1案件あたりの金額が大きい業種では、どのような経緯を経て受注にまでこぎつけたのかが把握できる点で、導入の成果を2~3カ月で実感することができる。ただし、ルート営業で1件あたりの金額が少ない業種でも、新製品の開発などに顧客情報を生かすことができるのには変わりはない」

回答:
営業スタッフへの情報のフィードバックと他システムとの連携がポイントに

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