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営業力は“情報化”でどこまで高まるか?
Part1●営業支援システムの“価値”と“限界”を探る
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文●ロビンソン・岡崎勝己

取材協力●NIコンサルティング 代表取締役 長尾一洋氏

トーマツイノベーション 専務取締役

コンサルティング本部長 白潟敏朗氏

2006年11月6日

質問:
営業支援システムの効果を引き出すための課題とは?

中堅・中小企業でも盛り上がる
営業支援システムへのニーズ

 営業支援システム(Sales Force Automation)はこれまで大企業での利用が中心だったが、ここにきて中堅・中小企業でも導入機運が高まり始めた。ガートナー・ジャパンが今年6月に実施した調査発表によると、従業員数が300~999名の中堅企業において、今後3年以内に新規導入を予定しているアプリケーションとして、ERP(8.2%)や経営情報管理(7.7%)などのアプリケーションを抑え、SFA/営業支援システム(9.7%)がトップに挙がっている。NIコンサルティングで代表取締役を務める長尾一洋氏はこの背景について、「中堅・中小企業でもPCが普及したことに加え、ADSLなどネットワーク環境が整備され、ASPなどの方式で初期投資を抑えつつ利用環境を整備することが可能になった。加えて、製品やサービスの差別化がさらに難しくなる状況に対応するべく、中小・中堅企業でも営業力を高めるための情報化に対する意識が急速に高まりつつある」と説明する。

NIコンサルティング 代表取締役 長尾一洋氏
NIコンサルティング 代表取締役 長尾一洋氏

 だが、営業支援システムを導入するにあたって、解決すべき課題は少なくない。代表的なものが、営業支援システムの利用をスタッフに徹底させる困難さだ。現に、専任の情報システムスタッフを配置している多くの大企業でも、営業支援システムが導入されながら結果的に使われなくなってしまうことは珍しくない。また、営業支援システムの導入が、必ずしも営業力の強化、すなわち売上の向上につながらないことも指摘されている。

営業の役割が
“販売”から“情報収集”に

 では、このような問題はなぜ発生してしまうのか。その原因として長尾氏が指摘するのが、社員の営業支援システムに対する認識不足だ。

「モノが売れにくくなっている中で、営業スタッフの役割が、モノを売ることから最適な提案活動を行なうために情報を収集することにシフトしつつある。必然的に、営業支援システムもそのために利用してこそ真価を発揮する。しかし、このことがあまり認知されておらず、実際は単に営業スタッフの行動管理ツールとして用いられているケースが少なくない。その結果、営業スタッフにとって営業支援システムを利用するメリットがほとんどなく、情報の入力が進まないという事態を招いている」(長尾氏)

 また、従来からの業務手法を変えないまま営業支援システムの導入に乗り出す企業が多いことにも苦言を呈す。

 多くの企業では、営業日報を参考にマネージャが個々の営業スタッフに指示を出したり、アドバイスを行なったりという活動がこれまでも日常的に行なわれてきた。この延長線上で営業支援システムを考えているというわけだ。「営業支援システムの導入にあたっては、既存の営業活動における問題点を解決する必要がある。そうでなければ、単に日報を電子化したにすぎず、営業力の向上を見込むことはできない」(長尾氏)

 一方で、中堅・中小企業に対して各種のコンサルティングを行なっているトーマツイノベーションの専務取締役コンサルティング本部長である白潟敏朗氏は、営業支援システムの導入にまつわる根本的な問題点を、次のように力説する。

「ひと口に“営業力が弱い”といっても、その原因は多岐にわたる。その原因を突き止め、改善を図ることが営業力強化に向けた第一歩。ITは単なるツールにすぎず、人手でさばききれないほど膨大な作業を代替させるものにすぎない。紙の日報でうまく回っていない業務を電子化しても、営業力を強化できるわけはない」

トーマツイノベーション 専務取締役 コンサルティング本部長 白潟敏朗氏
トーマツイノベーション 専務取締役 コンサルティング本部長 白潟敏朗氏

 長尾氏、白潟氏の両氏が指摘する問題点は、現状の営業活動における情報共有や業務プロセスの仕組みに問題があるとの認識に立脚している。長尾氏は営業支援システムの導入を機に、白潟氏は導入前に営業活動の改善を図るという異なるアプローチを採っているが、SFAの導入にあたっては、IT面の整備のみならず、その見直しも欠かせないという部分では一致している。

回答:
現状の営業活動の課題を洗い出し、その後の対応につなげるべし

営業力を構成する8つの要素

 売上が伸び悩む原因として、営業スタッフのスキル不足を挙げる経営者や営業責任者が少なくない。しかし、白潟氏はそのような状況に警鐘を鳴らす。

「営業スキルは営業力を構成する要素の1つ。商品が売れないのは営業に問題があるとの考えを早急に改めるべきだ」(白潟氏)

 同氏によると、売上不振の問題は8つの要素で構成されるという。具体的には「既存事業の問題」「既存商品の問題」「引き合い・集客の問題」「営業・販売の問題」「仕組み・人の問題」「顧客ロイヤリティの問題」「他社との違いの問題」「セールスターゲットの問題」だ。

「たとえば、商品ライフサイクルで衰退期に入っている商品は、いくら時間を費やしてもなかなか受注にまで結びつけることはできない。また顧客の嗜好の多様化が進む中で、よい商品を欲している顧客に適切に提案することも求められる。一方で、トップ・セールスマンの売上の7割以上は、リピート・オーダーと既存顧客から紹介してもらった新規顧客からのオーダーで占められている。そこで、よい商品を提供することで顧客満足度、さらに顧客ロイヤリティを高めなければならない」(白潟氏)

 つまり、この8要素をすべて満たすことができて、初めて多くの見込み客を獲得できるとともに、その後継続して発注してもらうことが可能になるわけだ。そして、白潟氏はそのために、営業活動を通じて収集した顧客情報の活用を可能にする社内の仕組み作りが不可欠と強調する。

「経営環境の変化がこれほど早くなっていることから、売上が伸びない原因が3カ月後には変わってしまうことも少なくない。それにいち早く対応するため、絶えず状況を監視できる仕組みが不可欠。営業力が弱い原因は、仕組みを動かす人間側にあることを肝に銘じておくべきだ」(白潟氏)

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営業支援システムの導入はいかに進めるべきなのか?

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