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IT化で経営革新!
注目の支援策「中小企業新事業活動促進法」とは?

監修●株式会社ディセンター代表取締役 折原浩

http://www.decenter-jp.com/

 行政が行なっている中堅・中小企業に向けた支援策は数多く存在するが、2005年4月に施行された「中小企業新事業活動促進法」は、従来の支援策とは一線を画している。行政のサポートを受けたいと思っている中小企業にとって、とりわけITの導入などで経営革新を図りたいケースでは見逃せないものとなっている。

 この法律は「国の経済活動の基盤である中小企業が、創業や経営革新など新しいことにチャレンジし、創意ある向上発展をしていくことを、国が支援する」ことを目的としている。この法律が他の支援策ともっとも大きく違うのは、経営革新のためのビジネスプランを企業に求め、その評価によって承認をしているという部分だ。単に業種や企業の規模、といった条件で支援する企業を募るのではなく、経営を革新したいという「やる気」とそれを実現するための明確な「計画」を持つ中小企業に承認というお墨付きを与える。そして、それらの企業に対して、さまざまな支援策を受ける資格を与えるだけでなく、計画達成のための行政からの支援や専門家による指導など手厚いサポートを受けられるようになる。

ビジネスプランでの評価

 この法律に基づく支援を行なうにあたって、国が中小企業に対してビジネスプランを求めるということは、承認の有無に関わらず、多くの中小企業がビジネスプランを書くことを期待しているということでもある。企業経営にはビジネスプランが不可欠だということがいわれて久しいが、多くの中小企業ではビジネスプランを活用した経営を行なえていないという実態がある。そこで国はこの法律の申請書という形で、ビジネスプランの雛形を作り、申請した各企業に対して、ビジネスプランの評価やアドバイスを行なっている。

 ビジネスプラン作りだけが企業を発展させる鍵ではないが、中小企業庁の報告では、この法律に沿ってビジネスプランを活用し経営革新に取り組んでいる企業と、そうでない企業では売上高の伸びで10%以上の違いを見せているという。つまり、国はこの法律を通して、ビジネスプランを持つことの優位性とそれを作る技術を中小企業に伝えたかったともいえる。この法の承認を得て、支援を受けることのメリットも大きいが、中小企業が申請を行なうために申請書を書き、ビジネスプランという形で自分の会社が進むべき方向を明らかにするだけでも、経営革新の第一歩となり、大きなメリットがあるのだ。

求められるビジネスプラン

 この法の承認を得るためのビジネスプランに求められているのは、ビジネスプランの内容面で「付加価値」「革新性」という2つのポイントがあり、さらに 経営革新の結果として、「付加価値額」「経常利益」という2つを数値目標として向上させる必要がある。

 付加価値とは、経営革新の結果に開発や生産できたのものが、きちんと売れる価値のあるものであるかということ。そしてその具体的な販路や販売計画までビジネスプランに含んでいることも重要である。ビジネスプラン達成のための実現性も含めて審査されるため、背伸びをしすぎた絵空事のビジネスプランでは承認を得るのは難しい。

 また、革新性とは同業他社や自社がこれまで試みてこなかった画期的な方法による経営革新をしているかということになる。すでに当たり前に行なわれている成功事例はいらないということだろう。この法の承認を得るに当たってITが武器になるのは、この部分である。新しいことへのチャレンジを求められてはいるが、それは必ずしも画期的な新技術や特許までのレベルは求められない。遂行するビジネスプランの中で、ITを使った業務改善案や経費節約などの企業としての新たな取り組みを盛り込めば、承認への大きな武器となる。

 付加価値額とは営業利益と減価償却費、人件費を合計したものである。経営革新のためのビジネスプランが利益を出せるものであり(営業利益)、新たな投資を伴うものであり(減価償却費)、さらに新たな雇用を生み出すもの(人件費)でなくてはならない。たとえ利益が上がるものでも、人件費抑制や設備縮小といったリストラ型の経営革新は求めていないということになる。ちなみに、承認を得るために提出するビジネスプランは3~5年の間で経営革新期間を定めておく必要があるが、付加価値額の場合、3年計画で9%以上、4年計画で12%以上、5年計画で15%以上伸ばせるような計画であることが必要である。

 また、この数値目標だが、これは1年に3%向上する地道なものを繰り返すビジネスプランでは承認を得られないことが多い。計画した期間の間に目標値を達成するために、初期には十分な投資や雇用を行ない、最終年度に売り上げや利益を向上させるといったダイナミックな経営革新計画が必要になる。

 経常利益は、3年計画で3%以上、4年計画で4%以上、5年計画で5%以上の伸びがあることが求められている。付加価値額に加えて、「経常利益」の向上が求められるのは、上記のような条件を満たした結果、ちゃんと利益を出せる体質の企業になれるのかどうかの判断に使われている。雇用と投資だけを伸ばして、付加価値額を上げてもダメだということになる。

承認を得るメリットとは?

 中小企業新事業活動促進法の承認を得た企業に対して、以下のような支援策が用意されている。

1.政府系金融機関による低利融資制度
 国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫という政府系金融機関から低利での融資が受けられる。貸付限度額は7億2000万円(国民生活金融公庫の場合、7200万円)。期間は設備資金の場合、15年(うち据え置き期間2年間)、運転資金の場合、5年(うち据え置き期間1年)。承認企業の多くがこの制度を利用している。
2.信用保証の特例
 中小企業が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が債務を保証する制度で、承認企業は通常の保証限度額と同額の別枠限度額が設けられる(普通保証の場合、通常の限度額2億円に加え、別枠の2億円が保証される)。また、新事業開拓保証では通常の2億円から、3億円に引き上げられる。ただし、保証額が引き上げられるだけで、金融機関の審査によって、その最大限の融資が受けられるわけではない。
3.経営革新補助金
 経営革新補助金とは、新商品や新技術を開発するための動向調査費や開発費・設計費、改良・試作費、販路開拓のための展示会等への出席や広報事業、人材育成などを目的とする事業の経費の最大2/3を国や地方自治体が補助する制度。補助金であるため、返還は不要。
4.設備投資減税
 計画に従って導入される機械および装置について、特別償却または税額控除が認められる。1台280万円以上の機器を取得する場合、7%の税額控除、または30%の特別償却のいずれか。1台370万円以上の機器をリースする場合、リース総額の60%相当額について7%の税額控除が受けられる。
5.留保金課税の特別処理
 通常課税の対象となる同族会社の内部留保金に関して、経営革新期間の間、課税処置が停止される。
6.小規模事業者など設備導入助成金の特例
 各都道府県の小規模企業設備資金貸付制度において、承認企業は特例として通常よりも優遇された特例が適用される。
7.特許関係料金減免制度
 計画に基づく技術開発に伴った特許関係料金が半額に減免される。

 また、これら以外にも中小企業総合展、ベンチャーフェアに優先して出展できるようになる権利や、各地方自治体による独自に融資制度の利用、経営に関する専門家の派遣、新たな支援策の情報提供などのサービスが受けられるようになる。

 承認を得た企業のみが利用を申請できる特別な支援策ではあるが、承認企業すべてが無条件に利用できるわけではない。とはいえ、承認企業は2万件以下と全国の中堅・中小企業の約0.3%ほどに過ぎないため、通常の支援策に比べて遥かに利用しやすく、その額や規模もかなり優遇されている。

 申請を通して得られる明確なビジネスプランに加え、承認後のさまざまな手厚いサポートなど、この中小企業新事業活動促進法は、経営革新やを考えている中堅・中小企業には願ってもない法律である。まずは承認を得なくてはなにも始まらない。自分の会社がいかにして事業拡大をしていくかを整理して、ビジネスプランとしてまとめてみるのがいいだろう。

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