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今週のフォーカス
知っておきたい政治のカラクリ

文●三品 純

記録的な暖冬や環境保護を訴えるドキュメンタリー映画「不都合な真実」など、例年以上に環境問題に注目が集まる。
3月上旬には、世界的環境議員連盟「グローブ・インターナショナル」のエリオット・モーリー会長が来日した。環境問題に多大な影響力を持つ「グローブ・インターナショナル」に迫る。

第3回 不都合な真実を解消できるか? 世界的環境議員連盟グローブ・インターナショナル


 アル・ゴア元アメリカ副大統領が自身の半生を交え、環境保護を訴えた映画「不都合な真実」が今年1月、日本で公開され大きな反響を呼んだ。地球温暖化によって雪が溶け地表がむき出しになった山、異常気象によるハリケーンの増加、など本作で紹介された数々のシーンに衝撃を受けた人も多いだろう。

 一方、「地球的な環境危機を警告した秀作であるが、マイケル・ムーアの『華氏911』のように反共和党・反ブッシュ批判キャンペーン映画という側面も否定できない」(映画誌編集者)という指摘もあるが、本作で紹介された“不都合”な風景は、紛れもない事実。

 この惨状に対して、地球規模の取り組みが求められるはずだがCO2削減など工業、産業面で各国の利害が障害となり環境問題を鈍化させている。

 この障害を超越しようと今、世界の議員がグループを作って環境対策を進めている。それがNGO「グローブ・インターナショナル」だ。

 3月4日、同団体会長のエリオット・モーリー氏(英国首相グレーンイーグルス対話特使)が来日し、各政党、産業団体関係者らと気候変動などのテーマについて意見交換をした。グローブ・インターナショナルにはモーリー氏ら各国の要人が在籍しており、UNCED(国連環境開発会議)やCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)にも参加しているほか、UNCSD(国連持続可能な開発委員会)の承認もあるため、国連での発言権も保持する。その影響力は決して小さくない。

 もともとは1989年、日米欧の国会議員が結成した超党派の議員連盟「GLOBE」が原点だ。現在は、世界100カ国、1200人の議員を擁するまでになり、温暖化、人口増加、森林保護などさまざまな問題について協議・提言を重ねている。これほど大規模で国際的な超党派の議員連盟は、グローブ・インターナショナル以外存在しないといわれている。

 日本も1990年にグローブ・ジャパンとして公式に参加し、現在、谷津義男会長(元農水相)をはじめ、小池百合子元環境相ら54名が活動に関わっている。

「研究者の方からは“研究は進めても、政治家が動かなくては手の打ちようがない。議員が直接動くグローブの存在は大きい”と評価してもらっています。2002年に『水との共存』というシンポジウムを開き、そこでの議論をふまえ、小泉首相(当時)に『水資源問題に対する提言』を提出しました。また議員だけで議論し合うのではなく、一般市民の方との対話を重視するという点がグローブの最大の特徴です」とグローブ・ジャパンの植村伸子事務局長は説明する。

来年は京都議定書の目標期間。グローブにとっても節目の年

 グローブ・ジャパンでは2006年10月に一般公開に先駆け「不都合な真実」の上映会を実施。今年2月には松下電器、積水化学、損保ジャパン、佐川急便、ビックカメラといった大手企業を集め「国会議員と企業の対話のシンポジウム」を開催し、企業の環境対策について意見交換を果たした。

「天ぷら油を使ったバイオディーゼル車といった今、注目されているバイオマスエネルギーの先進事例も紹介されました。企業の環境対策というとどうしても製造業を連想しがちですが、ビックカメラさんのような流通業界の環境対策を聞けたのが大きかった。ただ2008年は京都議定書の目標期間を迎え、世界の環境にとっては節目の年になります。これまで以上に、多くの方からの意見を集め、国際的な協力体制を進めていかなければなりません」(同前)。

 議員団の連携を強め“不都合な真実”を回避したいところだが、今後、経済成長でCO2の排出増加が懸念される中国、アメリカの京都議定書不参加などやっかいな問題が多い。

 ただアメリカの環境に対するスタンスに微妙な変化が芽生えつつある。今年、2月に開催された「G8+5気候変動議員会議 in ワシントン」で、「“10年前は上院で途上国が参加しない限り京都議定書に参加しない”と言っていたアメリカが、2005年には53人の議員が“キャップ&トレード(温室効果ガス排出削減量の目的数値を達成できた場合、減税され余り分を販売できる)を導入すべき”という意見になった」とアメリカの上院議員から報告されている。

 ロンドン条約において、関係機関を通じ放射線廃棄物の海洋投棄禁止を推進し決議されたり、カイロ「国連人口・開発会議」の最終文章に、「グローブ決議」の内容を盛り込むことに成功するなど、グローブ・インターナショナルの長年の呼びかけが功を奏した結果は多い。

 今後、両大国や発展途上国に対して、どれだけ環境改善を求められるかで、グローブの議員団の真価が問われるだろう。

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