心理学者 内藤誼人
「こちらを立てれば、あちらが立たず」。上司と部下の板ばさみに苦しむ管理職は多い。どうすれば、上司をうまくケアしつつ、部下の仕事の生産性を高めていくことができるのか。
「理想の上司になる10の心得」に続く、管理職のための心理学第2弾として、心理学者の内藤誼人がアドバイスする。
自慢話の長い上司に、私だけでなく私の部下も辟易しています。上司の気分を害さぬようにやめさせる良い方法はありませんか。かくいう私も、わりと愚痴っぽい性質なのですが、誰に聞いてもらうのが一番良いのでしょうか。
基本的に社内での自慢話や愚痴は禁物。ただし愚痴は使い方次第で相手の親近感を得ることもできる
他人の自慢話や愚痴を聞かされて、気持ち良く感じる人はいません。社内の人間関係は円満であることに越したことはないのですから、基本的に社内の人間を相手に自慢話や愚痴を言うことは慎みましょう。会社を出るまで腹に収め、家族や恋人など親身になって話を聞いてくれる人にぶつけてください。上司があなたや部下の前で自慢や愚痴を言っている場合も、上手に話題を転換させるべきです。
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| イラスト 中野スカ |
上司の自慢話や愚痴を止めさせる場合、もっとも心すべきことは、ユーモアを交えて指摘することです。「部長、その話、1000回聞きました」「お話はよくわかりましたが、もうお腹いっぱいです」などと、変化球を駆使しましょう。その際、常に笑顔を見せることも重要です。同じ指摘でもニコニコしながら発言すればジョークになりますが、無表情で話すと皮肉や批判と受け取られ、気分を害してしまうことになります。
部下の場合も同様です。「オマエが頑張ったのはよく分かった」という言葉でも、言い方や表情によって、叱責しているようにも、同情しているようにも、冗談で切り返しているようにも受け取れます。笑顔さえ絶やしていなければ、相手を傷つけることは避けられるはずです。
話題を転換させるのも良い方法です。もちろん、話を遮って「ところで部長」というやり方ではなく、「それでしたら、奥さんやお子さんもさぞ喜ばれたことでしょうねえ」と、話題を上司の家族の話に誘導していくといったやり方です。
基本的に自慢話や愚痴は社内厳禁ですが、愚痴に関しては戦略的に使うと、上司や部下に好印象を与える「自己開示効果」を得られることがあります。たとえば上司に相談を持ちかけるという形で愚痴を言えば、「私はあなたのことを頼りにしています」というアピールになります。部下に対しても、「オレってダメな上司か?」「いつも怒ってばかりですまんなあ」などとポロッとこぼす姿を見れば、親近感を抱いてくれるものです。よく「恋愛などでギャップに弱い」といった意見が聞かれますが、これは「コントラスト効果」と呼ばれています。
ただしこれは、普段は仕事ができる人で、いつもは“強い”というイメージをもたれている人が弱みを見せた場合に限られます。普段から“弱い”イメージで見られている人が弱みを見せてもコントラスト効果がなく、「またいつもの愚痴だ」と逆効果を及ぼしかねません。
言いたい手柄話や聞いてもらいたい悩みは、誰にでもあるものです。そうした姿を他人にどう見せるか、他人が見せてきたらどう対応するか。これを意識しておくことは、とても重要なことです。一見、些細に思われるような普段の会話のなかにこそ、実はあなたの人間関係力を発揮する機会が隠れているのです。
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