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日本版SOX法

「SOX法対応」「日本版SOX法に備える」――。最近、ITベンダーなどから、こういった言葉を耳にすることが多くなってきた。また、SOX法関連のセミナーも数多く開催され、多くの参加者を集めているという。
だが、SOX法と一言で言われても、その実態は分かりにくく、理解はまだまだ進んでいないのが現状ではないだろうか。
そこで今回は、まず知っておきたいSOX法の基礎知識をQ&A形式分かりやすく解説する。SOX法とは何なのか、そもそも自分の会社が対象になるのか、チェックしておこう。

「日本版SOX法」という
法律ができるわけではない

Q1:最近、「日本版SOX法」という言葉をよく見かけるようになりました。SOX法という名前の新しい法律ができるのでしょうか?

A1:日本版SOX法という単独の法律が新しくできたわけではありません。

 

平成18年(2006年)6月に成立した「金融商品取引法」(証券取引法を改正し、かつ、いろいろな投資顧問業法等を組み入れた法律)では、第24条の4の4に下記のような規定が新たに設けられました。

「上場会社等は、事業年度ごとに、当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するため必要なものとして内閣府令で定める体制について、内部統制報告書を提出しなければならない」

 また、金融商品取引法193条の2第2項では、「内部統制報告書について監査証明を受ける」という規定が設けられています。一般的にはこれらの規定を指して「日本版SOX法」(あるいは「J-SOX法」)と呼ばれています。また、平成19年(2007年)2月には、日本版SOX法の実践についての詳細項目を定めた「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」が公表されています。

情報開示の信頼性を高め
投資家を保護する

Q2:米国SOX法とはどのような法律なのですか?

A2:一言で言えば、企業の情報開示の信頼性を高めて投資家を保護するための法律が米国のSOX法です。どういうことなのか理解するためには、SOX法ができた背景を知っておくと分かりやすいでしょう。

 米国SOX法が成立したのは、2001年に米国の大手エネルギー会社であるエンロン社に不正会計工作疑惑が持ち上がり、最終的には倒産してしまったのがきっかけでした。証券会社や証券アナリストたちは、エンロンという会社はすばらしい会社だと思っていました。そのため、それに引きずられて全米の投資家がエンロンの株を買っていました。

 ところが、実際にはそのエンロンがとんでもない不正会計を行なっていたのです。その後、大手通信会社のワールドコムなど、米国では上場企業における会計不祥事が相次ぎ、大きな社会問題となりました。

適切な情報開示が
資金調達には不可欠

Q3:なぜ、それほどまでの大問題になったのでしょうか?

A3:なぜなら、米国の多くの企業は銀行からお金を借りるという間接金融ではなく、自社の力でマーケットに信用力を売り込み、証券市場を通じて直接に資金調達をしているからです。投資家に対して企業情報が適切に開示されていないと、投資家は投資の対象としようとする企業を信頼できませんから、投資が差し控えられてしまい、投資家から資金を集めることができなくなります。マーケットを通して企業が資金を集めることができなくなれば、経済の血流が止まってしまいます。

 そこで、サーベンスとオクスリーという2人の議員が中心となって、不正会計をなくそうと動き始めたのです。そうしてできたのが、2人の名前を冠した「Sarbanes Oxley法(サーベンス・オクスリー法)」、略して「SOX法」です。正式には、「証券取引法に基づく企業の情報開示の正確性と信頼性を向上することによって投資者を保護する法律」といい、連邦法である米国証券取引法の改正法として成立しています。

 実は米国では、エンロン以前の1980年代後半にも企業の会計不祥事が立て続けに起っており、その対応策として、1992年に不正会計を防止するための内部統制の判断基準である「COSOフレームワーク」が作られていました。COSOフレームワークは、2000年頃には世界的なスタンダードになっていたのですが、当の米国でまた会計不祥事が続いてしまったわけです。

SOX法は米国に上場している
日本企業も対象

Q4:米国SOX法の成立は、日本企業にも影響があるのでしょうか?

A4:米国SOX法の対象企業は、米国の株式公開企業に限りません。非米国企業であっても、米国の証券市場で株式上場をしている場合には適用されます。

 SOX法の適用時期については、次の表のとおりです。

表1●SOX法404条の適用時期

    経営者の内部統制評価書の適用開始時期 内部統制監査証明の適用開始時期
米国企業 大規模早期提出会社
(Large Accelerated Filer or Accelerated Filer)
(株式時価総額が7500万ドル以上)
2004年11月15日以降に終了する事業年度 2004年11月15日以降に終了する事業年度
上記以外の会社
(Non-accelerated Filer)
(株式時価総額が7500万ドル未満)
2007年12月15日以降に終了する事業年度 2008年12月15日以降に終了する事業年度
非米国企業 大規模早期提出会社
(Large Accelerated Filer)
(株式時価総額が7億ドル以上)
2006年7月15日以降に終了する事業年度 2006年7月15日以降に終了する事業年度
早期提出会社
(Accelerated Filer)
(株式時価総額が7500万ドル以上7億ドル未満)
2006年7月15日以降に終了する事業年度 2007年7月15日以降に終了する事業年度
上記以外の会社
(Non-accelerated Filer)
(株式時価総額が7500万ドル未満)
2007年12月15日以降に終了する事業年度 2008年12月15日以降に終了する事業年度
米国・非米国企業 新規上場企業 第二事業年度 第二事業年度
※Large Accelerated Filer, Accelerated Filerの定義は、1934年証券取引所法Rule 12b-2に定められている (2006年12月15日SEC発表資料による)

SOX法の404条に似ている
金融商品取引法24条の4の4

Q5:米国SOX法と、日本の金融商品取引法24条の4の4はどんな関係があるのですか?

A5:米国SOX法は、全11章、69の条文で構成されています。その内容は多岐にわたりますが、中でも一番重要とされているのが、404条の財務報告に関する内部統制についての部分です。金融商品取引法24条の4の4は、米国SOX法の定める財務報告に係る内部統制ルールと似たものを含んでいるため、日本版SOX法と呼ばれることもあるようです。

米国SOX法の構成
表2●米国SOX法の構成

 米国SOX法404条では、経営者には自社の財務報告について適正な内部統制の枠組みを構築し、それを評価することを求めています。また、監査人には、この経営者評価の内容を客観的に検証し、監査報告書を作成することを義務づけています。

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