文●広川 敬祐
ツールの持つ機能を最大限に引き出し、効果的に活用する秘訣は、ツールを作った側(ベンダー)の意見や他のユーザーの話を聞くことにある。ツールを購入すると、ベンダーからセミナーの情報や関連製品の紹介など、さまざまな案内が届くことがある。これらは、ついろくに見もせずに捨ててしまいがちであるが、なるべくなら敏感にチェックしておきたいものだ。玉石混淆の中にも、実務に役立つ有益な情報が含まれていることがあるからだ。
また、ツールによっては、ユーザー会のような形でコミュニティを形成している場合もある。通常業務が忙しいからといって、こうした活動への参加は見合わせることが多いようだが、ユーザー同士の意見交換は最高の財産となり得るものだ。ツールを使いこなすための近道として、ぜひ積極的に参加したい。
ツールを運用する上では、メンテナンス費用(一般にライセンス価格の10%程度が毎年発生する)や、利用部門のユーザーに対する教育コストなど、それなりの維持管理費用がかかる。こうしたコストは、社内のどこが負担すべきなのだろうか。見落としがちな問題だが、実はそのことがツールの有効利用を進める上でも重要になってくる。
ずばり結論から言えば、ツールを実際に利用する部門、つまりはエンドユーザーに負担してもらうようにしていくことがお勧めだ。仮に費用負担をプロジェクト事務局や情報システム部門にすると、ユーザー部門にはコスト感覚が湧かない。これは、いくら高額な語学教材を買い与えても、親が費用を負担している限り、子どもにはその実感がないことと同様だ。
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| 図2●ユーザー部門に運用コストを負担してもらい、当事者として巻き込む |
当然、ユーザー部門からすれば、「なぜ自分たちが負担するのか?」との疑問もあるだろう。その時には、ツールを利用しない場合にどれだけの手間暇、コストがかかるのかを比較し、提示するといい。それによって、ツールを利用するコストの客観性が初めて得られることになる。
前回も触れたように、ツール導入にあっては、「ユーザー部門の参画は可能な限り早い段階から」というのが私の持論だが、コストについてもユーザー部門とコミュニケーションをとり、納得する形で負担していただきたいと思う。そのことが、ユーザーに対してツールの積極的な利用を促すことになり、ひいてはプロジェクトのスムーズな進行にもつながるはずだ。
ツールとは、その名のとおり、“道具”に過ぎない。たとえどんなに高価なゴルフクラブを買っても腕が上達するとは限らないように、道具として捉えてみれば、最も大切なことは使う側(ユーザー)の賢さであることは明かだ。ところが、なぜか値段が高ければそれで十分だと安心してしまうことがある。良い道具があったとしても練習することが大事だし、何よりも、身の丈に合うものを使いこなしていくことが大切だ。
よい道具(ツール)はよい人(ユーザー)に使われて重宝するものであり、決して道具そのものがすべてをやってくれる訳ではない。そのことを銘記しつつ、本連載で紹介したポイントを参考に賢く日本版SOX法対応にあたっていただきたいと思う。
