文●広川 敬祐
日本版SOX法対応を進める上で役立つ、内部統制支援ツール(いわゆるJ-SOXツール)の導入から活用までのポイントを解説する本連載。最終回となる後編では、導入したツールをどのようにして有効活用していくかを考えたい。
前回までは、内部統制支援ツールの利用の必要性や、選定にあたってのポイントを解説した。ツールが日本版SOX法対応になぜ役立つのか、どう選べばよいのかについては、ご理解いただけたと思う。だが、どんなに優れた機能を持ち、便利な製品やサービスであっても、結局のところ、使いこなせなければ宝の持ち腐れになってしまう。身の回りを見ても、せっかく購入したものに長く利用されない、一過性だったものはないだろうか。たとえば、ぶら下がり健康器具、語学関連の学習教材、フィットネスクラブ、浴室乾燥暖房機……。1つくらい、思い当たるふしがあることだろう。
購入したのに“使われない”あるいは“使いこなせない”事態を避けるには、ユーザーとしてのいくつかの「心がけ」が必要となる。そこで今回は4つのポイントに絞り、1つずつ詳しく解説を加えていくこととしたい。これらのポイントを意識し、実際に実行していくことで、導入したツールを無駄にせず、有効的に活用できるはずだ。
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| 図1●ツール活用のための4つの心がけ |
ツールと一口にいっても、フローチャートの描画ツール、リスクや統制の例示を含んだテンプレート、文書管理(ステータスや履歴の記録)、有効性評価の支援、監査支援などと用途にも幅がある(前編の記事を参照)。1つの製品でこれらの複数の用途をカバーするものも多いが、製品の出自やベンダーの得意とする分野によって、当然、機能ごとの良し悪しがある。
もちろん、すべての機能に満足がいくものであれば問題はないが、実際にはそうした製品はなかなか存在しない。例によって身近なことに置き換えて考えてみると、結婚相手がいい例だろう。「外見がいい」「家柄がいい」「性格がいい」「趣味が合う」「経済的に豊か」……などとすべての条件が理想的に満たされているかといえば、現実はそうはうまくいかないものだ。
不満は言い出したらきりがないし、次から次に出てくる相手(ツール)に「あれがいい」「やっぱりあっちがよかった」などと移り気を起こしてもしょうがない。常に100点満点を求める必要はなく、むしろ「80点でよい」というぐらいに割り切ったほうが長続きするのではないだろうか。一度決めて導入した以上は、ツールの性質をよく理解し、知恵を出してよいところをうまく活用していこうという姿勢が大切だ。
企業は生き物であり、社会環境の変化に応じて、組織もどんどん変わっていく。したがって、日本版SOX法対応を図る上では、業務プロセスや組織構造の変更に柔軟に対処していく体制をとっていくことが大事だ。「我が社は組織変更が多いから……」という愚痴とも悲鳴とも言えるような言葉をよく耳にするが、変化への対応は企業にとって必須条件である。
これはツールを使う場合も同様で、いったん作成した業務フロー/業務記述書/RCM(リスクコントロールマトリクス)などの文書を適宜、メンテナンスしてやる必要が発生する。特に組織や業務の改変が多く予想される場合、文書を簡単に変更できる機能があるか、ツール選定の段階でも考慮しておく。また、導入後も、一度作った成果物の変更はあり得るという前提に立ち、常に対応できる運用体制を考えておきたい。せっかく多額の投資をして導入したにもかかわらず、ちょっとした変化によって使えなくなってしまっては、それこそ金の無駄というものだ。
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DMもユーザー会も貴重な情報源
(3)ツールベンダーやユーザーの情報を得る
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