文●広川 敬祐
前編は本連載を始めるにあたり、日本版SOX法への対応に内部統制支援ツールの利用は必要か否かということについて述べた。今回は、ツールを導入するという前提に立ち、どのような基準や方法で選定していけばよいのか、そのポイントを分かりやすく解説する。
前回の記事の冒頭でも紹介したように、日本版SOX法対応を謳う支援ツールは実にさまざまであり、残り少ない時間の中で効率よく適切な製品を選定していくのは、なかなかの至難の技だ。そこで今回は、ツール選定を賢く行なうためのポイントとして、次の4つをご紹介しておきたい(図1)。
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| 図1●ツール選びの4つのポイント |
以降は、これらの4つのポイントについて、詳細を順に解説していくこととする。
内部統制支援ツールを選定するプロセスは、身近な例、たとえば住宅の購入に置き換えて考えてみると分かりやすい。
家を買うときに、最大限に尊重しなければいけないのは、誰の意見だろうか。たとえば、「金を出すのはお父さん」と、お父さんの意見だけで決めてしまうとする。すると、後々になって、「この間取りでは家具が配置しにくい」「このキッチンだと使いづらい」……などと、何かと問題になりがちだ。この場合、購入前に一番尊重しなければならないのは、お母さんの意見だろう。
ここでいうお母さんとは、実際に支援ツールを「使う側」の人、つまりは現場のユーザーのことだ。ところが、現実のツール選定においては、上司とベンダーとの人間関係で決めてしまったり、情報システム部内だけで決めてしまったり、ということになりがちである。すると、先ほどの家の場合と同じように、いざツールを導入して作業を開始した後になって、現場から不平不満が噴出してしまい、最悪の場合、本来得られるはずの協力も得られなくなる恐れもある。なるべく選定段階から現場のユーザーを巻き込み、十分な意見を吸い上げ、納得の上で決定していくことが大切だ。
どのような選定過程を経たとしても、最終的に導入決定までに必ず実施するのが、デモンストレーションや提案書の提出だ。問題はここで、何社ぐらいにそれを依頼するのが適当かということだろう。
ずばりお勧めは、3~5社に絞ることだ。これより少ない1~2社しか検討しないのではちょっと物足りないし、逆に6社以上に頼むのは選ぶ方も次第に疲れてきて焦点もボケてくる。少なすぎず多すぎず、適切なバランスという面で3~5社をお勧めする。
ただそうはといっても、世に出回っているツールはそれこそ星の数ほどあるのだから、より多くのツールを比較検討したい場合もあるだろう。その際は、デモや提案書を頼むのではなく、RFI(情報提供依頼)のような形で、製品紹介・価格の概要・導入事例・長所/短所などを簡単に問い合わせてみるのもアリだ。家を買うことにたとえれば、住宅展示場に足を運んで特徴を聞いたり、カタログをもらったり、という作業がこれにあたる。そうしたやり取りであれば6社以上になっても構わないし、むしろ、掘り出しもののツールに出会える可能性もある。要は、メリハリをつけて要領よく、検討材料を集めるのが成功への近道なのだ。
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