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時間とカネを無駄にしない!J-SOXツール 賢者の選択

文●広川 敬祐

前編 ツール利用は必要か否か


ツール利用のメリットとは――非効率を防ぐ

 目的を明確にしたところで、内部統制支援ツールの導入が必要か否かを考えてみよう。ツール利用を検討する際には、直接的にメリットを考えるより、利用しない場合の不具合、非効率的な面を考える方がよい。導入ありきで「費用対効果を算定した上でメリットは何か」を問うより、「使わない場合にどれだけのコストと手間がかかるのかを算定し、それを防ぐためにツールを導入する」というアプローチの方が妥当だからだ。たとえば文書化に関して、ツールを利用しない場合の不具合、非効率面を書き出してみると以下のようなものがある。

  1. 文書化の際に現場の担当者(末端)まで趣旨が伝わらず、文書がバラバラに返ってくる。
    -フォーマットですら変わってくる
    -用語や書いて欲しい内容が不統一

  2. 作成した文書のファイル管理が大変
    -誰がどう直したかわからなくなる
    -結局紙に印刷しないと分からず、ペーパーレスにならない

  3. 将来の変化の際、メンテナンスが大変
    -組織(担当部署)が変わると、その都度、書き直しを余儀なくされる
    -変更箇所の履歴管理ができない
  4. 守秘を保てない
    -内部だけでできなくなり、外注に頼まざるを得なくなり、守秘が保てない
    -PCソフトによるファイルは、簡単に持ち出しやコピーが可能


 こうした面が多くなることが想定されるのであればツール導入が得策だろうし、逆に我慢できるレベルであれば不要だろう。実際には、文書化の担当者数、評価対象とする業務プロセス数をプロジェクトの事務局で算定し、対象範囲が事務局から目の届く範囲か否かがツール導入の分かれ目になる。たとえば、対象とするプロセス数が50以上、文書化の担当者が20人以上といった規模で、かつ事務局が数人しかいない、といったケースでは、ツールを導入するほうが効率的に作業を進められるはずだ。

実際にツールを導入するか否かの選定基準
図●実際にツールを導入するか否かの選定基準


 スポーツや音楽の世界では、近年、ツール(道具)の技術向上が目覚しい。日本版SOX法の対応にしても、「たかがツール」と馬鹿にするより、思い切って導入する方が結果として早く安く良いものが得られやすい面はあると思う。しかしながら、1本10万円以上もするようなドライバを買っても上達しないアマチュアゴルファーが山のようにいるように、ツール利用の最大の決め手は、結局のところ“使う人の賢さにある!”ということを踏まえておきたい。

 次回からは、ツール選定と活用方法のポイントを通じて、賢く日本版SOX法対応を進める方法を考えていこう。


【賢者のポイント】

  • 支援ツール導入時には、実施基準をよく読み、目的を明確にすること。
  • 日本版SOX法対応に直接関係するのは、「文書化」「整備状況の有効性評価」「運用状況の有効性評価」の3つ。
  • ツールを導入するか否かは、対象範囲の規模を策定し、「不具合や非効率を防ぐ」という観点から検討する。


広川 敬祐氏
 
広川 敬祐氏プロフィール
1983年公認会計士第2次試験合格。複数の大手外資系会計事務所で会計監査、株式公開コンサルティングなどを経験する。その後、SAPジャパンで連結会計システム導入プロジェクトに従事。その後、フリーコンサルタントとしてERP導入やITに精通した公認会計として内部統制に関わっている。

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