文●広川 敬祐
目的を明確にしたところで、内部統制支援ツールの導入が必要か否かを考えてみよう。ツール利用を検討する際には、直接的にメリットを考えるより、利用しない場合の不具合、非効率的な面を考える方がよい。導入ありきで「費用対効果を算定した上でメリットは何か」を問うより、「使わない場合にどれだけのコストと手間がかかるのかを算定し、それを防ぐためにツールを導入する」というアプローチの方が妥当だからだ。たとえば文書化に関して、ツールを利用しない場合の不具合、非効率面を書き出してみると以下のようなものがある。
こうした面が多くなることが想定されるのであればツール導入が得策だろうし、逆に我慢できるレベルであれば不要だろう。実際には、文書化の担当者数、評価対象とする業務プロセス数をプロジェクトの事務局で算定し、対象範囲が事務局から目の届く範囲か否かがツール導入の分かれ目になる。たとえば、対象とするプロセス数が50以上、文書化の担当者が20人以上といった規模で、かつ事務局が数人しかいない、といったケースでは、ツールを導入するほうが効率的に作業を進められるはずだ。
![]() |
|---|
| 図●実際にツールを導入するか否かの選定基準 |
スポーツや音楽の世界では、近年、ツール(道具)の技術向上が目覚しい。日本版SOX法の対応にしても、「たかがツール」と馬鹿にするより、思い切って導入する方が結果として早く安く良いものが得られやすい面はあると思う。しかしながら、1本10万円以上もするようなドライバを買っても上達しないアマチュアゴルファーが山のようにいるように、ツール利用の最大の決め手は、結局のところ“使う人の賢さにある!”ということを踏まえておきたい。
次回からは、ツール選定と活用方法のポイントを通じて、賢く日本版SOX法対応を進める方法を考えていこう。
