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コンサルタントが教える

文●山田 知賢
(ベリングポイント マネージャー)

連載最終回となる今回は、いよいよ日本版SOX法の本番である運用年度の体制について解説する。最小限のリソースで日本版SOX法対応を進めるには、準備年度のうちから検討しておく必要がある。そのポイントをチェックするとともに、最後に本連載を通しての要点を整理しておく。

最終回 来年度からでは遅い、運用体制構築のポイント


  日本版SOX法対応への取り組み体制は、準備年度と運用年度で異なる。準備年度は、評価に必要となる文書を作成し、不備と思われる部分の改善に注力する。限られた期限内で多くの作業を行なわなくてはならないため、期間限定でプロジェクトチームを構築し、対応にあたる。

 一方、運用年度は、あらかじめ策定した適切な計画に従って評価を実施し、監査を受けることになる。今回は、必要最小限のリソースで運用年度の推進体制を構築するために、どのような点に考慮するべきか、検討してみたい。

運用年度の推進体制はコストと独立性を検討

 運用年度の実施体制について知るために、まずは意見書を確認しよう。意見書には、実施体制について以下の3つの記述がある。

「経営者の指揮下で評価を行う部署や機関を設置することが考えられるが、例えば、自らの業務を評価することとならない範囲において、経理部、内部監査部など既設の部署を活用することも考えられる」…… ケース1

「自己点検による実施結果に対して独立したモニタリングを適切に実施することにより、内部統制の評価における判断の基礎として自己点検を利用することが考えられる」…… ケース2

「経営者は財務報告に係る内部統制の評価作業の一部を、社外の専門家を利用して実施することができる」…… ケース3

 これらの記述を参考に、実際の実施体制のイメージを表すと以下のようになる(図1)。以下、それぞれのケースについて解説する。

図1:運用年度実施体制イメージ
図1:運用年度実施体制イメージ

 ケース1は、社内の内部監査部門や経理部門に専門の評価チームを構築して、全社の評価を実施するやり方である。この場合、専門のチームが全社の評価作業を一手に行なうため、ある程度の人員が必要になる。自社の評価にかかる工数を算出し、要員確保が可能かどうか、検討が必要だ。

 

 ケース2は、各現場部門による自己評価を実施し、その結果を利用する方法。自己評価の妥当性を適切にモニタリングすることにより、最終的な評価結果としての独立性を担保するものだ。大規模な評価チームを新たに構築する必要がなく、現場主導で作業を実施することが可能だ。

 ケース3は、外部企業に評価作業を委託するパターン。社内リソースを最小限で抑えられる方法だが、外部企業に依頼するため、結果、当然コストは高くなる。

 ここでのポイントは、“独立的”評価が求められる(単なる自己評価のみでは評価として認められない)ということだ。ケース1、ケース3においては、評価実施者と被評価者が明確に分けられるため、独立性は担保しやすい。しかし、これらの場合、独立性を担保するために専門のリソースを必要とするため、どうしてもコストが高くつく。評価工数が少ない企業であれば問題ないが、企業規模や業務特性により比較的多くの工数を必要とするケースでは対応は困難だろう。たとえば、20人規模のチームを来期から新設するといわれて、容易に実行できる企業は稀なはずだ。外部企業に依頼するにしても、毎年度継続する作業であることを考えると、コストの面で受け入れがたい企業も多いだろう。

 そのような場合に推奨されるのが、ケース2の方法だ。ケース2では、可能な限り現状のリソースを利用して対応するため、他の方法に比べてコストを抑えることができる。ただし、問題となるのが、先に述べた評価の独立性だ。基本的に「自己評価」のみでは、「独立的評価」とは考えられない。このため、いかに独立性を担保するかがポイントとなる。

図2:ケース2における独立性の向上(例)
図2:ケース2における独立性の向上(例)

 独立性を確保する方法としては、「自部門を直接評価しない」「評価結果の一部を再度独立部門が評価する」などの対応が考えられる(図2)。どのような評価方法が独立的評価として認められるか、あらかじめ監査法人と認識をあわせておくようにしたい。

 運用年度については、準備年度での経験を基に、淡々と作業を行なうイメージを持つかもしれない。だが、どのように評価を実施するかはリソースの問題と直結するため、実は非常に重要な検討ポイントである。運用年度に入る前から、この点を意識して体制を検討しておくことをお勧めする。

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まとめ~日本版SOX法ミニマム対応のポイント

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