文●山田 知賢
(ベリングポイント マネージャー)
通称・日本版SOX法(金融商品取引法)の適用開始がいよいよ2008年4月に迫ってきた。すでに対策にあたっている企業が多い中、まだ活動を本格化させていない企業もあるといわれる。本連載では、そうした“後発組”企業が、ミニマム対応を図る際のポイントを、大手コンサルティングファーム、ベリングポイントのコンサルタントである山田知賢氏に解説していただく。第1回では、まず、日本版SOX法対応の全体スケジュールを確認しておきたい。
2007年2月、金融庁 企業会計審議会 内部統制部会より、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」(以下「意見書」)が公開された。現在、多くの上場企業はこれらの指針を参考に、2008年4月以降の決算に適用される法対応の準備を行なっていることと思われる。
しかしながら「意見書」には、実際の運用が始まる2008年4月以前の期間(準備年度)に何をすべきか、あるいは何かを行わなければならないとは記載されていない(「意見書」の巻末の参考図1「財務報告に係る内部統制構築のプロセス」に、参考になる記述はある)。準備年度における作業は、各企業の任意での作業と位置付けられ、必ずしも対応が義務付けられている訳ではないのである(図1)。
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| 図1:準備年度~運用年度の位置付け |
それでも、各企業とも現時点から対応を進めようとしているのは、“運用年度から対応を始めては間に合わない”と考えているからだ。2008年4月からスタートする運用年度では、実際に内部統制が有効かどうか、その評価を行なう。限られた期限内で決められた作業を行なうためには、評価の前提となる各種ドキュメント類の整備や、対象範囲の選定など、事前に準備することが必須だ。
では、現時点(2007年8月)ではどの程度まで進捗している必要があるのだろうか。全体のスケジュールを確認しながら、考えてみよう。
「意見書」にて求められている内容を参考に、準備年度、運用年度の大まかな対応ステップを図示すると、図2のようになる。
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| 図2:準備年度-運用年度における作業ステップ |
一連の作業を通じて、経営者には、業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を選定し、内部統制の基本的要素が機能しているか評価することが求められている。
中でも注目したいのは、「文書化」といわれる、“業務プロセスを分析し、統制上の要点を選定”する部分だ。この作業を運用年度から開始したのでは、2008年度決算に間に合わないことが想定される。これは、米国SOX法での経験や、実際の日本で対応を進めている企業の経験からも、上記一連の作業には比較的多くの工数がかかることが明らかになっているからだ。
企業規模や各企業の取組み方針などにより、一概に述べることはできないが、図2をベースに、現時点(2007年8月)で準備を進めている各企業の取組みの進捗度合いを想定すると、「方針策定」が終了し、「文書化」作業の途中か、「文書化」が終了し、「評価」作業に取り掛かるくらいの状態であろう。
もちろん、企業規模や、企業の事業特性、これまでの企業内での内部統制に関連する取組み度合いなどから、対応に掛かる工数は大きく異なる。しかし、それでも現時点で何らかの対応を行なっていないとすると、残された時間と作業量を考えれば、期日までに無事対応を図れるかどうか、そのリスクは高い。