アスキービジネス

ホーム > アスキービジネス > マネジメント

IT+行政支援で中小企業の経営をサポート IT経営情報局

人材育成のプロに学ぶ 新人を即戦力に育てる方法

文●人事教育コンサルタント 本田有明

景気回復や団塊の世代の一斉退職といった社会情勢もあり、新卒採用は超売り手市場で、第二新卒の転職も活況を見せている。しかし、これまで採用を控えてきた企業が、多数の新人を受け入れるのにふさわしい職場環境づくりができているのだろか? 人事教育の専門コンサルタントとして知られる本田有明氏に、新人を職場に定着させ、早く一人前の戦力として活用するための方法を語ってもらった。

第3回 できる社員、できない社員に対する接し方


不祥事が起こるメカニズム

 ある会社で大きな不祥事が連続して起きた。別々の部署の若手社員が2人、多額の使い込みを行なったのだ。こうした事件が発生する会社には、かなり高い確率で、共通した問題点が指摘できる。

  • 厳格なしつけ教育が全社的に徹底していない
  • 上司の部下指導が恣意的に行なわれている

 前回の項で、しつけの例として「会社の決まりごとをしっかり守る」をあげた。そんなことは常識の範囲ではないかと思う人もいるだろうが、決まりごとというのは、きちんと守る人にとってはすべて常識の範囲内のことなのだ。それを全員が守ることができたら、不正も不祥事も発生しない。現実にはそうはいかないから、教育によって周知徹底をはかるのだ。

「してはいけないこと」を徹底させるには、各部署での指導に任せるだけでなく、全社的なシステムとして取り込むのがベストである。

 たとえばGE(ゼネラル・エレクトリック)では「ワンストライク・アウト」という制度を設けて、一度でも不正を行なえば即退社としている。わずか数ドルであっても、故意に経費をごまかしたら許されない(=ワンストライクでアウト)。GEではこの契約書にサインすることが入社の条件となっている。

 では、「部下指導が恣意的に行なわれている」とは、どういうことか。

 部下によって指導がきびしかったり甘かったり、手加減がされるということだ。甘めになりやすいのは、上司から見て「好ましい部下」に対してである。まじめそうだ、自分とウマが合う、といった部下には、うるさく言わずに任せるマネジメントになりやすい。

 任せるあまり、「してはいけないこと」への目くばりまで怠りがちとなるのが、不祥事の温床となる。どこの会社でも、不祥事を起こすのは「できない社員」より「できる社員」が多いのは、そのためといってよい。

 できない社員に対しては「するべきこと」の指導を、できる社員に対しては「してはいけないこと」の指導を、それぞれ重点的に行なうのがセオリーである。

わかりやすい行動指針を用意する

 職場では、してはいけないこととともに、迷ったらどう判断し行動すべきか、という基準が明確になっていなくてはならない。それを列挙したものが、いわゆる「行動指針」である。あなたの職場では、どのようなものが用意されているだろうか。

 一般に会社の方針は、社是・社訓、経営理念、ミッション、バリューなどから成り立つ。これらは会社の存在理由や目的、大きな原則を記したもので、具体的な行動基準とはなっていない。

 いま、新入社員に「これを参考にしなさい」と言って示せるものがなければ、部や課の単位で話し合って、自分たちの指針を設けることをおすすめする。とくに考えつかなければ、次のようなレベルでもよい。

  • 迷ったときは「社員行動規定」の部門別指針を読み返す
  • 「なぜ?」と疑問に感じたら、すぐ上司や先輩に相談する
  • 上司や先輩は部下からの相談を仕事の最優先事項にする
  • 課題は部門全体で共有し、問題解決を共有財産にする

 こうしたものがあるだけでも、新人には大きな助けになるはずだ。

 入社して間もない社員にヒアリングすると、「自分で考えるべきところと上司に相談すべきところとの区別がつかない」という悩みをよく耳にする。一方では「自律型社員をめざせ」と言われ、他方では「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)をしっかりやれ」と教えられ、どう兼ね合いをはかればよいかの目安が、新人にはわからないのだ。

「時と場合による」では指針にならない。しかも上司や先輩がいつも忙しそうにしていれば、新人は気軽に声をかけることもできず、うろたえてしまうのは当然だ。そんなとき、先にあげたような項目が示されていれば、ひとりで悩まずにすむ。

 大切な指針は、口頭で伝えるだけでなく、掲示板に掲げるなり、名刺大の印刷物として携帯させるなりして、しっかり意識させることが肝要である。

本田有明(ほんだ ありあけ)プロフィール
1952年兵庫県生まれ。慶応義塾大学哲学科卒業後、(社)日本能率協会に勤務。経営事業本部、情報開発本部などに所属し部長職を務める。1996年に人事教育コンサルタントとして独立。主に能力開発、人材育成の分野でコンサルティング、講演、執筆活動に従事。『本番に強い人、弱い人 』(PHP新書)、『仕事に活かす〈論理思考〉 』(ちくま新書)など著書多数。哲学や人生論の分野でも著作が多い。
戻るトップページへ
アスキービジネスのおすすめ
登録は無料!今すぐ登録する方はこちらから 利用者登録がお済みの方はこちらからログインできます
最新ニュース

| ASCII.jp | デジもの | Mac/iPod | 自作PC | 科学技術 | ゲーム・ホビー | 話題 | 情報システム | ビジネス |

| 価格比較 | Microsoft | キャリア | SaaS・ASP | VPN | SHARP | Panaspot | 富士通 | 住まい情報局 |

| EPSON DIRECT | Wireless Gate | アキバ | ムービーフラッシュ | SpeedGun | デジタル用語辞典 | Blogmag | アスキー365 |

サイトポリシー | プライバシーポリシー | 運営会社 | お問い合わせ