文●小森 哲郎
ITの世界では、新しいものに臆せず、(実際に使うかどうかは別としても)まずは見てみよう、常に工夫していこうという価値観が必要だ。現場は改善あるのみ、一瞬たりとも立ち止まっていてはいけないという前向きな会社でなければ、ITは入らない。現状のままでいいと思っていたら、ITなどめんどうだから入れなくていいということになってしまう。
ITを現場に入れるとなると、それまでの現場のやり方を変えることになるので、そもそもめんどうくさい。また、ITを入れて便利になることもあるけれど、入れたことで手間が増えることもたくさんある。自動化されても、空いた時間にはまた別の仕事が入ってくるわけだから、実際に仕事量が減るわけではない。パソコンが入ったからといって、仕事が楽になっただろうか? 生産性は上がったかもしれないが、楽になったかどうかは怪しい。
となれば、ITをうまく使って、IT化を成功するためには、どんなシェアードバリューを持っていないといけないかは自ずと見えてくる。改善あるのみ、止まっていてはいけない。
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本連載では10回にわたり、経営の視点から見たIT化の要点をさまざまなフレームワークを用いながら論じてきた。世の中の環境が目まぐるしく変化する中、置かれた企業の状況に応じて問題解決を行なっていくという本質的な力がますます重要となってきていることは枚挙にいとまがない。
もし、あなたがIT化に関わる問題解決で迷子になってしまったら、まずは手を動かすことを止め、基本的なフレームワークに立ち返って考え抜くことをお勧めしたい。そうすれば必ずや解決策は見えてくるはずである。

※この記事は、「アスキービジネス ITスキルアップ 2006年5月号」の記事「小森哲郎の『経営から見た IT化成功の勘所』」を再掲載したものです。