文●小森 哲郎
よく人の家に行ったら台所(またはトイレ)を見ろと言うが、台所が汚い家は、その場を取り繕っていたとしても、普段の掃除が行き届いていない家だということだ。会社では、この「台所」に相当するのがシステム部門だ。会社の良い・悪いも、システム部門を見れば分かってしまう。
というのは、システム部門の抱えている問題を見ると、その会社の問題を色濃く反映している場合が多いからだ。たとえば、社長がカリスマタイプの会社があったとしよう。IT化というのは部門横断型の取り組みであり、システム部門は、事業部門、たとえば営業や工場などのトップに、IT化が事業戦略上こう役に立つと、説いて回らなければならない。しかし、社長がカリスマタイプの組織では、人材が育ちにくい。部門横断型のプロジェクトを推進できるような人材がいなければ、カリスマ社長がCIOを兼任してでもいないかぎり、IT化が暗礁に乗り上げる可能性は高い。システム部門には、その組織のリーダーシップの悪いところが現れやすい。だからこそ、普通の管理部門よりもさらに透明性を高くし、組織の位置付けも、もう一段高くしておく必要があるのだ。
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企業へのコンサルティング業務において、問題を1つ1つ洗い出していくと、たいていその企業の一番弱いところがITに出てくる。たとえば、ガバナンスが効かない企業では、各部門に連携のとれないバラバラなシステムが点在しがちだし、行き当たりばったりで事を進めている企業では、システムが長期的視野なく設計され、あっという間に不用品となったりする。ITはきめ細かなメンテナンスが必要であり、それをやらなければ、現状からどんどんズレていってしまう。技術力があると、そのズレにパッチを当ててしのぐという手段をとってしまいがちだが、これは結果的にうまくいかなくなることが多い。その技術者がいなくなったら、誰もそのシステムが分からないということにもなりかねない。ことがうまく運ばないときは、パッチを当てるより、思いきって人を変えるなど、勇気を持っていったんゼロベースに戻すことも必要だ。

※この記事は、「アスキービジネス ITスキルアップ 2006年2月号」の記事「小森哲郎の『経営から見た IT化成功の勘所』」を再掲載したものです。