アスキービジネス

ホーム > アスキービジネス > マネジメント

IT+行政支援で中小企業の経営をサポート IT経営情報局

小森哲郎の「経営から見た IT化成功の勘所」タイトル

文●小森 哲郎

ITが分かりにくいがために、システム部門は組織内に埋没し、IT投資はブラックボックス化する。この問題を解決するためには、システム部門をトップマネジメント直轄にするなど、組織的な位置づけを上げ、部門を越えてリーダーシップを発揮できる人材を据える。また、システム部門だけでなく、ユーザー部門側にもIT導入に関する責任説明を付与し、両サイドから取り組んでいくことと、IT投資の可視化が必要になる。ここまでが前回の内容であった。今回は、さらにIT投資の可視化を可能にするガバナンスプロセスのあり方を考察していこう。

7S:経営における課題解決に取り組む際、Strategy(戦略)、Structure(組織機構)、System(運営システム)、Skill(組織能力)、Staff(人材)、Style(経営風土)、Shared Value(共通価値観)の7つの観点から、原因や解決策を多元的に捉えるための枠組み。

第7回 組織機構・運営システム(後編):可視化の重要性


PDCAの管理サイクルをきっちり回す

 IT投資をブラックボックス化したまま放置しておくことが、多くの問題を生む。「分からない」「難しい」と、経営陣もユーザー部門も話をすることを避け、いざシステムが稼動してみれば、「使いにくい」「投資の割には儲けに結びつかない」と文句を言っても後の祭りだ。IT化の立案から、構築、運用、改善という一連のプロセスの中で、どんなシステムを導入するのか、それが何の役に立つのか、いくら使われたのか、どう儲けにつながったのかなどが、誰の目から見ても分かるように可視化(見える化)していくことが、このようなトラブルを防ぐ唯一の道である。ショートカットはない。たとえ時間がどれだけかかっても、ここはじっくり時間をかけて取り組むべきだ。

 ITの問題をシステム部門内だけに閉じ込めることが、まず間違っている。ITを導入するということは、経営の課題をITという切り口で解決していくことに他ならない。経営の問題なのだから、もちろん経営会議のアジェンダにも載る。IT戦略会議でも、どんな名前でもいいが会議体を作り、経営会議のメンバーも出席する。工場を1つ建てようとするなら当然経営会議で議論されるだろう。システム導入もなんら変わりはない。

 

 図1を見てほしい。あるべきガバナンスの姿をプロセスで見るとこうなる。システム導入推進部門が、経営戦略的観点から課題・目標設定をし、問題解決の具体策としてITを導入し、その成果を把握する。その過程において、シニアマネジメント(経営会議のメンバー)は定常的に議論の場を持つ。システム部門は、マネジメントに対して説明責任を持ち、マネジメントはシステム部門任せにせず、「なぜこのシステムが必要なのか」と、分かるまで何度も聞く。きちんと理解できるまで何度でも説明させる。ここが非常に大切な点だ。経営会議の場で、規律を持って徹底的に議論するかどうかで、結果はまったく違ってくる。そして、この議論によって合理的な判断も可能になる。

図1:PDCAの管理サイクルをきっちり回すことで、優れたガバナンスと十分な可視化を実現する
図1:PDCAの管理サイクルをきっちり回すことで、優れたガバナンスと十分な可視化を実現する

 また、部門をまたいだIT化を推進するには、IT部門だけではできないことも出てくるだろう。当然マネジメントのフォローがそこには必要になってくる。そして、最終的な成果に対しての評価もきちんと行なう。

 このPDCA(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Act=改善)サイクルがきちんと回るメカニズムが必須であり、このサイクルは、システム部門とトップマネジメントの間だけではなく、システム部門とユーザー(事業)部門の間においても機能させる必要がある。

 要は、ITの切り口から見た経営の課題に対して、システム部門がやるべきこと、事業部門がやるべきこと、そしてトップマネジメントがやらなければならないことを明確にするということだ。そして、管理サイクルをきっちり回すということは、どれだけ真剣に取り組むかということなのである。

 多くの会社がその労力を避けているところがある。ITは、全力を尽くしてまじめにやれば解けない問題ではないと自分に言い聞かせ、それでも分からなかったら人に聞く。日本人はこれをしない。分かったつもりになって黙っている。

 この連載の第1回目で、「分からなかったら“なぜ?”と3回聞く」ことを、本質を見極めるためのテクニックとして紹介しているが、「そもそもこれってどういう意味?」と臆せず聞いてみよう。課題をテーブルに乗せ、互いに質問し合い、理解しあって、決めたことはちゃんと成果が上がっているかどうかを把握する。最初は敷居を下げて、みんなが分かるところから入り、勉強会なども頻繁にやるべきだ。やらなければならないことは非常に明解であり、あとは強い心持ちで取り組んでいくだけである。

次へ次ページ
ITには会社の悪いところが凝縮される

前ページ <<  1 | 2 >> 次ページ

戻るトップページへ
アスキービジネスのおすすめ
登録は無料!今すぐ登録する方はこちらから 利用者登録がお済みの方はこちらからログインできます
最新ニュース

| ASCII.jp | デジもの | Mac/iPod | 自作PC | 科学技術 | ゲーム・ホビー | 話題 | 情報システム | ビジネス |

| 価格比較 | Microsoft | キャリア | SaaS・ASP | VPN | SHARP | Panaspot | 富士通 | 住まい情報局 |

| EPSON DIRECT | Wireless Gate | アキバ | ムービーフラッシュ | SpeedGun | デジタル用語辞典 | Blogmag | アスキー365 |

サイトポリシー | プライバシーポリシー | 運営会社 | お問い合わせ