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小森哲郎の「経営から見た IT化成功の勘所」タイトル

文●小森 哲郎

第5回 ストラテジー(戦略) 編:勝つためのIT投資・後編


改良・改善のためのIT化だけでは勝てない

 戦略的にIT投資をしてこそ、ITは収益に大きく貢献することができる。しかし、それを考えていない企業は多い。とくに中小企業では、戦略の不在により、本流の戦略的なIT投資ではなく、改善投資のみになってしまっているという現実もある。確かに、社員のみんなが働きやすい環境を作るためのIT投資というのも必要だ。社内のプリンタやPCが壊れたら、放置しておくわけにはいかない。しかし、ほとんどの予算を改善に使っているようでは、その企業に勝ち目はない。投資リターンの少ないところにお金を費やしても、それは単に設備を改善したにすぎない。

 社内にはさまざまなニーズがあるが、戦略がきっちり作れている会社は、何を優先すればいいか、何を緊急に行なわなければならないかが見えている。ここが見えていれば、改良、改善のためのIT化と、勝つためのIT投資とのバランスをどう取るかを判断することができる(図2)。緊急性とIT導入によるインパクトの2観点から、人、モノ、金をどこに集中投資するかを評価すれば、プライオリティは明確になる。そうすれば、メリハリのあるIT投資が行なえるだろう。

図1:IT戦略立案における3つのレイヤー
図2:IT案件ポートフォリオマップ

 ITを、業務プロセス改革を実現するためのツールと考えると、情報システム部という部署があること自体、間違いなのかもしれない。ITといったとたん、コンピュータ技術寄りの集団になりがちだ。「業務改革室」というような名前にしたほうが、IT戦略の本質を突いていると言えるだろう。次回は、7Sのうち「組織機構」(Structure)、「運営システム」(System)の観点から、IT化成功の勘所を探ってみよう。


小森 哲郎(こもり てつお)氏
 
著者・小森 哲郎(こもり てつお)氏プロフィール
コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーで18年間の勤務経験を持ち、世界各国の企業の戦略策定、経営改善に携わる。2002年4月よりアスキーの顧問として再建企画を策定したのち、同社社長に就任、短期間のうちに劇的な企業再生を実現する。現在は、クラシエホールディングス株式会社の代表取締役CEO兼社長執行役員として全社の改革を進めている。



※この記事は、「アスキービジネス ITスキルアップ 2005年12月号」の記事「小森哲郎の『経営から見た IT化成功の勘所』」を再掲載したものです。

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