文●小森 哲郎
前回は、「7S」のフレームワークを使って、ITの問題を7つのSで切り分け、その原因を多面的に捉えていくテクニックを紹介した。これにより、問題の原因が、表面上見えているものだけでなく、実は組織内のほかの問題から引き起こされているケースなども見抜くことができるようになる。
原因が分かったら、次はどう解決していくかである。今回は、まず7つのSのうち、「スキル(Skill)」と「スタッフ(Staff)」に焦点をあて、2つの要素を合わせて問題の解決方法を探っていこう。
7S:経営における課題解決に取り組む際、Strategy(戦略)、Structure(組織機構)、System(運営システム)、Skill(組織能力)、Staff(人材)、Style(経営風土)、Shared Value(共通価値観)の7つの観点から、原因や解決策を多元的に捉えるための枠組み。
IT化がうまくいかない原因がスキル・スタッフにあるとき、典型的には、ITのテクニカルな面より、以下の2点にその要因を集約できることが多い。
●マネジメントスキル不足
●現場のニーズの抽出能力不足
この場合のマネジメントスキルとは、IT化のプロジェクトに関わる人たちを取りまとめて、さまざまな問題解決を進めていく能力である。その際、必要となるもののひとつが、コーチングスキルである。プロジェクトが問題に直面したとき、現場やスタッフ、または外部のSEをどう指導していくか、コーチングを含めた指導力が必要になってくる。
また、IT化を進める情報システム部を、チームとしてまとめあげるマネジメントスキルもある。そもそもチームが、成功するための要素を満たしていなければ、IT化に限らず、チーム協業型活動の成功はあやぶまれる。
では、チームが成功する要素とはなんだろうか? 図1は、実際に目覚しい業績をあげたチームの事例分析を基に導かれた結果である。
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| 図1:すぐれたチームが必ず達成している3つの成果 |
すぐれたチーム(HPT: High Performance Team)は、プロジェクトの成果として、3つのアウトプットをきっちりと出している。1つは「業績達成」。ITのシステム導入だったら、ニーズに合ったシステムを決められた予算と期限内に作りあげることが、それにあたる。もう1つが「チームの協業」である。業績の達成が、個人や一部のメンバーだけでなく、チーム全員のコラボレーションの結果として達成されなければならない。そして、「個人の成長」。チームが協力して業績を達成する過程において、メンバーが個人としても成長できてこそ、HPTと言える。
そして、この3つの成果には、「スキル」「コミットメント」「責任感」という、3つの要素がそろっている必要がある。ここで求められるスキルとは、メンバー個人の問題解決能力、対人関係能力、技能的・機能的能力(専門的な能力)である。そして、これらのスキルがバランスよく備わっていることが重要となる。
コミットメントを支えているものは、まずは具体的な目標である。目標がなければコミットすることもできない。そして共通のアプローチ、目的に対する共通理解も欠かせない。
責任感には2つある。1つは個人のもので、もう1つは少人数での相互共同責任だ。チームというものは、100人や200人という大人数でやってもうまくいくことはあまりない。コアなところで、少人数で、チームとして共同で責任をとることが大切だ。
うまくいかなかったプロジェクトをこのHPTのフレームワークで見ていくと、チームとして何が足りなかったのかが分かり、的確な評価ができる。