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小森哲郎の「経営から見た IT化成功の勘所」タイトル

文●小森 哲郎

第2回 問題の原因を「7S」を使って多元的に捉える


問題の原因を7Sのつながりで掘り下げる

 それでは、実際に典型的なITの問題の1つを取り上げ、7Sに落とし込んでいってみよう。ここでは、「現場のニーズの抽出が十分でないために、適切なシステムが構築されない」という問題を取り上げてみることにする。

IT化の問題の典型的例
図2:IT化の問題の典型的例(画像クリックで拡大)

 まず、「IT部隊に現場のニーズを汲み取るだけのスキル(Skill)がなかった」という要因が考えられる。IT部門のスタッフ全員がエンジニアで、現場の経験者が1人もいなかったら、現場感覚とはどうしても乖離してしまうだろう。しかし、それだけと結論づけてしまうのは性急だ。現場のニーズを的確に抽出するには、IT部隊はそうとう深く現場の中に入っていく必要がある。現場との頻繁なやりとりなくして、現場のニーズを吸い上げることはできない。コミュニケーションというと「質」が問われがちだが、重要なのは「量」のほうなのだ。どれだけ顔を突き合わせて話をしたかということがモノを言う。しかし、組織内におけるIT部門の位置付け上(Structure)、現場に対してリーダーシップをとる権限が与えられていないこともあるだろう。また、現場との対話の場となる会議体などの運営システム(System)がなければ、いきなりやれと言われても難しい。

 さらに、その会社の経営スタイル(Style)が事業部主体で動いているものだったら、本社主導でIT化を進めるのは困難である。本社の言うことを現場は聞かないし、本社のほうも現場には近づけない。

 スタッフ(Staff)にも原因があるかもしれない。個人の物事を理解する能力、コミュニケーション能力などの不足により、現場のニーズを把握しきれなかったということも考えられる。

 7Sのつながりを意識することで、目に見える問題点がIT部門のスキル不足にあったとしても、組織構造上の責任権限の問題や、経営スタイルからくる本社と現場の価値観のズレなども、相互に関連しているのが見えてくる。

 ぜひ今回の復習として、職場での問題を1つ取り上げ、7Sを使ってその根元的な原因を掘り下げてみてほしい。


小森 哲郎(こもり てつお)氏
 
著者・小森 哲郎(こもり てつお)氏プロフィール
コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーで18年間の勤務経験を持ち、世界各国の企業の戦略策定、経営改善に携わる。2002年4月よりアスキーの顧問として再建企画を策定したのち、同社社長に就任、短期間のうちに劇的な企業再生を実現する。現在は、クラシエホールディングス株式会社の代表取締役CEO兼社長執行役員として全社の改革を進めている。



※この記事は、「アスキービジネス ITスキルアップ 2005年9月号」の記事「小森哲郎の『経営から見た IT化成功の勘所』」を再掲載したものです。

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