文●小森 哲郎
したがって、まずシステムを導入してから考えていたのでは、問題が起きるのも当然である。「なぜ」「何を」「何の目的で」「いつ」作るべきなのか、という定義がまずは大事になる(図3)。
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| 図3:システム構築ではこの定義が何よりも大事になる |
今企業には、IT化が企業の競争力向上のどこにつながるのかを解くことが求められている。そのためには、まず事業家の目で「そもそもうちの会社の競争力、ひいては戦略とは何なのか」を考える必要がある。競争力とは、単純化してしまえば、他社との差別化能力である。他社と同じことをしていても競争力アップにはつながらない。
となれば、標準化されたパッケージシステムを単に導入するだけでは、他社との間に差別化を生み出すことは難しい。求める事業戦略が「他社に追従」なら分かるが、十分な競合との差を生み出せないIT投資は、コスト倒れになってしまうことにもなる。
ITというものはそもそも分かりにくい。分かりにくい問題を解くときは、基本に戻るのが大切である。分からないことは、ちゃんと分からないと言おう。そして、ベンダーやシステムインテグレータの話をうのみにしない、だまされない。
そのためにも、「Ask why three times」(「なぜ」を3回聞け)は、1つのテクニックとして常に実践することを勧める(トヨタでは5回の「なぜ」を奨励しているという)。さらに「Is that so?」(本当にそうなの?)とダメ押しをし、最後に「Prove it to me!」(論理的に説明してよ)までねばる。前職のコンサルタント時代に、これを先輩から徹底的に叩き込まれたものだが、問題解決の基本技である(図4)。
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| 図4:本質を見極めるための実践テクニック |
何度も繰り返すが、ITは構造的に問題を起こしやすい。したがって、問題を解くには、基本を見極める目が大切になってくる。次回からは、典型的なITの課題を1つずつ取り上げ、その問題解決の視点や具体的なテクニックを紹介していこう。

※この記事は、「アスキービジネス ITスキルアップ 2005年8月号」の記事「小森哲郎の『経営から見た IT化成功の勘所』」を再掲載したものです。
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