文●税理士 今村 仁
ITに関する税制知識に定評のある税理士・今村 仁氏がマネジメント層が知っておきたい最新のIT税制について、解説を行なう。
今回は前回に引き続き、システム投資などをするときに事前に知っていると得をする税制上の優遇措置についての続編をお送りします。
情報基盤強化税制に該当する設備を取得した場合、「税額控除」と「特別償却」のどちらかを選択できることになっています。では、納税者の有利になるよう選択する場合、税額控除と特別償却のどちらがいいのでしょうか。
各企業の資本金額や売上などによって左右される部分が大きいのですが、一般的には、最初の1年間だけなら特別償却、長期的に見れば税額控除が得になるケースが多くなります。
その理由は、特別償却を選択すると1年目の償却費は大きくなるのですが、特別償却を含めても償却自体は購入価額(1円の備忘価額は会計上残る)までしか認められないため、通算すれば普通に減価償却したときと変わらないからです。
しかし、もう一方の税額控除の場合は、減価償却で計上した費用に加えて、設備投資額の7%の税金を差し引くことができます。つまり、通常の減価償却分と税額控除額を足した分の節税効果が得られることになります。これによって、通算した場合には税額控除の方がメリットが大きくなることが多いのです。
ただし、当期・来期の所得がマイナス(つまり赤字)予想であれば、税額控除を選んでも節税効果はありません。こういった場合は、特別償却を選んで、赤字を次年度以降に繰り越した方がよいでしょう。
情報基盤強化税制以外にも、投資をしたときに税金の軽減措置がある制度はいくつかあります。その中でも利用しやすいものとして、「中小企業投資促進税制」という制度があります。
これはその名のとおり、青色申告書を提出する「中小企業者等」(該当の条件は、下記の条件を参照)のみに適用される税制ですが、IT関連以外の投資でも適用される、“利用しやすい”税制なので覚えておいてください。
この制度では、下記の要件を満たした設備をリースで取得した場合、設備投資の4.2%の税額控除が受けられます。また、該当する設備を購入した場合は30%の特別償却を受けられます。
| 図1:「中小企業投資促進税制」を利用できる対象設備 |
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| *「一定」の条件は「複写して販売するための原本を除く」など複数存在するので、税務署などに確認するほうがよい |
なお、この税制においては、資本金が3000万円以下の中小企業者等は「特定中小企業者等」と呼ばれ、該当する設備投資を取得したときに、特別償却だけでなく税額控除を選べるようになっています。
| 図2:中小企業者等と特定中小企業者等の適用関係の違い |
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| 特定中小企業者等のみ「取得」の場合でも、税額控除の優遇税制を利用することができる |
前回の冒頭で述べた「少額減価償却資産の特例」という制度は、その対象となる設備投資資産が、新品か中古かを問いません。しかし、先ほどから見てきた情報基盤強化税制や中小企業投資促進税制については、その対象となる設備投資資産が中古の場合は対象となりません。
それから、注意したい点として、仮に対象設備を事業年度末までに購入していたとしても、その設備が稼動していなければ当事業年度においては適用が受けられないというルールがあります。ちなみに「少額減価償却資産の特例」のケースも同様です。
また、決算申告時の処理についても留意点があります。それは、少額減価償却資産の特例や情報基盤強化税制、中小企業投資促進税制の3税制すべてについて、税務申告時に添付する税務署指定の用紙である「別表」やその補足資料の「付表」が必要となる点です。忘れないようにして下さいね。
これまで解説してきた税制優遇措置を活用する際に注意したい点がいくつかあります。
まず、情報基盤強化税制や中小企業投資促進税制は、対象設備を購入しても、その事業年度内に設備が稼動していなければ、適用が受けられないというルールがあります。
また、設備投資資産が中古の場合、情報基盤強化税制や中小企業投資促進税制の投資対象として認められません。
なお、前回解説した「少額減価償却資産の特例」は、取得したものの事業年度内稼動のルールは適用されますが、設備投資資産が新品か中古かは問われません。
また、決算申告時の処理についても留意点があります。それは、情報基盤強化税制や中小企業投資促進税制、少額減価償却資産の特例の3税制すべてについて、「別表及び付表」と呼ばれる、法人税申告時に税務署に提出する書類が必要だということです。詳しくは国税庁のホームページに掲載されていますが、忘れないようにしてください。
2回にかけて解説した少額減価償却資産の特例や情報基盤強化税制、中小企業投資促進税制ですが、どれも2008年3月末までの適用期間となっています。しかし、さまざまな報道を見ていると、経済産業省はこれらの期間延長や情報基盤強化税制の要件緩和措置などを求めているようです。