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こんなに進化する「ネクストVPN」1/2

NTTコミュニケーションズ ブロードバンドIP事業部マーケティング部 統合VPN販売企画担当課長 中原祥雄氏 ネットワークマガジン編集長大谷イビサ
写真●NTTコミュニケーションズ
ブロードバンドIP事業部マーケティング部
統合VPN販売企画担当課長
中原祥雄氏
写真●ネットワークマガジン編集長
大谷イビサ

業務アプリケーションの利用やコミュニケーションのインフラとしてVPNの重要度はますます高くなっている。今後、VPNサービスはどのような方向に進んでいくのだろうか? NTTコミュニケーションズ ブロードバンドIP事業部 マーケティング部 統合VPN販売企画担当課長 中原祥雄氏に、既存のユーザーのニーズやサービスを振り返りつつ、次世代のVPNサービスの姿を聞いてみた。

ますます多様化するVPNサービス

 企業ネットワークにとって、VPNはすでに欠かせない存在となっている。激しい業界再編が起こり、ユーザーのニーズもますます多様化するなか、今後、果たしてVPNサービスはどうなっていくのか? まずは簡単にこれまでのVPNの歴史を振りかえって見てみよう(図1)。

 ご存じの通り、日本では、専用線、フレームリレー(FR)に続くWANサービスとして、1990年代末からIP-VPNと広域Ethernet、そしてインターネットVPNが登場した。IP-VPNは主にMPLSというスイッチング技術を用いたIP専用のWANサービス。網側にルーティングやポリシー制御の機能を持ったアウトソーシング型のサービスで、さまざまなアクセス回線を収容できる柔軟性が大きな売りである。大手通信事業者がこぞってサービスを提供したこともあって、主にフレームリレーの置き換えサービスとして人気を博した。

 一方の広域Ethernetは、LANで用いられたEthernetをそのままWANとして展開したサービスで、帯域あたりの単価が安価なのが特徴。CWC(クロスウェイブコミュニケーションズ)やパワードコムなど、新興の通信事業者が市場に出現してきた時期であり、主にIP-VPNでカバーしきれなかった部分で導入されていった。

 そしてもう1つがインターネットVPNである。もともとVPNはインターネットの使い方の1つとして提案されたという経緯がある。そして、ADSLやFTTHが一般的となった現在では、機器や回線、保守までをまとめたマネージドサービスが人気を博している。

図1●WANサービスのトレンド
図1●WANサービスのトレンド(画像クリックで拡大)

 さらに、ADSLやFTTHなどブロードバンド系のサービスを使いつつ、通信事業者の閉域網でVPNを構築するIP-VPNのお手軽版「エントリーVPN」も有力な選択肢となっている。安価でありながら、閉域網を使うため、セキュリティも高い。NTTコミュニケーションズでは「Group-VPN」というサービス名で展開されているが、コストを重視する中小企業で特に人気が高いという。

企業に受け入れられたそれぞれのVPN

 ブロードバンド化の波とともに、これらのVPNサービスが多くの企業に受け入れられた経緯は、今さら説明するまでもないだろう。

 まず、多拠点を低速な専用線やフレームリレーにつないでいた企業はIP-VPNへの移行を果たした。たとえばNTTコミュニケーションズでは、「Arcstar IP-VPN」という名称でサービスを展開しており、「サービス開始以来IP-VPNは急激な伸び率で加入者を増やし、2002年にはFRとIP-VPNの施設数が逆転しました」(中原氏)というのが現状だ。

 また、主にATM等の大容量回線を用いていた企業は広域Ethernetをこぞって導入した。最近では、企業ネットワークも業務アプリケーションの増加や大容量化が顕著になり、より高速・広帯域の回線ニーズが強まっている。高速・広帯域ニーズに強い広域Ethernetもブレイクし、もはや純増数ではIP-VPNを凌駕している。一方、IP-VPNも高速・広帯域ニーズに応えるべく、Ethernetアクセスの構成比率が高まってきている。

 もちろん、ベストエフォートな回線でコストメリットを追求するユーザーはインターネットVPNやエントリーVPNで拠点間をつなぐようになった。こうしてVPNは企業ネットワークの重要な部品として、日本の企業に根付いたのである。

図2●統合VPNでの各サービスの位置づけ
図2●統合VPNでの各サービスの位置づけ(画像クリックで拡大)

複数のVPNを組み合わせる「統合VPN」

 こうした時代の流れの中で、WANサービスを提供する通信事業者の役割も変わりつつある。

 IP-VPNや広域Ethernetが登場した2000年前後は国内では「失われた10年」と言われた不景気のまっただ中。そのため、「どの市場調査を見ても、企業のWANに対する第一の要望はコストダウンという状態でした。そのため、少しでもコストパフォーマンスの高いサービスを提供するということが通信事業者に求められていました」(中原氏)。また、サービスに関しては、とにかく安定度が要求されていたようだ。たとえば、自由度の高い広域Ethernetはシステムインテグレータによるシステム構築の部品として使われることが多い。こうなると、専用線に変わる「速くて堅い土管」が必要になる。

 もちろん、ルーティングなどを通信事業者側に委託してしまうIP-VPNのようなアウトソーシング指向の高いサービスも存在する。しかし、基本は安価でありながら、落ちないサービスの提供が通信事業者に求められた要件だったのである。

 その結果として、通信事業者は今までのようにサービスの品揃えを追求すればよいというだけではなくなってきた。コストと信頼性、通信品質やセキュリティ、管理性など複数の相反する要件を同時に満たすための「ソリューション提案」という新たな役割が与えられたのである。

 これに対してNTTコミュニケーションズの「統合VPN」ソリューションは、信頼性の高い広域EthernetやIP-VPNと、経済性の高いインターネットやエントリーVPNを適材適所でメリハリを付けて組み合わせ、コストと信頼性のバランスをとっている。拠点やアプリケーションの重要度、伝送するデータの量、拠点の規模やユーザー数などさまざまな条件を元に各VPNのメリットを「いいとこ取り」する(図2)。

 本社やデータセンターなどの重要度の高い拠点には信頼性の高い広域EthernetやIP-VPNを導入し、営業拠点や支社などにブロードバンドサービスをベースにした安価なインターネットVPNやエントリーVPNと組み合わせるといった例である。これにより、低価格で高い信頼性という要件をクリアし、ネットワークを最適化するというわけだ。

 これは単なるマーケティング用語とは違う、これからの企業ネットワークの考え方をユーザーに提示したといえよう。こうした組み合わせ技は、あくまでユーザー視点からのローコスト技法だったからだ。その点、本来高価なサービスを売りたい通信事業者側から、特徴の違う複数のVPNを上手く組み合わせて信頼性・コスト・帯域など相反する課題を解決する手法が提案されるというのはかなり新鮮だったわけだ。

多様化するニーズとネクストVPN

 しかし、昨今では回線の安定度やコストメリットといった要件から変化しつつある。ニーズが非常に多岐に広がっており、指向も異なっているのが実態だ。「もちろん、『速くて堅い土管』をさらに突き詰めてほしいというニーズもあります。その一方で、VPN機器の運用や保守を通信事業者に委託するマネージドサービスの故障対応の充実や障害自体が起こらないこと求めるお客様もいます。また、高速なVPNサービスのうえで、オンデマンドでアプリケーションを使いたいというニーズも出てきました」(中原氏)。

 しかし、今まで通信事業者はこうした多様化したニーズに応えられる体制になっていなかった。そこで、2006年度にNTTコミュニケーションズが掲げていくのが、前述したネットワーク領域のサービス「拡張」である。「主に去年やっていた『統合VPN』ソリューションは、平面的に4つのVPNを組み合わせることで、お客様のバリューを突き詰めていく形態でした。しかし、2006年度は『適材適所ネットワークはN’EXTENSIONモードへ』という標語を掲げて、大きく3つのサービス拡張を実現します(図3)。もともと『統合VPN』ソリューションは当初から『アプリケーションからマネージメントまで最適なソリューションを提供します』というコンセプトでやっていました。今回は、これを具体化した拡張になっています」(中原氏)。では、実際の3つのサービス拡張とはどんなものなのだろうか?

図3●N'EXTENSIONモードのサービス拡張
図3●N'EXTENSIONモードのサービス拡張(画像クリックで拡大)
記事協力:NTTコミュニケーションズ

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