いまから2年程前になるだろうか。無線LAN通信を利用できる携帯電話「DoCoMo FOMA900iL」が登場し、これを内線電話に活用するソリューションが提供された。気になった読者もいたことだろう。ここでは、意外にコストがかかるIP電話端末の観点からVoIPの動向を見てみよう。
音声通信に無線LANを利用する技術のことをVoWLAN(Voice over Wireless LAN)と呼び、これはVoIPの中でも面白いアプローチの1つだ。電話端末として携帯電話を使用し、社内では無線LAN経由で内線通話端末として使い、社外では携帯電話として使用する仕組みだ。
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| 社内に設置された複数の無線LAN AP(アクセスポイント)と携帯電話との間が無線化でき、無線LAN APはLANと接続される(画像クリックで拡大) |
DoCoMo FOMA900iLを利用した内線IP化は、FOMA端末と社内アプリケーションとの連携による業務効率化を視野に入れた、モビリティの高さが売りである。すでに導入された例もあり、立ち仕事が中心の生産現場、在席率の低い職場、あるいはフリーアドレスオフィスなどに適している。導入したほとんどの企業が、内線活用に主眼を置いており、アプリケーション連携によるモビリティの向上は、二の次という印象を受けた。
たとえば、騒音が大きく呼び出し音が聞こえない生産現場では、携帯電話のバイブレーション機能が役立ち、顧客からの電話にすぐに応答(騒音を避るため移動)できる点が評価されている。また、社員に携帯電話を配布しているのだから内線にも使えるほうがよい判断した会社もある。導入にあたっては端末コストがネックとなり、全体の初期コストは小さくない。コスト削減効果を期待するというよりも、ビジネスチャンスを逃さない点に着目している企業が多かった。
オフィスワーカー中心の会社ならば、PC上のアプリケーションとして動作するソフトフォンを使ってIP電話システムを導入するシナリオも考えられる。こちらは、固定のIP電話機を購入するよりずいぶん安上がりになるという大きなメリットがある。ただ、これまでの電話と操作感がかけ離れたソフトフォンに対して、抵抗する人はどの会社にも少なからずいるだろう。もちろん、固定のIP電話端末とソフトフォンを併用することも可能なので、どうしてもソフトフォンは嫌だという人には固定のIP電話端末を使わせるという折衷案がベストかもしれない。