MS-Officeにはない機能として、Kingsoft Officeの売りにもなっているのが「PDFファイルの出力」だ(画面4)。Kingsoft Officeでは、各ソフトで作成したデータをダイレクトにPDFファイルに変換することができる。MS-OfficeでPDF出力を行なうには別途ソフトが必要なことを考えれば、この機能だけでもKingsoft Officeを使う価値はある。MS-Officeの次期バージョンでもPDF出力は搭載されないので、この点ではKingsoft Officeが優位という印象だ。
PDF出力機能以外で目立つ独自機能は、前述のタブで複数ファイルを切り替える機能ぐらいしか見当たらない。あまり大げさな独自機能があると、MS-Officeとの互換性に問題が生じてしまう恐れがあるので、当然といえば当然だろう。
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| 画面4●Kingsoft Officeは標準でPDF出力機能を備える(画像クリックで拡大) |
Kingsoft Officeのもうひとつの売りになっているのが、MS-Officeとのファイルの高い互換性だ。しかし、前述の「Kingsoft Office 2007で使えない主な機能」で示した通り、マクロなど、Kingsoft Officeに搭載されていない機能については、一切互換性はない。では、高い互換性とはどの程度のものなのか。MS-Officeで作成したファイルをKingsoft Officeで利用した場合と、Kingsoft Officeで作成したファイルをMS-Officeで利用した場合とで、気になる点を検証してみた。
表●Kingsoft OfficeとMS-Officeを相互利用する上で注意したい点
| ソフト | マイクロソフト→キングソフト ※キングソフト側でマイクロソフトのファイル形式がそのまま読み込める |
キングソフト→マイクロソフト ※キングソフト側でマイクロソフトのファイル形式で保存 |
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| Kingsoft Writer (ワープロソフト) |
・文字だけの文書の場合は、ほとんど問題ない。 ・文書中に貼り付けた図や写真には、修正が必要なズレが生じる場合がある。 ・文書中に挿入したクリップアートや図表が正しく表示されないことがある。 |
・ほとんど問題ない。 |
| Kingsoft Spreadsheets (表計算ソフト) |
・表の見た目は問題ない。 ・キングソフトで対応していない関数が使われている場合、その旨を表すメッセージが表示される。関数式の結果のみを利用できる。 ・3D効果の付いた立体のグラフは3D効果のないグラフとして表示される。 ・ピボットテーブルの表は、その見かけのまま通常の表として利用できる。 ・キングソフトで使えない機能が含まれていた場合は、それを確認することはできない。 |
・ほとんど問題ない。 |
| Kingsoft Presentation (プレゼンテーション作成ソフト) |
・スライドに挿入したクリップアートや図表が正しく表示されないことがある(画面5・6)。 ・アニメーションがパワーポイントと同等に再現されないことがある。 |
・ほとんど問題ない。 |
※ 赤字の項目はそのまま使うには支障が生じる可能性がある。
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|---|---|---|
| 画面5・6●PowerPoint(左)で作成したファイルをKingsoft Presentation(右)で開くとやや図形が崩れる場合もある(画像クリックで拡大) | ||
結果は、図形やアニメーションなど、文字以外のオブジェクトに気を付ければ問題はなさそうだ。ビジネスシーンで一般的に作成されるファイルに関してはひとまず合格といっていいだろう。ただし、表計算ソフトを利用するときには注意が必要だ。Excelの関数は、Kingsoft Spreadsheetsですべてが利用できるわけではない。Kingsoft Spreadsheetsでは、特にデータ分析系の関数が多く削られており、DSUM 関数(条件を満たすレコードの合計を求める)やDAVERAGE関数(条件を満たすレコードの平均を求める)などの「データベース」に分類される関数や、PHONETIC関数(セルに入力された文字列のふりがなを表示する)などには対応していない。
Kingsoft Spreadsheetsでは、読み込んだシートに使えない関数が含まれていると、一応メッセージを表示するようになっている。しかし、それがどの場所で使われているかまでは教えてくれない。関数によほど詳しくない限り、どんな影響が出るか分からないということだ。関数については、自分がよく使う関数が使えるかどうか、試用版での確認をおすすめする。
なお、Kingsoft Officeでは、プログラムの変更があった場合には、インターネットを通じて自動的にバージョンアップされるとのことなので、互換性の不備や足りない機能など、これからの対応に期待したい。
では、どのようなシチュエーションでKingsoft Officeを使うことができるだろうか。
まず、Kingsoft Officeをメインで使う場合、単独で使う分にはまったく問題ない。ただし、ベータ版や試用版をダウンロードし、使いたい機能があるかをあらかじめ確認してから購入を考えたい。もし、MS-Officeユーザーとのやりとりが中心になると想定されるなら、お互いに同意の元という場合を除き、とりあえずは避けたほうが無難だろう。
そうなると、メインで使うのではなく補助的な使い方になる。たとえば、「会社ではMS-Officeを使っているが、自宅のパソコンにはMS-Officeがない」という場合や、「デスクトップにはMS-Officeが入っているが、ノートパソコンには入っていない」といった際にはKingsoft Officeの出番だ。特にホームユースのパソコンには、WordとExcelはプリイストールされていても、PowerPointはインストールされていないことも多い。その場合、プレゼン資料の作成に、Kingsoft Presentationが重宝する。ワープロ、表計算、プレゼン資料作成、いずれもビジネスに使うには、互換性の点でやや足りないところがあるものの、MS-Officeが使えない場所で、その代わりとして使うツールと考えれば、価格面からみても十分満足できる。
また、2007年早々に、マイクロソフトからウィンドウズの新バージョン「Windows Vista」とオフィスの新バージョン「Microsoft Office 2007」(MS-Office 2007)が発売される予定だが、Kingsoft OfficeはWindows Vistaでの動作や、MS-Office 2007で採用されるXML形式のファイルもサポートする予定だ。MS-Office 2007は、画面デザインや操作が従来までと大きく変わり、一般に普及するには時間がかかると見られている。その間、MS-Officeのユーザーの多くがKingsoft Officeに流れるというのは考えにくいだろうが、MS-Office 2007との互換性次第では、使い慣れた操作性を備えたKingsoft Officeのユーザーが増えることになるかもしれない。