2006年8月14日
2スピンドルのビジネス向けノートPCとして、東芝から「dynabook Satellite K15/10」がリリースされた。この製品で東芝が目指したのが、高い品質を実現し故障率をこれまで以上に低減させること。そもそも東芝のノートPCの故障率は低く、それをさらに低減させるのは並大抵ではない。これを実現するために、東芝はどのように開発に取り組んだのかをレポートしたい。
ノートPCを作り続けて21年になる東芝の強みは、そこで使われる主要コンポーネントのほぼすべてを自社またはグループ会社で開発していることだ。単純に国内で組み立てるというだけでなく、基板やBIOSなどは東芝自らが設計・開発できることを強みに高い品質を実現している。その東芝がこだわっていることの1つが「壊れにくさ」である。
クライアントPCとして幅広く使われているノートPCは、携帯性や省スペース性、そして低消費電力といった魅力があるものの、一方で壊れやすいという欠点もあった。東芝はこの課題を解決するべく長年ノートPCの品質改善に取り組んでいる。こうしたたゆまぬ努力の結晶として、今回リリースされたのが、2スピンドルのビジネス向けノートPCである「dynabook Satellite K15/10」だ。
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| 東芝のビジネス向けノートPC dynabook Satellite Kシリーズ(※クリックで拡大) |
東芝ではノートPCの品質を高めるために、「設計品質」と「製造品質」、そして「部品品質」の3つをポイントとして挙げている。設計段階で故障の要因をできるだけ減らし、さらに製造プロセスの改善や部品の見直しなどによって品質を向上させるというわけだ。
これらの中で特に東芝が重視しているのが設計品質の強化で、具体的な改善策の1つとして挙げられるのがメイン基板の単板化である。多くのノートPCは複数の基板から構成されているが、基板同士の接合部のトラブルや、パーツ点数の増加によるトラブルなど、不良発生率は高まってしまう。そこで東芝では基板を単板化することによって基板接合部をなくし、パーツも削減して不良発生率を抑えているというわけだ。また基板には防滴対策が施されており、水滴や湿気による腐食からも保護されている。
設計品質という面で、東芝のきめ細やかさが感じられるのが、基板を留めるネジ穴の周辺に基板部品を実装していないという部分。ネジ穴周辺には応力(ストレス)がかかりやすく、さらにネジ穴を通じて本体の振動が基板に伝わってしまい、基板と部品をつなぐハンダがクラックするなどといったトラブルが起こることがある。そこでdynabook Satellite Kシリーズでは、ネジ穴と基板部品をできるだけ離して実装させた基板を開発することで故障発生率の低減につなげている。
また、もっとも応力のかかる基板の中央にあるネジ穴は、あえてネジ止めをしないことにより「遊び」を持たせ、これにより振動や衝撃といった基板への悪影響を回避する仕組みとなっている。さらにネジのゆるみや脱落による故障を防ぐために、必要な強度を保てるパーツの固定方法を採用することで、使用するネジの本数を大幅に削減しながら従来同等の強度を確保している。
こうした品質の向上のために、今回の製品から「HALT(Highly Accelerated Life Test)」と呼ばれる超加速寿命試験システムが利用されているのも注目したい。HALTは製品に対して数年分の温度変化や衝撃、そして振動を短時間で試験対象に与え、それによってどのように劣化するのかを試験できる装置である。これによってノートPCを利用し続けていくとどのような劣化が起こるのかを事前に把握することが可能となり、これを設計にフィードバックしている。ちなみにHALTは、飛行機や自動車など、製造したものの故障が生命の危機につながる製品で使われることが多く、ノートPCで使われることは希ということで、ここからも東芝がノートPCの品質向上にどれだけ情熱を傾けているかが分かるだろう。
また、東芝によれば今回のdynabook Satellite Kシリーズについては、品質を向上させるために設計の前段階でも長い時間をかけたという。たとえば内部で使われている部品に関しても、それぞれの部品を実際に製造するベンダーと協議を重ね、品質に対してこれまで以上に高い要求を設定、それをクリアしたものを利用するなどといった取り組みである。また以前の製品では、衝撃からノートPC内部を保護するためのバンパー構造が、ユーザーに見える形でデザインされていた。しかしdynabook Satellite Kシリーズでは、シンプルな外観を実現するため表に出すことなくバンパー構造を実現するためにはどうすればよいのかなど、事前にさまざまな課題とその解決策が検討されており、それが設計に反映されているということである。
こうしたさまざまな工夫によって従来の製品から堅牢性をさらに向上させたdynabook Satellite Kシリーズだが、それを実証するために今回東芝では外部機関による試験を実施、その結果を公表した。試験を行なったのはドイツの認定機関であるテュフラインランドグループで、試験内容は落下試験と浸水試験の2つ。まず落下試験は机の端から落とした場合を想定し、高さ70cmから落下させた直後に電源を入れて正常に動作するかどうかという試験。2つ目の浸水試験は、机に置いたコップが倒れ、その水がノートPCにかかった場合を想定し、水100ccを注いだ後に作成中のデータを保存するまでの一定時間(テストでは3分間)、電源ショートなどが起きないかどうかがチェックされた。dynabook Satellite Kシリーズはいずれの試験もクリアしており、高い堅牢性が確保されていること、そしてウォーターブロック構造が十分に機能していることを証明している(ただし、これらはあくまでも試験結果であり、実際にこうした事故が発生した場合は有償修理となるので注意してほしい)。
ノートPCとしてのスペックを見たとき、注目したいのは15.4型のWXGA(1280×800ドット)液晶の搭載だろう。特に表計算ソフトなど、画面の広さが使い勝手を大きく左右するアプリケーションを利用する際には、横幅が200ピクセル以上広がったインパクトは大きい。またdynabook Satellite K15では、CPUにデュアルコアのCore Duoを搭載する。メモリも512MBを標準で搭載しており、多くの用途に余裕を持って応えられるパフォーマンスを持つ。
当然のことだが、ビジネスにとってPCが重要なアイテムになればなるほど、何かあったときには作成したデータの消失や貴重な時間のロス、そして修理に掛かるコストといったダメージが大きくふくれあがってしまう。このように考えると、業務で使うノートPCは、壊れにくいことが大きな要件であろう。その意味で、設計から製造、そして部品に至るまで品質にこだわり、故障の要因を徹底的に排除したdynabook Satellite Kシリーズは、ビジネスPCに求められるもっとも重要な要件をクリアした1台と言えそうだ。
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写真左上:東芝 PC第一事業部 PCマーケティング部 プロダクトマーケティング担当 主務 原田健史氏 写真右上:東芝 PC第一事業部 PCマーケティング部 プロダクトマーケティング担当 村上学氏 写真左:東芝PC第一事業部 PCマーケティング部 マーケティング担当 主務 荻野孝広氏 |
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