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ここまで“使える”! ASP
Part.2 「@Tax」に見るASPサービスのトレンド

文●ロビンソン・岡崎勝己

2006年8月3日

これからはアプリケーション“+α”が選択の決め手に

 ASPサービスはこれまで、パッケージ・ソフトウェアの代替品として捉えられてきた。しかし、ここにきてそのようなユーザーの認識を改めさせる新たなビジネスモデルが登場し始めた。ASP白書2005では、その種類について、(1)顧客のビジネスプロセスの上流部分(ASPサービスによる管理業務支援等)から中流・下流部分(データベース管理・ドキュメント管理)までを、一貫したサービスとして提供する「ビジネスプロセス・サービス融合型ASPモデル」、(2)アプリケーションによる業務管理支援に加えて、人が介在して付加価値を高める「ヒューマンウェア融合型ASPモデル」、(3)アプリケーションによる業務管理支援に加えて、評価サービス、コンサルティングサービスなどの専門サービスを一緒に提供することで、より付加価値の高い専門サービスを提供する「専門サービス付加型ASPモデル」の3つを挙げている。

 会計や税務のパッケージアプリケーション開発を手掛けるミロク情報サービスのグループ企業、ミロクシステムサポートが提供する「@Tax」は、これらの新たなビジネスモデルを採用しているASPサービスの1つだ。具体的には、同社がこれまで提供していた会計ASPサービス「clear works」と、会計や税務申告にまつわる業務代行サービスを一括して提供するものである。

 日本には株式会社や有限会社などを合わせて約300万の企業が存在すると言われている。しかし、会計パッケージを自社で利用している企業は徐々に増加しているものの、現時点では約3割にとどまると見られている。

「従業員数30人以下の企業が全企業の95%を占めるなかで、会計にまつわる知識を豊富に備えている企業は決して多くはなく、ほとんどの企業は税務処理はもちろん、会計処理も会計事務所に一任している。一方で会計パッケージは、会計にまつわる知識やノウハウを備えた企業を対象にしている。つまり会計知識がある“少数派”の企業を対象にした会計ASPサービスは、現実的に広く普及することを期待できなかった(ミロクシステムサポート)」

 この状況を打開するために同社が着目したのが、会計ASPサービスのみならず、会計事務所に一任していたあらゆる業務も同社と契約した会計事務所が請け負うというビジネスモデルなのである。

図5●@Taxのサービス概要
図5●@Taxのサービス概要(※クリックで拡大)

付加価値サービスが他社との差別化の切り札に

 これまで、中小企業では会計事務所を選択するための、明確な基準が存在しなかった。いわゆる“口コミ”によって会計事務所を選ぶケースがほとんどで、コストを比較しながら選択するといったケースは少なく、会計業務に関する費用対効果は把握されていなかった。

 しかし、@Taxは利用料(個人事業主で月額2万2000円、法人で2万7000円~)と提供されるサービス内容が明示されており、しかもパソコンを操作する必要もない。利用者は手書きの帳簿や領収書を用意するだけで、入力業務から月次試算表の作成、税務申告などの作業を一括して委託できる。

「@Taxはコストやサービスレベルなどを明らかにすることで、費用対効果の観点からサービスを利用すべきかどうかを判断できるようにした。反面、会計ASPをサービスのツールとして利用することで会計事務所の業務効率をアップでき、当社の試算では会計ASPを利用しない場合と比較し、コストを6割にまで抑えられている。同時に会計事務所はコンサルティングなどの専門性を求められるサービスもオプションとして提供できる(ミロクシステムサポート)」

 このような点がユーザーから評価され、@Taxを利用する企業は急速に増えているという。実際に@TaxのID数は、サービススタートからわずか半年ですでに100を数える。「clear works単体と比較して、普及の速度は3倍以上(ミロクシステムサポート)」だ。コンビニエンスストア大手のファミリーマートはフランチャイズチェーン加盟店向けに会計事務や税務申告を一括して代行するサービスを昨年12月に開始したが、同サービスも@Taxを活用して実現したものだ。さらに、ある金融機関からも顧客に対して会計業務サービスを提供することを目的に、@Taxの引き合いがあるという。

 もっとも、会計処理は基本的なルールこそ同じものの、業種や業態によって最適な処理方法は異なる。そこで同社では、個々の業種業態向けごとに最良の会計処理内容をメニュー化している。現在、コンビニエンスストア向けと飲食店向けのメニューを提供しており、今後、ドラッグストア向けのメニューの追加を予定しているという。

 一方で、会計業務に用いられるデータは社内のさまざまな業務で利用されることも多いが、@TaxではCSV形式のファイルで他システムとデータのやり取りが可能なほか、clear worksのカスタマイズによってデータ連携作業の自動化にも対応しているという。もっとも、「サービスレベルと料金の双方を明確にしたのが@Taxの特徴。ソフトウェアをカスタマイズすることでサービスレベル以上の要求に応えることはできるが、個別に対応するとその分、利用料がかさむことになる」(ミロクシステムサポート)。

 とはいえ、@Taxには、ミロク情報サービスの開発ノウハウが大いに反映されており、一般的に必要とされる機能を兼ね備えているのは言うまでもない。

 中小企業向け会計アプリケーションではパッケージやASPサービスを問わず、すでに機能の成熟化が進み、ソフトウェア単体で他社と明確な差別化を図ることが困難になっている。そのような状況を打破するために、アプリケーションに付加価値サービスを組み合わせることで、他社に先んじようとする企業が今後も相次ぐと容易に推測される。ASPサービスの利用に踏み切る際には、アプリケーションだけでなく、“+α”も選択の大きなポイントとなりそうだ。

@Tax Webサイト:
http://www.clearworks.co.jp/kaikeiasp/index.html

次へPart.3 活用事例●レモン(アウトソーシング/人材派遣業)

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