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2006年10月30日
ソフトバンクモバイルは、10月30日夜、都内で緊急会見を開き、28日夜および29日午後に発生したMNP(携帯電話のナンバーポータビリティ)業務停止に関する説明を行なった(既報=速報記事、続報記事)。ここでは、2時間弱に及んだ会見の中で明らかにされた、トラブルの原因と同社がとった対策を中心に詳しくお伝えする。
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| 会見で謝罪した後、原因と対策を説明するソフトバンク代表執行役社長の孫 正義氏 |
会見には、代表執行役社長の孫 正義氏とともに、情報システムを統括する、専務執行役 情報システム・CS統括本部長(CISO)兼カスタマーサービス本部長の阿多親市(あた・しんいち)氏が同席し、孫氏の説明を補う形でより詳しい説明が行なわれた。
阿多氏によれば、同社のシステムに障害が起きたきっかけとなったのは、家族割引に関連した処理。同社の家族割引では、1家族を「主回線」と「副回線」とに分け、それぞれ異なる割引額を設定している。そのため、家族割引の加入者がMNPによって他キャリアに移行する場合に、主回線・副回線のステータス情報の変更などで複雑な処理が発生し、輻輳したという。
それに追い討ちをかけたのが、同社のMNP手続きに関わるシステム側の処理プロセスだ。24日のMNP開始直後の同社のシステムでは、顧客管理システムなどの業務システムにMNPシステムの一部が組み込まれる形になっていた。そのため、新規契約やプランの変更などに加えて、MNPのポートイン(転入)/ポートアウト(転出)の処理まで、すべてのトランザクションが業務システムに集中するようになっており、店頭での各種申し込みが殺到した28日になって業務システムへの負荷が一気に膨れ上がった。
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| 24日時点での同社のシステムは、MNPシステムが業務システムに組み込まれていた |
その結果、バックオフィスを担うシステム全体に遅延が発生。MNPでは、MNP予約番号をもとに移行先キャリアから移行元キャリアへ情報を照会し、移行元キャリアを解約する流れなっているが、この際、各社で取り決めた“移行先キャリアのリクエストへ120秒以内にレスポンスを返す”というルールを守れなくなったという。「ソフトバンク側の遅延が頻発したため、(au/NTTドコモの)両社から申し出があり、一度止めざるを得なかった」(孫氏)。
同社では、これを受けて、28日夕方にすべての受付登録業務を停止。遅延が発生していた業務システムの時間当たりの処理能力を、設定の見直しなどによって2倍程度まで引き上げた。だが、受付を再開した翌29日においても前日に受付けた分の積み残しの処理が早朝から大量に発生し、業務システム側の処理が追いつかない状況に。再び遅延が見られるようになったため、12時10分には早くもMNP業務を停止し、MNP以外の業務のみを受け付けるようにしたという。
この29日の夜には、さらに追加対応策として、顧客情報を管理する業務システムとMNPシステムを切り離す作業を行なっている。この対応策によって、ポートアウトの際には業務システムを通さず、直接MNPシステムから他キャリアのリクエストに応えられるようになった。プロセスの簡略化を図るとともに、業務システムへの負荷を軽減させた結果、30日現在は、MNP、新規契約/契約内容の変更ともに問題なく行なえるようになったという。また、連休を挟む11月5日までの間は、11時から13時、17時から19時までをピークタイムとして設定し、MNPの処理を優先させるとともに、11月1日から5日までは原則としてMNPと新規契約のみを受け付けるなどの対策を打ち出している。
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| 29日夜に行なった作業で、MNPシステムと業務システムとを切り離した |
なお、ソフトバンクからのMNP受付停止の理由について、他キャリアは、「ソフトバンクからの転出者が殺到し」といった趣旨の説明をしていたが、孫氏によれば、「(予想外割を発表した)26日以降はソフトバンクへの加入が多いと感じている」とのことで、両社の主張は食い違いを見せている。
会見冒頭、ユーザーや他キャリアに対して、「迷惑をかけた」と謝罪した孫氏。だが、一方で、「われわれが“予想外”を発表するまで、盛り上がらない、メリットが少ないと(MNPは)言われていた。能力が足りなすぎたという面はあるだろうが、MNPの目的である“競争を促進する”という面においては貢献しているのではないか」と、やや開き直りとも取れる発言も。
また、トラブルに関する謝罪と説明を行なうための場であるはずの会見にも関わらず、「他キャリアへの通話が割高だ、という指摘を受けて」(孫氏)と、ゴールドプランの通話料の値下げを発表。11月10日から、他キャリアへの発信料を21円/30秒へと値下げし、他キャリアの標準的な料金プランと同等額にするという。「ソフトバンク同士のメール無料」の対象を徐々に拡大するなど、23日にゴールドプランを発表してから同プランの内容を変更するのはこれで3度目だ。
「常にお客様のことを考えている。不満に思うお客様がいればなるべくすぐに対応したい。それが会社としてのポリシー」(孫氏)という同社だが、こうした料金プランの度重なる変更や、複雑な料金体系が店頭やシステムの対応など、トラブルの一因を招いたのは明らかだ。今後、こうした同社の取り組みが、どのような形でユーザーに受け入れられるのか。孫氏が「少なくとも毎月公表したい」というMNPによる転出者・転入者数の数字を見守りたい。
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