オフィスにおけるIT化がどれだけ進んでも紙の書類は一向に減る気配がなく、むしろ増え続ける一方である。こうした紙の書類を一気にデジタル化する製品として、近年注目を集めているのがドキュメントスキャナだ。
PCを使ってさまざまなドキュメントを作成することが当たり前になり、これにより各種資料をデジタルのままHDDなどに保存できるようになった。また、ネットワークの整備によって、そうして作成したドキュメントを簡単に第三者に配布できる環境も整っている。このようにドキュメントの作成や保存、配布を巡る環境は大きく様変わりしているが、実際にオフィスを見回してみると、請求書や納品書などといった各種伝票、あるいは稟議書や経費精算用の書類など、さまざまな紙が飛び交っている。
言うまでもないが、紙の資料は保存に多くのスペースが必要となり、さらに管理も非常に面倒だ。こうしたさまざまな紙をデジタル化し、保存や管理を容易にしてくれるのが「ドキュメントスキャナ」と呼ばれる製品である。
ドキュメントスキャナとは、大量の紙原稿を高速に読み取り、デジタルデータとして保存することを目的に開発されたスキャナである。フラットベッドスキャナとは異なり、大量の紙書類を高速に読み取ることが目的であるため、1枚あたり数秒というスピードで紙文書を次々とスキャンできるのが最大の特徴だ。ここでは、こうしたドキュメントスキャナの1つである、キヤノンの「DR-5010C」をレビューしたい。
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| キヤノンのドキュメントスキャナ「DR-5010C」。A3サイズに対応し、50枚/分(A4・縦・200dpi・両面)という高速スキャンを実現している。 |
ドキュメントスキャナを導入する際、製品選択の指標の1つとなるのが読み取り速度である。DR-5010Cは1分間あたり50枚/分(A4・縦・200dpi・両面)というスピードを誇り、しかもカラーでもモノクロでも同じスピードで読み取れる。つまり「本当はカラーで読み取りたいけれど、遅いからモノクロで」といったことを考えることなく、カラーのドキュメントをそのままデジタル化できるわけだ。もちろん両面読み取りにも対応しており、たとえば名刺の両面を1度にスキャンする、といった使い方もできる。読み取れる原稿の幅も広く、厚紙から薄紙、そして名刺サイズからA3までスキャン可能であることも大きなポイントだ。
また、当然のことながら原稿を正しくきれいに読み取れるかどうかも、ドキュメントスキャナ選びにおいて重要な指針の1つである。その意味で、DR-5010Cの機能でぜひ注目したいのが豊富な読み取りモードが搭載されている部分だ。「白黒」「カラー」「グレースケール」といった基本的なモードに加え、「テキストエンハンスメントモード」が用意されている。
大量の書類をスキャンするという場面では、ファイルサイズを抑えるために白黒モードを利用するケースが多い。しかし地色の付いた原稿を白黒二値でスキャンすると、文字がつぶれたり、あるいは背景に沈み込んでしまい、文字が読み取れなくなることがある。テキストエンハンスメントモードは白黒モードでありながら、こうした原稿でも背景を自動的に認識し、文字を強調して保存するという機能である。
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| 一番左がオリジナルで、真ん中が白黒モード、右がアドバンストテキストエンハンスメントモードでスキャンした画像。テキストエンハンスメントモードを使えば、背景の薄いグレーが取り除かれ読みやすい文字でスキャンされるのが分かる。 |
また、写真などを読み取る際に「3次元色空間補正」機能。デジタルカメラの普及などにより、写真が貼り付けられた書類を手にする機会も増えているが、DR-5010Cならこうした原稿でもきれいに読み取れる。
DR-5010Cをハードウェアの面から見たとき、まず目を引くのが机の上でも十分に使えるコンパクトさだ。また、本体上部のふたを開くと給紙/排紙部が現れる設計のため、使わないときはふたを閉めておくことで、スペースを有効活用できるのも嬉しい。
給紙と排紙は、両方とも前面から行なう「Uターン排紙」と、前面から給紙/背面から排紙する「ストレート排紙」の2種類が選べる。通常はUターン排紙でよいが、曲がらない固い原稿をスキャンする際にはストレート排紙を利用する。たとえばレンタル業では、本人確認のために顧客に免許証の提示を求めるケースが多い。ただ免許証は固く折り曲げられないが、DR-5010Cならストレート排紙を選択することにより、これをそのままスキャンすることができるわけだ。
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| DR-5010Cに用紙をセットしたところ。給紙口の上から排紙されるUターン排紙では、利用者が動き回る必要がなく、またスキャン時に必要なスペースも最小限に抑えられる。 |
さらに給排紙の面では、原稿を1枚ずつ確実に給紙する構造を持ち、さらに仮に複数枚同時に給紙してもそれを高精度で検知する点も見逃せない。複数枚同時に給紙してしまうことを「重送」と呼ぶが、これが起こってしまうと、原稿の一部が読み取られていないという大きな問題が発生してしまう。DR-5010Cでは、原稿を1枚1枚確実に分離して搬送する「リタードローラー」という特殊なローラーで紙を送ることに加え、さらに重送を超音波や長さで検知する機構を備えることで、そうしたミスを防いでいる。
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| 万が一紙詰まりを起こしても、本体前面から簡単に原稿の搬送路にアクセスすることが可能。なお、中央の中央に見えるのがリタードローラーだ。 |
実際にDR-5010Cを使って原稿を読み取るには、「TWAIN」や「ISIS」といった汎用的な規格を使い、それに対応したアプリケーションを使う方法と、製品に付属する純正ユーティリティである「CapturePerfect」を使う方法の2種類がある。ドキュメントスキャナならではの多彩な機能が利用できるのは、CapturePerfectでのスキャンだ。
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| DR-5010Cに付属するユーティリティ「CapturePerfect」の操作画面。さまざまなオプションから、読み取るドキュメントに合わせた設定が可能だ。(画像クリックで拡大) |
CapturePerfectを利用するメリットはいくつもあるが、たとえばキヤノン独自の「高圧縮PDF」が生成できることが挙げられる。スキャンするドキュメントによっても異なるが、場合によっては通常のPDFの1/10程度にまでファイルサイズを削減できる。大量の書類をデジタル化する場面では、この容量の差は非常に大きい。
またOCR機能も搭載されており、得られたテキストデータをPDFに埋め込むことが可能だ。これにより、キーワードを指定して検索することが可能になり、大量のPDFの中から目的のファイルを全文検索を使って探す、といった使い方を可能にしている。
使い勝手の面では、設定した内容を複数保存しておけるのが便利だ。たとえば「カラープレゼン資料スキャン用」などといった名前で設定を保存しておき、2回目以降はそれを呼び出すだけですぐにスキャンを始められる。普段のスキャンにかかる時間を短縮できるだけでなく、PCやスキャナに詳しくないユーザーにDR-5010Cを使ってもらいたい場面でも便利だろう。
その他の機能としては、帳票の罫線を消したい場面で使える「カスタムカラードロップアウト」や、ハンコの捺印のかすれを補正する「赤強調機能」、原稿が傾いていた際にそれを補正する「斜行補正」など、紙資料を読み取る際に便利だと思われる機能が豊富に用意されている。
ここまでDR-5010Cをレビューしてきたが、いかがだっただろうか。なおアスキービジネスでは、アスキー社内で実際にDR-5010Cを導入し、さまざまな業務でこの製品がどのように使えるのか検証を行なった。今後レポートしていくので、ぜひ注目していただきたい。
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| 本体背面の様子。インターフェイスはUSB 2.0に加え、SCSI-III;(D-Subハーフ50ピン)もある。 |
| 製品名 | DR-5010C |
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| URL | http://cweb.canon.jp/documentscanner/dr-5010c/index.html |
| 最大読み取りサイズ | 幅:53mm~300mm 長さ:70mm~432mm ISO/JIS規格準拠カード(エンボス付カードを除く)/サイズ:53.9~85.5mm カード厚:0.76mm(±0.08mm) |
| 光学解像度 | 600dpi |
| 給紙方法 | 標準/自動/手差し |
| インターフェイス | USB2.0(HI-SPEED USB)/SCSI-III(形状:D-Subハーフ50ピン) |
| 読み取り面 | 片面/両面 |
| サイズ | 398.4(W)×194(H)×763(D)mm(トレイ全開時) |
| 重量 | 約10.5Kg |
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