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コラム

会社を動かす社長の仕事は?
知っておきたい経営者の視点

2005年9月27日  文●戸田 覚

第9回
社長は会社のお金をどう考えているか



経営者でも分かりにくい会社の“お金”

 従業員として働いていると、会社とお金について、噂を耳にすることは多いだろう。

「会社は儲かっているらしい」

「最近全然売上が伸びていないから危ないんじゃないか……」

 やはり自分が勤めている会社のことだけに、従業員はいろいろと憶測し、心配して噂話をする。もちろん、仕方のないことだ。だが、そんな“なんとなくのうわさ話”をするのには、原因がある。それは、会社のお金が非常に分かりづらいからだ。

 一口に言って会社が儲かっているかどうかは、そう簡単には分からない。もちろん、爆発的に儲かっていたり、倒産寸前ならば誰の目にも明白だし、そんな雰囲気も伝わってくる。だが、あまり波風の立たない経営がされている状況では、儲かっているか否かを従業員が知ることは難しいのだ。

 実は、経営者も決算が出るまで収益が分からないことさえある。もちろん、四半期ごとに把握する程度のことはできているが、毎月のように把握できている会社は意外と少ない。

 分かりやすいのは売上高だが、そこから仕入れやランニングコスト、給与を支払い、税金の支払いや減価償却を終えて、やっと利益が見えてくる。

 上場企業では、決算を終えて情報か開示されて、やっと本当の収益が見えてくるのが普通だ。ところが、毎年赤字が続いているのに、倒産しない会社も多い。中には、某IT系企業のように、赤字続きなのに株価が上がっている会社さえある。いったいなぜだろう?

経営者はキャッシュフローと投資を常に考えている

 小さな会社では、借り入れや支払いがあれば、経営者はそこをかなり意識している。だが、大きな会社の経営者が常に意識しているのは、キャッシュフローだ。

 キャッシュフローとは、利益から役員賞与や配当金を引いた内部保留金に減価償却を加えたものだ。

 つまり、キャッシュフローは会社が自由に使えるお金と考えていいだろう。このお金は、主に将来の投資に回される。それは、会社規模を大きくするための人材確保や設備投資、研究開発などだ。前回取り上げた経営戦略とも、当然密接に関わってくる。

 キャッシュフローを何に投資して、どのように将来的に成長していくかが、経営のキーワードなのだ。「今期いくら儲かったか」と、そればかり考えている経営者は能力が高いとは言えない。大事なのは、中長期的な収益の確保による安定的な経営なのだ。

 だから、多少赤字が続いたとしても、将来の大きな黒字が見えている会社の株価は上がっていくのだ。

 逆に、事業展開の少ない中小企業の経営者は、損益分岐点を意識することも多い。会社というのは、常にコストがかかっている。売上が1円も上がらなくても、家賃や光熱費、給料などが出ていく。この、毎月決まった金額を固定費と呼ぶ。さらに、売上が増えると、仕入れの材料費やパート代、在庫費用などが増える。こちらが変動費だ。この2つが事業の経費になる。

 全体の売上のなかで、経費(コスト)を引いてゼロになるのが損益分岐点である。逆にコストの方が高ければ、会社は赤字になり、逆は黒字だ。経営がシンプルであれば、売上が損益分岐点を超えるか否かが、重要なポイントになるのだ。

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