社長や上司の話の中で、『経営戦略』や『事業戦略』という言葉を耳にすることはないだろうか。経営者は会社を運営していく上で、つねに経営戦略を考えているのだ。
ところで、戦略とはいったい何だろう? この点をもう一度おさらいすることから、経営者の考えを理解していこう。
戦略と戦術は、対とされる言葉だが、そもそもは軍事用語だ。それぞれを英語に直すと、戦略はストラテジー、戦術はタクティクスとなる。
戦略とは、戦争の目的そのもののことだ。つまり、戦争の可否を含めて戦争全体の方針と考えてもいいだろう。戦争の準備や停戦なども戦略に含まれる。戦略兵器というと、戦争そのものを決める大規模核兵器などを指す。
この言葉を企業で使うときには、企業や事業全体の方針や指針と考えればいい。『経営戦略』とは、企業の目標そのものととらえることもできる。具体的な行動そのものの内容ではなく、会社全体として向かっていくべき進路だ。戦略的思考といえば、長期的な視点に立ったビジネスを勝利に導く考えであり、まさに経営者が考えるべきことになる。
戦術と戦略は同じものととらえる人も多いが、本来は異なっている。戦術は、戦略という目的を達成するための手段だと考えるべきだ。戦争では、個別の戦闘の対応策となる。たとえば戦術兵器であれば、その場の戦闘のために利用する武器になる。
つまり、正しい戦略があってこそ企業は長期的に存続し、成長できる。また、明確な戦略があってこそ、統一された正しい戦術が遂行されるわけだ。別の言葉に置き換えるなら、企業としての目的が明確ならば、組織や現場は正しい仕事ができるということだ。
戦略は経営者が判断し、作り上げるものだ。これができないと、経営者たる意味はない。その戦略を達成するべく、会社という組織は戦術を練り上げていく。これが基本的な考え方となる。
「○×市場は今後の成長は期待できないため、弊社は、適正な利益を上げるために調達コストおよび人件費の削減に取り組み……」こんな大方針が経営戦略である。自分の会社の戦略を確認して、自分や自分の組織の仕事のあり方を明確にすれば、正しい戦術が遂行できるわけだ。
「会社はコスト意識を打ち出しているから、今回の仕事では、仕入れ価格を抑えて利益を生み出そう」と、考えるのが戦術である。また、『戦略的情報システム』(SIS)という言葉もよく使われる。これは、競合他社に勝つための手段として利用する情報システムのことだ。ITが急速に拡充してきたこれまでの15年間ほどの間、経営者は常に情報システムの導入のタイミングを見計らっていた。それによって、業務を効率化し、事業が大きく飛躍する可能性が高かったからだ。もちろん、投資額も大きいが、企業そのものの優位性を明確にする仕組みだけに、まさに戦略といえるわけだ。
企業にとっての情報システムは、いわゆる核兵器のようなものだと考えられる。業界での位置づけを一気に優位にする強力な武器だったわけだ。ところが最近は、ほとんどの会社が情報システムを導入している。そのため現在では、システムの運用そのものではなく、システムを生かした攻めの経営がテーマとなってきている。
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