「社長は、何を考えているのかさっぱりわからないよ」。いろいろな会社に取材に行ったり、コンサルにはいると、現場からこんな声がよく聞こえてくる。
確かに、現場から素晴らしい提案を出したとしても、社長の意に沿わずにボツになることも多いだろう。また、どう見ても無理なスケジュールで企画や開発を強いてくる経営者も多いに違いない。
――いったい、経営者はなぜそんな無理を通してくるのだろう?なぜ、現場の気持ちがわからないのだろうか?
こんな経営者の思考を理解するには、自分自身が経営者になってみるのが早い。社長と社員とでは考えていることが徹底的に異なる。自分たちの主張や不満を並べる前に、まずは、経営者の気持ちを考えてみようではないか。もちろん、現実的に会社を辞めて経営者になるのは無理だ。「仮に今経営者になったなら、何を考えるか想定してみよう」という話だ。
さあ、これから何を考えるか、バーチャル社長として検証してみよう。
まず最初に考えることはお金だ。売上やら利益の前に、現実として目先のお金を考えるのが普通だ。ご飯を食べて生活していくためには、財布の中のお金がなければならない。会社とて同様だ。家賃や光熱費、各種経費から仕入れまで、とにかくお金がかかる。出すべきお金が手元にあるかどうか、これが一番大事だ。
必要なお金がなければご飯は食べられない。会社も倒産である。
たとえば借金をするとしても、目先のお金の手当が付いたなら、やっと経営らしいことを考えられる。売上と利益だ。もちろん、仕入れや経費も含めて、会社が回るかどうかを思案する。売上が不足しているなら、営業に回ったり、広告宣伝をしなければならない。
次は人だ。目標とする売上に到達するために、人材は足りているだろうか? もちろん、人材を確保するためには給料というコストがかかる。果たして給料を支払っていける売上が確保できるだろうか? さらに、雇用した人材が期待したとおりの働きをしてくれるだろうか?
扱ってる商品やサービスも重要だ。良い物でなければ売上は伸びない。
さて、ここまで読み進めると、世間一般に言われていることと同じだと気づく。「人・モノ・金」ということだ。結局、この3点がうまくそろわなければ、会社経営はおぼつかない。素晴らしい提案だと思って上司にあげてもNGが出たならば、どこかが欠けていないか、もう一度検証してみるといいだろう。
何度提案を出しても通らない人は、こんなマクロ的な視点に欠けているからなのだ。逆に言うなら、経営者は売上が悪くても、社員の質のせいにはできない。そもそも社員自体が経営者の武器なのだ。武器が多少悪くても、その範囲内で戦えないなら経営者失格である。自分は武器として適切だろうか? 逆の立場から考えてみたい。
経営者は、会社の運営や社員の給料支給に責任を持ち、必死に頭を巡らせて多くの判断をしている。だから、たくさんの給与をもらっても当然なのだ。「社長ばかり儲けて」と思うのも間違いだ。そもそも、儲けたいからこそ、大変な覚悟の元に社長になるのだから。
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