事業を成功させるには、人、モノ、金、時間、場所など、いろいろな要素を考えなければならない。ここで言う事業とは、1つひとつのプロジェクトだけを指すわけではない。会社の運営そのものも事業の1つなのだ。
社長は、事業を成功させる方法を常に考えているのだが、その中で1番大きなウェイトを占めるのは、人のマネジメント。つまり人事である。
たとえば、1人でモノを売っているような会社の社長は、人事を一切考えない。当たり前だが、自分しかいないからだ。社員が1人増え、2人増えていくと「どの作業を誰にやらせるか?」を考え始めるようになる。
まずは、作業分担だ。事業自体はすべて社長が取り仕切るが、いろいろな作業を担当者に振り分けていく。
よく、直接マネジメントできる部下の数は、5名とも8名とも言われる。どちらにしろ、10名を超える頃には、中間管理職を置かなければならなくなる。
さらに人が増えると「どのプロジェクトを誰に任せよう」と考え始めることになる。社長自身がやりきれなくなってきたマネジメントを含めて、管理職の部下に任せようと考えるわけだ。
さらに会社が大きくなると、「営業に関しては営業部長に任せる。売上の数字だけを報告してくれ」と、仕事を完全に委任するようになる。つまり、細部の人事を含めて、丸ごと責任者に任せてしまうのだ。社長はあがってくる数値を見て、事業の善し悪しを判断する。
大きな会社の社長になると、数千人、数万人の社員の頂点に立っている。
はっきり言って、現場の人間が何をやっている知らないのは当たり前だ。「社長に会ったことがない」という社員がいても、まったく不思議ではないのだ。
会社が大きくなると、社長が直接考える人事は、役員や部長までになるだろう。その下の人事は、担当社員の役目になる。
僕は、大企業の社長に取材をする機会が多いのだが、そこに同席する社員を見ていると興味深い。
「商品企画部課長の○○と申します」と、取材をしている僕の何倍も緊張しながら、必死に(社長に向けて)自己アピールしているのだ。
できることなら、名刺を交換してほしいと言わんばかりの勢いである。
だがしかし、滅多に会えない社長にゴマをすったり、自己アピールしてもほとんど意味はない。釣りバカ日誌の見過ぎである。
一般社員が自己アピールするとすれば、それは自分の人事を決めている部長に対してだ。自分をマネジメントしている相手に対して、しっかり仕事をしていることを主張すればいいのだ。社長に会ったからといって緊張する必要も、アピールする必要もない。キミの人事とは関係のない人なのだ。
一般社員がゴマをすったり、おもしろい人柄だからといって大抜擢したり、逆に、社長と知らずに失礼な行為をしたから降格にするのは、テレビの中の出来ごとなのだ。仮にもし、実際にそんなことをする社長がいたなら、最悪に仕事のできないアホ社長である。
たとえば、現場の人事を部長に任せたなら、社長はそこに口を出してはいけないのである。これがルールだ。もし、事業がうまくいかなければ、社長は部長をすげ替えるのが役目なのだ。
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