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第10回 いよいよ決算だ!
~在庫の調整をする~


 決算……。これまでその言葉は、自分とはあまり関係のないものと思っていた。しかし、今回は違う。ネットDeベジタブルは今日、はじめての決算を迎えることになった。

どれだけ儲かったかを
確定する「決算」

 会計期間の最後の日、僕はその月の会計データの入力をすべて終えて、できあがった試算表を眺めてみた。

試算表

 1年間の努力が、ここに集約されているんだ。そう思うと、なんだか、涙が出そうになった。月末の処理が終わったことを平林先生に連絡すると、決算ということもあり、ひさしぶりに会って話をしようということになった。

平林先生 いよいよ決算ですね!

僕 はい。無事にここまでたどりつくことができて、本当によかったです。でも、決算って何をするんですか?

平林先生 簡単にいえば、決算はどれだけ儲かったかを確定するための手続きを意味しています。

僕 どれだけ儲かったかを確定する手続き? でも、会計データは毎月処理しているし、試算表を見れば売上*1も経費も分かりますよね?

*1●売上
商品を販売することを「売上」という。商品を売り上げるには、①注文を受け、②商品を出荷し、③先方に届き代金を受け取る、といった作業が必要になるが、会計上は②の時点で「売上」として記録することになる。

平林先生 そうです。でも、いくつか問題があるんですよ。たとえば、以前購入したパソコンは、購入した際に固定資産として仕訳しました。しかし、1年間使って、もう新品ではありませんよね? そこで、使った分だけは費用(経費)にしなければいけません。

細かな仕訳を行なう

 そのほかにも、ネットDeベジタブルの商品である野菜については、お客さんに出荷済みのものと、在庫として手許に残っているものに分類して処理する必要があるのだという(図1)。

図1●パソコンと野菜
図1●パソコンと野菜

平林先生 もちろん、パソコンの使用分といっても明確な金額が分かるわけではないので、便宜的に使用した期間で計算します。また、野菜の仕入代金については、売れた分だけを費用にすることができるのです

僕 そして、費用と売上(収益)との差額が利益になるということですね?

平林先生 そのとおりです! 逆に、使っていない分は資産*2として残しておいて、使ったときや売ったときに費用にするんですよ。

*2●資産
「現金預金」や「商品」「工具器具備品」などのように、会社の有している財産や、会社が利益を得るために利用できる権利などのこと。

僕 パソコンの使用分は、具体的にはどのように計算するのですか?

平林先生 いくつかの計算方法があるのですが、基本的にはパソコンの購入代金を使用期間にわたって費用にしていくことになります(図2)。そしてパソコンの金額を減らして、減価償却費*3という費用に変えるのです。

減価償却する
図1●減価消却の考え方
図1●減価消却の考え方

*3●減価償却
固定資産を購入した場合、その全額を一括で経費とすることはできない。固定資産の使用期間にわたり、徐々に経費にしていく。固定資産の金額を徐々に経費にしていくことを減価償却という。

僕 野菜の在庫についてはどうするのですか?

平林先生 在庫を数えて、このように仕訳をします。

在庫を数えた

平林先生 ちなみに今、在庫がどれだけあるのかを数えることを「棚卸(たなおろし)」といいます。

僕 購入したときに「仕入」としておき、在庫分だけ仕入を減らして「商品」に変えるということですね?

平林先生 ほかに、以前のトラブルの際に説明した貸倒引当金の処理をすれば、ネットDeベジタブルの仕訳は完了です!

貸倒引当金を仕訳する

僕 貸倒引当金というのは、たしか売掛金について現金を受け取れなくなる可能性でしたよね?

平林先生 はい。おそらく、貸し倒れの可能性はほとんどないでしょうけれど、中小企業では税法で決められた割合だけ貸倒引当金とするのが一般的です。

 月々の取引を仕訳しただけでは、厳密な利益は計算できない。固定資産や在庫の調整など、費用となるものとそうでないものをきちんと処理しなければいけないのだ。そして、それが決算なのだと理解した。

 決算を終えたネットDeベジタブルの試算表は、このようになった。

試算表最終

 この試算表を決算書としてまとめなおせば、決算が完結するそうだ。厳密な利益はいったいいくらになったのか。僕は期待と不安で、胸が一杯になった。

平林先生 もう1ランクアップ! 今月のキーワード

決算

 決算と一言でいっても、その作業は多岐にわたります。簡単にいえば、年に1回、もしくは3カ月や半期といった区切りで実施する、会社の利益を確定させるための手続きのことをいいます。

 具体的な作業としては、会社の日々の取引を仕訳したあと、さらに固定資産の償却や在庫の確定、その他の調整作業をします。その上で、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書といった決算書(財務諸表)を作成し、公表することになります。

 なお、会計期間の最終日や、決算を行なっている期間を「決算」と呼ぶこともあります。

文●平林亮子
お茶の水女子大学在学中に公認会計士2次試験に合格。卒業後、太田昭和監査法人(現新日本監査法人)に入所し、国内企業の監査に多数携わる。公認会計士3次試験合格後、独立。楽しく幸せに生きるをモットーに、企業、個人を問わず会計面からのサポートを行なっている。

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