最近の税制動向を見ていると、1つの方向性が見える。それは、ネット企業を狙い撃ちにした増税路線である。たとえば「無申告加算税」の罰則強化も、ネット企業をターゲットにしていると思われる動向だ。具体的には、平成18年度の税制改正案で、個人や法人が申告を失念していた場合に罰則的に課される「無申告加算税」を引き上げられることになったというもの。
加算税は所得税や法人税、相続税など国税のあらゆる税目に共通して適用されるもので、税金の申告が必要な納税者が一定の期間内に所得などを申告しない場合に、本来の納税額とは別に課税されるものである。加算税には、無申告加算税のほかに過少申告加算税や重加算税がある。
今回の税制改正案では、このうち無申告加算税の税率を現行の15%から20%(納付すべき税額が50万円以下の場合は、従来どおり15%)に引き上げる、としている。
最近では、消費税の申告書を提出し忘れていた関西電力に対して、12億円の無申告加算税が課されるという事件も起きている。このケースでは、納税は済ませていたのだが、申告書の提出のみ数日間遅れたようだ。その結果、12億円の無申告加算税となった。
この財務省の無申告加算税を引き上げようとする背景には、昨今のインターネット通販などにおいて税逃れが多発していることがある。
国税庁の税務調査の結果を見ると、平成15事業年度は1件平均899万円の申告漏れだったが、平成16事業年度ではそれよりも16.4%多い1件平均1112万円となった。昨今のインターネット取引が活況であることが見て取れるが、それと同時に財務省がネット取引に対して課税強化をせざるを得ない状況もうかがえる。
インターネット通販などの事業形態では、ネット上ということもあって納税に対する意識が薄い場合が多い。特に個人で始めたサイトなどでは、税に対する無知もあってか、無申告状態で何年も事業を継続している場合がある。こういったことに着目して、財務省は無申告加算税に対する罰則を強化している。
ちなみに、サラリーマンでもインターネット上のアフィリエイトなどによる副収入で、年間20万円を超える利益が発生した場合には申告義務がある。覚えておいてほしい。
課税逃れや脱税をした場合のペナルティというのは、案外知られていない。そこで、税金のペナルティというのを詳しく解説していこう
まず、脱税は「犯罪」であることを知っておいてほしい。税務調査や国税局の査察で発覚すれば、罰金を含む刑罰が待っており、さらに多額の追徴税やペナルティ税が課される。加えて、テレビや新聞など、メディア報道による社会的制裁という側面も忘れてはならない。
脱税により発生するペナルティ税として、まず延滞税(住民税では、延滞金)がある。これは、税務署が罰則利息として徴収するもの。当初の申告期限から2カ月間は約4.2%で、それ以降追加の納税額をすべて支払い終えるまで年14.6%の利息が発生する。
さらには脱税の悪質さ加減に応じて、加算税がかかる。脱税事件となる場合は、通常「重加算税」が課されることになる。重加算税とは税金計算の基礎となる事実を仮装(偽ること)、または隠蔽(意図的に隠すこと)して税金をごまかした場合に課せられるペナルティ税だ。追加納税額の35%または40%の額を課せられる。
さらには悪質で巨額脱税になると、法人税法違反や所得税法違反になる。つまりいわゆる脱税罪で刑事罰を受けることになる。刑事罰は実刑判決と罰金で、たとえば所得税を脱税した場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科せられる。罰金として通常は脱税額のだいたい20%程度が相場になっているようである。
ある試算によると、3年前に発覚した所得10億円の脱税の場合、約9億6800万円のペナルティ税が発生するそうである。単純に本来払うべき税金とは別に倍のペナルティがかかることになる。これを考えると、脱税ではない、節税に力を入れることが大事であることが分かるだろう。
ここで話を最近のネット企業狙い撃ち税制に戻そう。
インターネット企業に関係する税制としては、30万円未満の資産が全額経費処理できる「30万円未満即時償却制度」や、税額控除もある「IT投資促進税制」などがある。30万円未満即時償却制度は、特にパソコンやその周辺機器が対象金額に当てはまることが多い。IT投資促進税制については、対象資産が、「電子計算機、デジタル複写機、ファクシミリ、ICカード利用設備、デジタル放送受信設備、インターネット電話設備、ルータ・スイッチ、デジタル回線接続装置、ソフトウェア」となっているため、IT企業やネット企業でその恩典を多く享受していたのではないだろうか。
このうち、「30万円未満即時償却制度」については、その上限が300万円となり、節税効果に制限が設けられた。また、「IT投資促進税制」については、平成18年3月31日で廃止される予定だ(代わりに、セキュリティ投資減税が創設される予定ではあるが減税規模は縮小される)。先ほどの無申告加算税の引き上げやこのIT機器の導入に有効な減税策の縮小などを見ると、ネット企業を狙い撃ちしているように思える。
読者の皆さんにはぜひ、今、財務省や国税庁がネット企業を集中的に調査しているということを知っておいてほしい。実際私のクライアントや知人のネット系の企業に、頻繁に税務調査が行なわれている。Yahoo! Auctionsや楽天などで稼いでいる方は、すでに税務署や国税庁からマークされている可能性があるので気をつけたい。また自分自身は隠しているつもりでも、取引先の調査でこちらの事情が発覚することも多々ある(これを反面調査という)。今村事務所では初回無料面談をしているので、気になる方はぜひ相談してほしい。