最近では価値観の多様化により、働き方のスタイルが複雑化しつつある。一昔前なら当たり前だった終身雇用が崩れたことによって転職が珍しくなくなり、さらにSOHOや週末起業、社内外注といった労働形態も広まっている。これにより、企業側でも単純に人を雇い入れる以外の方法で、労働力の不足をカバーできるようになった。その1つが、仕事を「外部に発注する」という形だ。
もちろんいずれの場合でも、労働の対価としてお金を支払うことに違いはない。異なるのは会計上の処理で、個人事業主などに外注として発注する場合は「外注費」、雇用関係を結んだ社員に支払う場合は「給料」となる。ただ、この問題は外注費と給料という勘定項目が違うだけというような単純な話ではなく、会社における税金や社会保険料などが違ってくるのだ。今回は、この両者がどのように違っているのかを詳しく解説していこう。
それでは、ここで外注費と給料、どちらが会社としては得なのかを考えてみたい。まずは、給料ではなく外注費として処理した場合のメリットを5つあげてみる。
順番に見ていくと、まずは「固定費の変動費化」。これは、「給料」という形態であると、不況で売上が下がっても基本的に会社としては支払い続けなければならない固定費となる。それに対して、外注費は一般的に変動費と言われる。仕事がなければ発注しなければよく、売上に連動してかかる変動費といえる。つまり、給料ではなく外注費として処理するということは、「固定費を変動費化」していることになるのだ。もちろん会社にとっては、固定費より変動費のほうがありがたい費用と言える。
次に「仕事に対する責任感の強化」を考えてみよう。これはあくまで一般論だが、従業員という立場に長くいると、ほぼ固定の給料という形でお金をもらうためか、仕事に対する緊張感が薄くなり、また責任感も欠如していく場合がある。これに対して個人事業主に外注費として発注する場合、いい加減な仕事では次の発注がなくなるといったペナルティを受ける可能性があるため、社員よりも責任感が強い傾向がある。
給料は支給時に会社が源泉所得税を計算し、それを天引きして支給している。会社は源泉所得税を一時的に預かり、原則給料支給の翌月10日までに納めなければならない。これを「源泉徴収事務」という。いわば、本来であれば税務署がすべき税金の徴収事務を、会社が無料で肩代わりしてあげているということだ。これに対して、外注費であれば原則源泉事務は必要ない。これが3番目の「源泉事務の簡素化」で、外注費で払うことによるメリットと言える。
しかしここで注意点としては、外注費でも源泉事務が必要な場合がある。以下に所得税基本通達を掲載しておくので参考にしてほしい。
| 報酬又は料金の区分 | 左の報酬又は料金に該当するもの | 左の報酬又は料金に類似するが該当しないもの |
| 原稿の報酬 | 演劇、演芸の台本の報酬 口述の報酬 映画のシノプス(筋書)料 文、詩、歌、標語等の懸賞の入賞金 書籍等の編さん料又は監修料 |
懸賞応募作品の選稿料又は審査料 試験問題の出題料又は各種答案の採点料 クイズ等の問題又は解答の投書に対する賞金等 (注) 法第204条第1項第8号に掲げる賞金に該当するものについては、同項の規定により源泉徴収を行うことに留意する。 いわゆる直木賞、芥川賞、野間賞、菊池賞等としての賞金品 鑑定料 (注)法第204条第1項第2号に規定する者の業務に関する報酬又は料金に該当するものについては、同項の規定により源泉徴収を行なうことに留意する。 ラジオ、テレビジョンその他のモニターに対する報酬 |
| 作曲の報酬 | 編曲の報酬 | |
| レコード、テープ又はワイヤーの吹き込みの報酬 | 映画フィルムのナレーションの吹き込みの報酬 | |
| デザインの報酬 | 映画関係の原画料、線画料又はタイトル料 テレビジョン放送のパターン製作料 標章の懸賞の入賞金 |
織物業者が支払ういわゆる意匠料(図案を基に織原版を作成するに必要な下画の写調料)又は紋切料(下画を基にする織原版の作成料)字又は絵等の看板書き料 |
| 著作権の使用料 | 映画、演劇又は演芸の原作料、上演料等 | 著作隣接権の使用料 | 著作権法第95条第1項《商業用レコードの二次使用》及び第97条第1項《商業用レコードの二次使用》に規定する二次使用料 |
| 講演料 | ラジオ、テレビジョンその他のモニターに対する報酬 (注)法第204条第1項第1号に掲げる放送謝金に該当するものについては、同項の規定により源泉徴収を行なうことに留意する。 |
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| 技芸、スポーツその他これらに類するものの教授若しくは指導又は知識の教授の報酬又は料金 | 生け花、茶の湯、舞踊、囲碁、将棋等の遊芸師匠に対し実技指導の対価として支払う謝金等 編物、ペン習字、着付、料理、ダンス、カラオケ、民謡、語学、短歌、俳句等の教授又は指導及び各種資格取得講座に係る講師謝金等 |
(注) 法第204条第1項第1号に掲げる講演料及び同項第4号に規定する報酬又は料金に該当するものについては、これらの規定により源泉徴収を行うことに留意する。 |
| 脚色の報酬又は料金 | 潤色料(脚本の修正、補正料)又はプロット料(粗筋、構想料)等 | |
| 翻訳の報酬又は料金 | 通訳の報酬 | |
| 書籍の装丁の報酬又は料金 | 製本の料金 | |
| 版下の報酬又は料金 | 織物業者が支払ういわゆる意匠料又は紋切料 図案等のプレス型の彫刻料 |