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コラム

《ステップ・バイ・ステップガイド》

佐野 央の
社内システム導入を成功させる方法

2005年7月11日  文●佐野 央

Step 2
対比表を作ると、現場のニーズがシステムの形で見えてくる(3/3)




●不満と要望を対比表にまとめてみる

アドバイザー佐野:それでは、A社にとって本当に必要だったシステムは、どのようなものだったのでしょうか。まずはシンプルに、各部門の不満と、望んでいたシステムの形を対比表の形にしてみましょう。このような対比表を作ることは、問題を整理するのにとても役に立ちますよ。

PM:はい、えーっと、現状と理想、現状と理想は、と……。



Fig.1 各部門の社内システムに対する不満とニーズを整理して対比表を作成する

部門 不満 理想
営業部 製造部が行なっている1日1回の在庫情報アップデートでは、タイムリーな在庫情報が確認できず、注文に対して迅速に対応できない 営業部が受注システムに入力した情報と、製造部の在庫情報が連動し、実在庫・概算の在庫(出荷予約されている数量を差し引いた在庫)の両方がすぐに分かる
種帳票を出力するために、受注システムに入力したのと同じ情報を、今度は部門で作成した表計算ソフトに入力し、マクロを実行しなければいけない 受注システムで、各種帳票が印刷できる
製造部 タイムリーな在庫情報を求められているが、作業員の負荷を考えるととても対応できない 営業部が受注システムに入力した情報と、製造部の在庫情報が連動し、実在庫・概算の在庫(出荷予約されている数量を差し引いた在庫)の両方がすぐに分かる。また、概算の在庫にしきい値を設定し、しきい値を割ったら製造担当者にアラートが報告される
商品企画部 プロジェクトメンバーと共有したい社外秘データがあっても、きめ細やかな公開ルールがシステム上で設定できない。USBメモリでデータをやり取りしているため、データが外部に持ち出される危険性がある データを共有できる場所を作り、プロジェクトごとデータに適宜アクセス権が設定できるようにし、かつ、データを外部に持ち出せないように何らかの制限をかけられる

アドバイザー佐野:これで、A社に必要とされているシステムが浮かび上がってきましたね。

PM:対比表にすると、部門ごとのシステムの利用状況の違いも分かりやすいです。確かにこのシステムを入れれば、製造部が受注のたびに在庫入力をする必要もなくなり、営業部は常に最新のデータを見ることができます。システム導入を進める場合は、技術的要因だけじゃなく、部門や担当者の思惑といった人的要因を考慮したり、業務そのものの流れを理解することも重要なんですね。こうやって見ると、ホント、前回はヒアリングが足りなかったんだなぁ……。

アドバイザー佐野:業務を行なっているのはあくまでも人、システムはその業務を簡素化し、効率を上げるための仕組みです。だから、人を無視してシステムは作れませんが、かといってそればかり重視するのも問題です。例えば、全社員の希望をシステムに詰め込もうとしたら、業務フローが複雑になりすぎて全体の効率が下がったり、導入費用が莫大になってしまう危険性があります。つまり、人、技術、どちらに偏りすぎてもいけないのです。


 さて、導入費用の話が出たところで、次回は、このプロジェクトを進めていくために必要な、技術的・金銭的・人的要因の調整について一緒に考えてみましょう。

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