《ステップ・バイ・ステップガイド》
PM:操作マニュアルの配布だけではだめですか? もしや、マンツーマンで教える必要があるとか?
アドバイザー佐野:うーん、教育が必要なのは、なにも操作方法だけではないのですよ。それでは、システムを利用するユーザーの立場で考えてみましょう。ユーザーは、新システム導入のためにいろいろなことを覚えなければいけません。そうですね、まずは新しいルールであるパスワードを例にしてみましょうか。
表1●パスワードのルール
| 新 | 旧 | |
|---|---|---|
| システムで実装するルール | 各自自分のパスワードを持つ | 部門・役割ごとに共通のパスワードを利用する |
| 記号や大文字小文字、数字を混ぜて8文字以上で作成 | ||
| パスワードの有効期間は90日 | ||
| パスワードの履歴は20回分記録される | ||
| ユーザーに守ってもらうルール | 自分や家族、友人に関係する情報はパスワードに利用しない | 部門ごとのため、特になし |
| 自分の仕事、趣味に関係する情報はパスワードに利用しない | ||
| 意味のある言葉や単語をパスワードに利用しない |
アドバイザー佐野:今度のパスワードには、今までと違ってこんなにたくさんルールが設定されています。ユーザーにとっては、「パスワード管理という面倒くさい仕事が増えた」ということです。
PM:うむぅ、め、面倒くさい、ですか。
アドバイザー佐野:その上、A社は過去にシステム導入に失敗しています。なので、ユーザーは新しいシステムに対して期待と同時に、「今度も自分の仕事がめちゃめちゃになるかも」という不安も持っています。
PM:面倒な上に、不安……。
アドバイザー佐野:「面倒な上に不安」なんて思われてしまったら、システムの積極的利用は見込めません。せっかくここまでやってきたのに、ユーザーが使ってくれなければ、失敗プロジェクトということになってしまいます。
PM:えーっ、そんなぁ。例えばパスワードのルールをこのように決めたのには、ちゃんと理由があるのですよ。外部からの不正アクセスによる機密情報漏洩を防ぐために、パスワードを少し複雑にしたのです。これは、会社だけじゃなく、このシステムを使うユーザーにも安心して仕事をしてもらおうという配慮なのです。それなのに、ひどい。
アドバイザー佐野:おっと! 大事なのはそこ! 「何のためにシステムを導入したのか」「何のためにこのようなルールを設定したのか」という「はっきりとした目的・理由」をユーザーに伝えることが大事なのです。こういったことがきちんと説明されていれば、ユーザーもきっと積極的にシステムを活用してくれるでしょうし、ルールを守ろうと努力してくれるはずです。
PM:う~ん、単に使い方だけ覚えてもらえばいいってものじゃないのですね。
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