ソフトウェア会社のカスタマサポートを担当しているIさんは、最近この仕事にうんざりしている。Iさんの業務はお客様からの障害報告や質問を受けることだ。新たなアプリケーションがリリースされたり、機能が変更されたりするたびに、同じような質問に何回も答えないといけない。トラブルの場合は余計にやっかい。担当の技術部門に問い合わせ、そこからの回答をお客様に伝えなければならない。
解決に時間がかかると、お客様から「今どこまで調査が進んでいるのかだけでも教えて下さい」と催促されることもあるが、そういわれてもぜんぜん状況がわからない。技術部門に訊こうとしても、なんだか技術の人たちも忙しそうで、電話してもなかなかつかまらない。ずいぶん経って技術の人から「OSのバージョンを訊いて下さい」なんていわれることもある。おそるおそるお客様に訊くと、案の定「何で今ごろ!」って怒られて。私のせいじゃないのに。いつまで続くのかこの板ばさみ……。
顧客と直に接するカスタマサポートは大変な仕事です。でも、ここは顧客がITの問題に煩わされることなく、本来の業務に専念するために必要な重要なポジションです。今回はITILの考え方に従いながら、より良いカスタマサポートを実現していく方法を見ていきましょう。
一口にカスタマサポートといっても、顧客から受ける内容はさまざまです。大別すると
などに分類できます。
技術的な内容もあれば、手続き的な内容もあります。技術的な問題であれば、直接技術部門に問い合わせてほしいと思うかもしれません。でも、技術部門はカスタマサポートが本業でないことがほとんどで、緊急のトラブルに対応している最中だと、きちんと質問を受ける余裕がないかもしれません。このような時にサポートを任せると、部門間でたらいまわしになってしまう危険があります。これでは顧客の満足度を上げることはできません。
そこで、顧客からの質問や障害申告をいったんすべて受け、それを内容や緊急度で分類する必要があります。さらに、対応できるものはその場で対応し、対応できないものは適切な部署に割り振り、進捗状況を把握するという機能が必要になります。
ITILではこのような役割を「1st line support」と呼び、それを実行する機能を「サービスデスク」と呼んでいます。また、技術的に高度で「1st line support」では対応できない内容に対応する部門は「2nd line support」と呼ばれます。さらに1st line supportから2nd line supportに質問等を上げることを「エスカレーション」と呼びます。これはコールセンタではすでに一般的な表現です。つまり、最初からシステムとしてサポートを階層化するわけです。