A社の研究開発部門で、システム管理者を務めるMさんは悩んでいた。1年程前にディスクの容量不足でメールサーバのトラブルが頻発したのをきっかけに運用管理の重要さを思い知り、運用体制の見直しや手順のルール化を進めている。また、雑誌等にもまめに目を通し、最近良く耳にする「ITIL」についても、セミナー等で情報収集に努めてきた。ITILは経験や勘に頼るのではない、システマチックに管理や運用を行なうためのシステムの運用・管理のセオリーをまとめたもので、話を聞くといろいろ納得する部分も多い。
しかし、「ITIL」も解説や事例記事を読むと、「できるところから始めればよい」というようなことが書かれているが、いざ自分でやってみようとすると、どこから手をつけてよいかわからない。いわゆる「赤本」「青本」と呼ばれているITILのドキュメントも買って読んでみたが、いまひとつピンと来ない。一体どうしたらよいのだろう。
最近雑誌等で「ITIL」による運用の改善事例を目にすることも多いですが、事例でMさんが悩んでいる通り、実際にやろうとするといろいろな疑問や問題が生じ、なかなかうまく進められずに困っている方も多いと思います。
今回は最終回として、これまで11回にわたって解説してきたITILによる運用・管理手法を実践する上での3つのポイントを示したいと思います。
雑誌等の事例を読むと、「まずITILをしっかり勉強した」という担当者の声などが載っているケースもあります。しかし、必ずしもITILを完全に理解していることが、成功の必要条件とは限りません。運用改善に成功したお客様の中には、現状の課題を解決しようといろいろ検討し、結果としてITIL 的なアプローチを採っていたという例も少なくありません。
ITILは運用・管理をうまく行なうためのノウハウを集めたベストプラクティスですが、それ自体は「目的」ではなくあくまで「手段」に過ぎません。運用の現場により抱えている問題や、環境、仕組み等はそれぞれ異なるため、ITILの手法がすべてのケースでそのまま当てはめられるとは限らないのです。ですから、まずどのような課題を解決したいのか、何のためにITILを導入したいのかという目的を明確にしておく必要があります。「運用にかかるコストを削減し、新規導入にもっと予算をまわしたい」「運用のどこにコストがかかっているかを可視化し、予算管理に役立てたい」など、具体的に目的を明確にしておくと方針が立てやすいでしょう。
|
|
||||
|
|
|
|
|
|
|
|
||||