Mさんは、ある企業の情報システム部でシステム運用のリーダーを任されている。ある日、多忙な合間を縫って出かけたセミナーで「ITの目的はあくまでビジネスを支えること」というのを聞いて、なるほどとうなった。果たしてわれわれはきちんとビジネスを効率的にサポートしているのだろうか?
問題意識に目覚めたMさんは、早速自分たちの部門でも実践してみようと考えた。試しに社内のいくつかの部門に情報システムのサポートについて訊いてみると、意外な答えが返ってきた。「何か起きてもすぐに対応してくれない」「質問に対する回答が遅い」……等々不満なようだ。普段の努力にみんな感謝してくれているだろうと思っていたのとはまったく逆のこの結果に、Mさんはひどく落ち込んでしまった。これでは日々がんばっているメンバーが報われない。何が悪いのか。
企業のシステム部門がシステムを整備し、運用していくことは非常に多くの労力を必要とします。ところが、ユーザーからは「ITシステムは動いていて当たり前」という評価になりやすいため、システム部門は「顧客を失望させない」ことを第一に考えがちです。しかし、ITシステムはサービスとして提供されるものである以上、顧客の満足度を考えなければなりません。では、顧客の満足度を最優先で考え、「顧客を満足させる」、さらに「顧客に感動を与える」ように変えていくにはどうしたらよいのでしょうか?
今回は、顧客と良好な関係を築くのに必要な「サービスレベル管理」について考えていきましょう。
顧客の期待とは「特に要求はないが、何かあった時にはすぐに対応してほしい」というような漠然としたものです。顧客満足とは、この期待と現実のギャップであり、現実が期待を満たした時に顧客は満足し、さらに現実が期待を上回ってはじめて感動につながります。逆に顧客に無用に高い期待を抱かせると、同じサービスを提供していても顧客を失望させてしまいます。
事例では、Mさんはきちんと自分の業務を行なっていたつもりでしたが、社内の各部門は「何かあった時にはすぐに対応してくれる」、「質問にはすぐに回答が返ってくる」という期待を持っていたわけです。しかし、実際のサービスとのギャップを感じており、それが不満につながっていました。顧客満足度を高めるためには、この期待をコントロールする「サービスレベル管理」が重要です。