この顧客の期待のあいまいさをなくすためには、顧客の要求を理解した上で、実際にどのようなサービスが提供されるかを明確にし、それを顧客に認識してもらう必要があります。そのための資料として、現在どの顧客に対し、どんなサービスが提供されているかを示すリスト(サービスカタログ)があります(表1)。このサービスカタログはサービスレベル管理だけでなく、CI(構成アイテム:「 第5回 構成管理 」参照)として登録しておくことで、キャパシティ管理や問題管理などのプロセスで、サービス単位での管理が可能になります。
| 人事部 | 経理部 | 調達部 | 総務部 | |
|---|---|---|---|---|
| 顧客別サービス | ||||
| 人事システム | ● | ● | ||
| 給与システム | ● | |||
| 経理システム | ● | |||
| 調達システム | ● | |||
| 共通サービス | ||||
| イントラネット | ● | ● | ● | ● |
| インターネット | ● | |||
| 電子メール | ● | ● | ● | ● |
| Webシステム | ● | |||
| データベース | ● | ● | ● | |
次に、サービスレベル管理での中核となる、サービスレベル・アグリーメント(SLA :Service Level Agreement)を作成します。
SLAを作成する上では、まず顧客の要求を明確にすることから始めます。しかし、一口に顧客の要求といっても単純ではありません。いわゆる「サービス仕様書」に書かれているような、サービスの内容ももちろん重要ですが、そのサービスが担当者によらず、いつでも繰り返し得られること(一貫性)や、価格が適切であること、さらにはサービスに満足できなかった時のコミュニケーションパス(誰が苦情を受けてくれるのか)にも顧客は関心を持っています。
これらの要求(サービスレベル要件、Service Level Require ment:SLR)を元にSLAを定義します。SLAに含まれる項目としては以下のものがあります。
よくある誤解として、SLAには必ずペナルティ項目が含まれていると思われていることがあります。たとえばある項目が目標値を下回った場合、サービス費用の5%を割り引くペナルティなどです。しかし、これは必ずしも必要ではありません。
事例では、障害発生時の初動時間として「発生後30分以内に着手連絡」、あるいはインシデント解決期限として、「優先度高で3時間、優先度中で12時間……」というように具体的に定義することで、顧客の期待を明確な数値目標として相互に認識することができます。
なお、項目は、必ず測定可能なものを選んで下さい。測定できない項目がSLAに含まれると、必ずトラブルの原因になります。
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