アスキーがECサイトとして最初に立ち上げたのは、1999年にスタートした、PC情報コンテンツとECサイトを融合させたポータルサイト「e-sekai」である(運営は株式会社アスキーイーシー)。Alta Vista Searchという検索エンジンを搭載し、ニュースコンテンツの提供や、チケット販売など多彩な商品やサービスを取り扱い、当時は国内最大級のECサイトとの呼び声も高かった。しかし、初期投資の莫大な負担が尾を引き、黒字化を果たせないまま2000年には一端撤退することとなった。また2000年からは、捲土重来を期して書籍などの直販サイト「アスキーストア」の運営も手がけたが、こちらも2002年にはオン・ザ・エッヂ(現ライブドア)に営業譲渡する結果に終わっている。
当時、e-sekaiの立ち上げにコンテンツ制作の責任者として携わっていた佐藤英一さん(現:アスキー書籍編集部 副編集長)は、構築の際の“苦闘”をこう振り返る。「e-sekaiではECのシステムを独自開発し、サーバも10台以上導入したため、とにかくお金がかかった。システム開発費用だけで数億円、メンテナンス費用もいまでは考えられないような額になっていたたようです。システムの機能面では、当時として不満はなかったのですが、業者側にECシステムの開発ノウハウがあまり多くはなかったため、こちらの要望を伝えることに大変苦労しました」
第2次のECサイトとなるアスキーストアではe-sekaiの反省を活かし、ECに絞り込んだサイト運営を行なった。そのため運用コストは大幅に軽減されたが、やはり独自開発のシステムを利用していたことから、「e-sekai同様に現場の要望がシステムに反映されるまでに時間がかかる」もどかしさがあった。その結果コストを押し上げ、収益を圧迫する要因にもなった。
そして3度目の挑戦となるのが「アスキー365」だ。アスキーストアの終了を前提としたプロジェクトだったが、最終的に社内でゴーサインが出たのが、契約切れ3カ月前。つまり、現場担当者には、急遽3カ月で新たなECサイトを構築せよという命が下ったのだ。基本設計の骨格を固める期間などを考えれば、サイト構築に実質的に使える期間はわずかに1カ月。そこでアスキーが選択したのが、ソフトクリエイトが提供するECサイト構築パッケージ「ecbeing」である。
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| 株式会社アスキー アスキー書籍編集部 副編集長 佐藤 英一さん |
ecbeingの特徴は、ECサイト構築ツールをはじめ、商品の販売・在庫データ、顧客データの管理など、ECサイト運営に欠かせない機能がワンパッケージになっている点だ。強みは何といっても、販売元のソフトクリエイト自身が運営するショッピングサイト「特価COM」で蓄積された実践的なノウハウが凝縮されていること。しかも、その本格的ECサイト構築ソフトが、約290万円という低価格で提供されている。
このecbeingを選択した経緯について、アスキー365のシステム導入を担当した上野雅司さん(コマース事業部)は次のように語る。 「とにかく時間がないことと、コストパフォーマンスの点から判断して、『独自開発』の選択肢は最初からありえなかった。かといってASPサービスでは、将来的なビジネスの展開を考えると、管理機能の充実度やカスタマイズの自由度に制約がある。そこで、基本的な部分では手を加えなくてもそのまま使えるクオリティがあり、しかもカスタマイズにも対応しているツールを探したところ、『ecbeing』 に行き着いたんです」
大規模なECサイトを構築するうえで欠かせない管理機能の確かさと、多様なサイト構築を可能にする柔軟性。その2つを追いかけながら、しかも費用は抑えたい。そこで辿り着いたのがecbeingというわけだ。
特にECサイトの場合、商品の性質やビジネスの形態ごとに現場での運用方法がまったく異なるため、管理画面のカスタマイズが前提になるのだという。たとえば、商品の受発注や在庫管理を外部に委託するのか、商品の更新頻度がどれくらいか、商品価格に変動があるのかなどによって、実際の運用で行なう作業が異なってくる。そのため、頻繁に利用する機能を使いやすいようにページに配置したり、一連の作業を1回の処理で行なえるようにするなどのカスタマイズは欠かせない。
システムの選択にあたってはパッケージや新規開発のECシステムなども検討されたが、カスタマイズの自由度が低く、アスキー365の取り扱う商材ともマッチしなかったため断念せざるを得なかった。
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| 株式会社アスキー コマース事業部 次長 上野 雅司さん |
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