|
・機密情報漏洩対策として磁気媒体のデータ消去サービスを提供 ・ソフトウェア方式よりも大幅に時間短縮 |
メルコテクノ横浜は、三菱電機グループの中でプラットフォーム関係を担当している三菱インフォメーションテクノロジーの子会社だ。パーソナルコンピュータやサーバ、汎用機など情報機器の修理のほか、ITQS(品質サービス)も手がけている。ITQSとは、海外拠点で製造した製品を国内に持ち込む際に、品質の評価・検証と受入検査・製品カスタマイズ・不良品検査・修理等を行なうサービスのことだ。三菱電機の製品だけでなく、他社製品の品質チェックや開発評価を手伝うこともあるという。キャリア25年を超えるベテランを中心としたスペシャリストの集団だ。
修理業務を行なう際には、顧客から情報機器を預かることになる。重要な情報を含んでいるこれらの機器の扱いには細心の注意が必要だ。検査の結果、修理が不可能と判断され、廃棄したりメーカーに戻すケースも多い。その場合は、HDDの情報を消去することになる。しかし、OS上の操作でファイルを消去したり、パーティションをフォーマットしても、実際には磁気データのほとんどがディスク上に残っている。OSに依存せずに磁気データを読み出せるような特殊なソフトウェアを利用すれば、消去したファイルのデータを読み取ることも可能だ。情報漏洩を防ぐためにも、重要な情報を扱っていたPCを廃棄・再利用する場合は、データを完全に消去しておく必要があるのだ。
同社が提供する「データ消去保守サービス」は、2001年7月のプライバシーマーク取得と同時に立ち上げた新しい事業だ。HDDのデータを消去する作業は、修理部門では20年以上も前から対応していたが、顧客に対するサービスとして提供を始めたのは2001年からである。サービス開始当初は、ソフトウェアによるデータ消去サービスのみを提供していた。三菱電機はHDDを製造していたので、データ消去専用の技術をすでに備えていたからだ。
ところが、ソフトウェアによるデータ消去は、膨大な処理時間がかかってしまう。36GBのHDDなら一度の処理作業で約1時間半かかる。「昔は10GB程度が主流だったのに、現在は200GB、400GBと容量が増えています」と語るのはリペアセンターのセンター長である芹澤義久氏。250GBのHDDならば10時間半かかる計算だ。3回データを上書きして痕跡を消去する米国国防省規格準拠方式なら、3倍の約31時間もの作業時間になる。また、ディスク上に不良があった場合は、処理が停まるので、不良位置以降のデータが残るのも問題だった。
![]() |
|---|
| 写真1●IT品質サービス事業部リペアセンター センター長兼 修理技術課 芹澤義久課長 |
ソフトウェア以外の消去方法として、メルコテクノ社内では破棄するHDDをプレスで潰したり、ボール盤で穴を開けたりしていたが、負担も大きかった。2004年にはディスクにピンを打ち込んで穴を開ける機械を導入したことで、作業時間そのものは数分に短縮できた。しかし、ピンを打ち込んだ部分のデータは失われるが、大部分のデータは残ってしまう。芹澤氏は「高価な読み取り機械を使えばデータを復旧することは可能であり、専門家としては万全の対策としてお勧めはできません」と語る。
また、官公庁関連や保険業界、銀行業界などの顧客は、機密情報を扱う顧客が多く、ディスクそのものを外部に持ち出すことが禁止されているケースが多い。その場合は現場に出向いて、顧客の立ち会いのもとで消去作業するので、長時間を必要とするソフトウェア方式では限界が見えていた。
2004年頃に、ソフトウェア方式や物理破壊以外の、新しいデータ消去方式の調査を開始した。まず検討したのは、HDDにパスワードをかける方法。ディスクを利用するために30桁程度のランダムなパスワードを設定してしまうのだ。不正にアクセスするには、パスワードを解析する必要があるが、30桁となると事実上解読不可能だ。とはいえ、情報はディスクに残っているわけで、時間さえかければパスワードが解析される可能性はゼロではない。
調査の結果、アイ・エス・エスの消磁器製品を知り、2005年2月に「DATA KILLER」を購入することになる。「DATA KILLER」は、強力な磁場を利用して、磁気媒体のデータを消去するのが特徴だ。一度に処理できる機器の数に応じて5モデルがラインナップされている。芹澤氏は「ノートパソコンごと入れられるということで『DM-140N』に決定しました」と語る。
![]() |
|---|
| 写真2●DATA KILLER DM-140N |
「DM-140N」には、HDDなら8台を収納して一度に処理できる。またオープンリール磁気テープやフロッピーディスク、DATテープなどのリムーバブルメディアにも対応する。作業時間は充電に20秒程度、実際に磁界が発生するのは10msと短い。6000ガウスの高い磁場で確実にデータを消去でき、時間もかからない。ノートパソコンもまるごと収納可能で、HDDのデータのみ消去できるのも特徴。メモリなどの電子部品には影響を与えないのだ。ただし、消磁器を使った消去方法は、サーボ情報という磁気ヘッドの制御に必要な部分にも影響を及ぼすので、HDDの再利用は不可能で、廃棄するHDDにしか利用できない。
メルコテクノでは「DATA KILLER」の性能には満足しているようだが、装置の可搬性などに課題も感じている。導入した「DM-140N」の重量は34kgもあり、一人で持ち運ぶのは難しい。修理技術課の鈴木稔氏は「出先でデータ消去を請け負った場合は、その場でピンを打ち込む物理破壊を行なった後に引き取り、帰社してからデータ消去することもあります」と語る。
![]() |
|---|
| 写真3●IT品質サービス事業部 リペアセンター修理技術課チームリーダ 鈴木稔氏 |
![]() |
|---|
| 写真4●ピンをHDDに打ち込む機械 出先でデータ消去を請け負った場合は、これを用いてその場で物理破壊を行なうこともある。 |
またリース物件など、再利用が前提のマシンは、ソフトウェア方式を利用する。前述のように「DATA KILLER」で処理したHDDは使用不能になるからだ。基本的に廃棄する磁気メディアであれば、手軽で確実な「DATA KILLER」にかけるそうだ。
芹澤氏は「HDDの容量が増えてきているので、ソフトウェアでの消去ではコスト的に合わなくなってきています。200GBの製品で約1万円と、HDDそのものの価格が安くなっているため、消磁器でデータを消し、新品を買い直した方が早いですね」と語る。
データ消去サービスを提供する側のコストとして考えても、3年償却で考えれば、ソフトウェア方式よりも割安になるそうだ。今後も情報漏洩対策は重要な課題であり、HDDを廃棄する際は、消磁器の利用が増えることだろう。
| 導入企業のプロファイル | |
|---|---|
| 名称 | 株式会社メルコテクノ横浜 |
| 設立 | 2001年4月2日 |
| 本社所在地 | 神奈川県横浜市栄区飯島町37-1 |
| 従業員数 | 約200名 |
| 事業内容 | 情報通信機器のリペア、オーバホール、情報通信機器のインテグレーションサービス、労働者派遣業務など |
| 電話番号 | 045-895-7917 |
| URL | http://www.mdit.co.jp/mt/ |
| システム導入に関するお問い合わせ先 | |
| 株式会社アイ・エス・エス | |
| 電話番号 | 044-812-1175 |
| URL | http://www.k-iss.co.jp/ |
|
|
||||
|
|
|
|
|
|
|
|
||||