心と体は切っても切り離せないものです。みなさんも、自分自身の今後の生き方や人間関係など、日々の生活の中で、思い悩むこともいろいろとあるのではないでしょうか? そのために思うように仕事も手がつかない状況に陥ってしまうことがあるかもしれません。「なりたい自分になる」ためのキャリアデザインの設計には、心と体のバランスをとることも実は大切なことなのです。そのためには、自分の「心のクセ」を知って、それを乗り越えるノウハウをぜひとも身につけていきたいものです。
ストレスとは医学的に言うと、「なんらかの刺激が体に加えられた結果、体が示したゆがみや変調」を言います。たとえば暑い、寒いなどの物理化学的な刺激や不安や悲しみなどの精神的な刺激など。私たちは日常生活の中で、常にこれらの刺激を受けています。ストレスはこのような肉体的・精神的な刺激(ストレッサー)から自分を守るための防衛本能なのです。
ストレスが溜まってくると、肥満の原因になることもあります。ストレスで自律神経の働きを悪くなると、食欲を抑えて脂肪を燃焼させるサインが脂肪細胞に届きにくくなります。その結果、エネルギー燃焼が低下したり、食べ過ぎてしまうなど、肥満を引き起こす原因となるのです。
「最近、ちょっと太ってきたんじゃない?」会社の同僚にそんなことを言われたら、要注意。実は忙しすぎる仕事や煩雑な人間関係によって引き起こされるストレスが原因なのかもしれません。
自分の「心のクセ」や思考のパターンを知り、それをより柔軟性の高いものに変化させていくことで、心を開放させ、社会への適応性を高めたりする方法に「認知療法」というものがあります。
人には特有のものごとの捉え方(認知のパターン)があって、それが感情のコントロールに影響を及ぼしています。たとえば、いつもネガティブな考え方をしている人は、ゆがんだものごとの捉え方(認知のゆがみ)をしている場合が多くあります。
ですから、自分の「認知のゆがみ」のパターン、つまり「心のクセ」を知って、それを修正したり、柔軟性の高いものに変化させることができれば、気分を改善し、自分の感情をコントロールすることができます。この自分の「心のクセ」を知るための考え方として、「自動思考」と「スキーマ」というものがあります。
「自動思考」というのは、ある状況に置かれたときに、次から次へ沸き起こってくる思考・イメージのことです。一方「スキーマ」というのは、その人の基本的な人生観や人間観のことです。スキーマは生まれながらの素質や過去の体験から作られます。そしてそれが何らかのショッキングな出来事がきっかけとなって、自動思考を生じさせるもとになります。
たとえば、「私は何をやっても失敗ばかりする」と思っている人は、他人の何気ない言葉に敏感に反応するようになってしまいます。それに関連したスキーマがよみがえり、その影響で「認知のゆがみ」が出てくるのです。 この認知のゆがみには主に以下のような特徴があります。
●認知のゆがみの10パターン
1. 全か無か思考(all-or-nothing thinking)
ものごとを見るときに、「白か黒か」という両極端の見方をしてしまうこと。「完全に~である」、「決して~でない」といった考え方をいつもしてしまう。
<例>
自分のやった仕事にほんの少しのミスがあっても「完全な失敗だ」と思う。
2.一般化のしすぎ(overgeneralization)
1つの良くない出来事があると「いつも決まってこうだ」、「うまくいったためしがない」など、「いつも~」と考えてしまう。
<例>
同僚に仕事のサポートを一度だけ断られただけなのに、「いつもこうだ。自分は決して同僚とうまくつきあうことなんかできない」と考える。
3. 心のフィルター(mental filter)
1つの良くないことにこだわってくよくよ考え、他のことはすべて無視してしまうこと。「心のサングラス」とも言う。
<例>
客先へある企画をプレゼンテーションしたとき、ほとんどの人からは、大変評判が良かったのに、一部の人から受けた些細な批判が頭から離れなくなる。
4.マイナス化思考(disqualifying the positive)
良いことを無視するだけでなく、なんでもないことや良い出来事を悪い出来事にすり替えてしまうこと。
<例>
いつも自分は能力がないと考えていると、たとえ仕事がうまくいっても「これはまぐれに違いない」と考える。また、仕事がうまくいかないときには、「やっぱり、自分は何をやってもダメなんだ」といつも悲観視してしまう。
5. 結論の飛躍(jumping to conclusion)
根拠もないのに結論を出してしまうこと。
(1)心の読みすぎ(mind reading):ある人が自分に悪く反応したと早合点してしまうこと。
<例>
会社の上司に仕事の経過を報告したが、そっけない態度をされたと感じてしまい、「自分は上司に嫌われている」と考える(もしかすると上司は、より急ぐ案件に心を奪われていただけかもしれない)。
(2)先読みの誤り(the fortune teller error):事態は確実に悪くなると決めつけること。
<例>
風邪をこじらせただけなのに、「自分が今、患っている病気は決して治らない」と考える(うつ病は、このような考え方に陥ることがよくあるので注意が必要)。
6. 誇大視と過小評価(magnification and minimization)
自分の失敗や短所は、双眼鏡でのぞくように実際よりも大きくみる。逆に成功や能力は、実際よりも小さくみえる。「双眼鏡のトリック」とも言う。
<例>
おおよそ仕事は成功したのに「なんてことだ! またミスをしてしまった。これで評判がガタ落ちだ」と失敗をおおげさに考えてしまう。
7. 感情的決めつけ(emotional reasoning)
確かな根拠がないのに、一時的な感情で悪いほうに決めつけて、それを信じてしまい、現実にも起こると思ってしまうこと。
<例>
納期には十分余裕があるのに、「イライラする。きっとシステムエラーが何度も出て、納期に間に合わなくなるに違いない」と決めつける。
8. すべき思考(should thinking)
何かやろうとする時に「~すべき]「~すべきでない」と考える。
<例>
後輩に仕事の指導のために怒ったことを「あの場面では、怒るべきではなかった。上司はいつもにこやかでいるべきだ」と考える。
9. レッテル貼り(labeling and mislabeling)
ささいな自分の不完全さを理由に、あたかも自分は不完全そのものででもあるかのように、全否定的な自分像を作り出すこと。
<例>
仕事でミスをした時に、「自分は敗北者だ!」「バカなヤツだ!」など、必要以上に自分にネガティブなレッテルを貼ってしまう。
10. 自己関連づけ(personalization)
何か良くないことが起こった時、自分に責任がないような場合でも自分のせいにしてしまうこと。
<例>
プログラム設計に四苦八苦している上司を前にして、「自分はダメな後輩だ。上司のためにまったく役に立つことができない。上司が設計を完成できないのは自分の責任だ」と必要以上に考える。
いかがでしたか? いくつか自分に当てはまるものがあったでしょうか? 自分の「心のクセ」をまずは理解し、ものごとのとらえ方を変えてみましょう。
ストレスによって心が緊張すると、血圧が上がり心拍数が増えて血管が収縮します。その結果、血液の流れが悪くなり、筋肉が緊張します。この状態が続くと筋肉がギュッと固まり、新陳代謝が悪くなって、肩こりや頭痛の原因になることもあります。
また緊張状態が続くと、呼吸は浅く短くなります。深くゆっくりとした呼吸は、全身の緊張をほぐしリラックスした状態にさせ、自律神経のバランスが良くなります。 自律神経は「交感神経」と「副交感神経」から成り立っています。交感神経は活動時に働き、副交感神経はリラックスし、体力を回復する時に働きます。ゆっくりと呼吸すると、交感神経の緊張状態が解けて、副交感神経が働き、それでリラックスできるのです。
だから、「ちょっとストレスを感じるな」と思ったら、オフィスの椅子に腰をかけたままでも良いので、深呼吸を繰り返してみましょう。それだけでもストレスを軽減することができます。心と体のバランスを上手にとって、ぜひとも「なりたい自分になる」ための良好なスタートアップを図ってください。
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