2006年11月07日更新
|
|---|
終身雇用、年功序列の崩壊、成果主義の導入という激動の労働環境にあって、SE自らが自分の意思でキャリアデザインを設計していくためには何が必要なのでしょうか。今回はSEのキャリアデザインに必要な「3つの視点」について一緒に考えていきたいと思います。
キャリアデザインを考える上で、考えなければいけない視点の1つ目は「個人の視点」、2つ目は「クライアント側から見た視点」、3つ目は「時間に対する視点」です。以上のような3つの視点で自分自身を包括的に見ていき、キャリアデザインを設計してみましょう。
では1つ目の個人の志向性、価値観を重要視した「個人の視点」について、考えていきましょう。個人の視点を構成していくのには、4つの要素があります。
4つの要素を洗い出していくと、1つのストーリーができあがっていることに、気がつきませんか? 「たとえばあなたは大学時代に機械工学を学んだとします。なぜ、そういう専攻学部だったかというと、昔からおもちゃを分解することが好きでした。なぜなら『これはどう動くんだろう?』と、おもちゃが動く構造を知りたかったからです。そういうことを追及し始めると、寝食も忘れるほど没頭しました。だから、機械工学系のエンジニアになりたいと思ったのです。しかし、地方出身者のあなたは、東京の会社への就職を希望していて、一人暮らしをしなければなりません。そのため、生活費などのことを考えると、年収400万円以上が必要です」
|
|---|
こんな風に自分に対する一貫性のあるストーリーが作れますか? ストーリーを作れるかどうか。ここがポイントなのです。
次に参入市場の状況や求められる人材のニーズなどの「クライアント側から見た視点」について考えていきましょう。 終身雇用、年功序列が保障されていた時代は、「就職」=「就社」でした。仕事とは会社から与えられるもので、組織や上司の指示、命令に従って遂行すればそれで済みました。しかし、現在、求められている人材は、会社への「価値」をいかに提供できる人材であるか、ということです。自分は職場という環境で何をなすことができ、結果を出すためには具体的にどうすればいいか。そのために必要な行動とは何か。それらを考え行動に移すことができる人材が、今後ますます求められていく傾向にあります。
最後に、自分のキャリアを過去・現在・未来の中で位置付けていくという「時間に対する視点」について考えていきましょう。 平たく言うと、「3つの何」を分析することです。
1については、今までに従事・経験してきた仕事や職務を時系列に整理し、再認識するという作業が必要です。これは「職務経歴書」を書くという作業にも通じます。 2は、過去の経歴・経験を活かしてできる現在のことを整理します。 3は、現在のできることをそのまま踏襲して継続していくのか、または何かを将来的に加味して、次のステップにしていくのか、あるいはまったくの異業種に挑戦するのかなどを考えていきます。
さて、今まで3つの視点に沿って、自らを客観的に見つめてきました。続いて、実際に職務に就いたときに、業務を遂行できる人間かどうかをあらためて検証してみましょう。 ハーバードビジネススクールのカッツ教授は、職務遂行能力を3つに分類しました。
1のテクニカルスキルとは、ある特定の職務を遂行するのに必要とされる、定型的なスキルのことです。日常業務遂行能力、ITスキル、技術的実務知識などを言います。 2のヒューマンスキルとは、複数の他者と円滑に職務をこなすのに必要な対人関係に対する能力で、コミュニケーション能力、部下への指導力、説得力、共感力などが挙げられます。 3のコンセプチュアルスキルとは、抽象的な考えやものごとの大枠・本筋を理解し、具体化していける能力を指します。 たとえば企画立案力、問題発見・解決力、状況分析力、意思決定力などがこれに当たります。
|
|---|
さて、社会人として生きていくのには、なぜ、この職務遂行能力が問われるのでしょうか? どんなに能力があると口で言ってみても、資格をたくさん取得していても、それを実際の業務遂行に役に立てることができなければ、本当の意味で、個人が活かされているとは言えないからです。また、人間誰しもスーパーマンではありませんから、すべてが満遍なくできる、ということはまずありえません。だからこそ、客観的に自分を評価して「強いところはさらに強くし、弱いところは、補強できるように努力する」姿勢と行動が大切なのです。
キャリアに「勝ち」「負け」はありません。自分自身を深く見つめていくことからまず始め、将来に向けての自分なりの5W1H(何を、誰と、いつまでに、どういう手法で、どこで)を思い描いていくことが第一歩なのです。