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ワタシとカイシャの深ーい溝 労働環境の危険な落とし穴

最終回 損しない転職をしよう
意外に気づいていない収入変化のポイントをおさえる

ワタシとカイシャの深ーい溝 労働環境の危険な落とし穴

昨今、ホワイトカラーエグゼンプションの問題などにより、被雇用者の就業形態に関心が高まっている。「残業代がでない」「定年年齢が延びる」など、うかうかしていると就業先の制度は次々変貌し、自分の身に襲いかかってくるかもしれないのだ。病気、けが、失業や老後に関わる労働保険や社会保険、自分の会社の制度をきちんと把握しておかなければ、自分の幸せを勝ち取ることはできない。“お仕事”にしか関心がないSEは危ないかも!?


現在の転職事情

 今回で最終回となりました。最終回のテーマは転職とお金の関係です。
 皆さんは、転職サイトや職業紹介会社がテレビCMで大々的に宣伝しているのを目にしたことがあるでしょう。少し前までは、転職するというとネガティブにとらわれがちだったのですが、今は転職することが珍しくなくなってきましたね。特に今は若年労働者を中心に転職件数は年々増える傾向にあります。若年者の「7・5・3現象」と言われるように、入社3年以内に会社を辞めてしまうのが、中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割と言われています。終身雇用制の崩壊と共に、一度入社した会社は定年退職まで勤め上げる、という方程式は崩れつつあります。

転職すると損をする?

 会社を変わることによって、若い世代が意外に考慮していないのは、退職金の積み立てがリセットされてしまうことです。

 退職金は賃金と同じく、転職適齢期(25歳~35歳)にはグンと上昇する場合が多いのですが、これを無視して、転職先の年収額にばかり目が行くことが多いのです。たとえば、私の場合でいうと、大学卒業後にいったん就職し、その後1度の転職を経て、独立したのが35歳。もしも、入社した会社を独立するまで辞めずに勤務していたら、実際おおよそ800万円以上もの退職金を得ることができたはずでした。

 しかし、早い時期で転職したためにもらえた退職金の額は最初の勤め先から100万円ちょっと。これに独立前に勤務した会社の退職金100万円程度を合計して200万円。つまり、退職金の受給額カーブが上昇する前に辞めてしまったわけです。そのため転職せずにキャリアを積んでいた場合の収入の差は、何と600万円にもなってしまいました。

 転職の際には新しい会社の給与の額だけに目がいきがちです。しかし、意外にこういったデメリットに気づかないことが多いのです。また、間接的ではありますが、金銭的損になる可能性として、転職前の会社だからこそ享受できたサポート体制があります。

 たとえば自己啓発支援制度や食事補助、共済制度、保養施設の利用などの福利厚生。これらはそれぞれの会社の制度にもよりますが、ほぼ全部使えなくなる場合など、金銭的には大きな損へとつながることがあります。もちろん新しい転職先のサポート体制の方が転職前より良い場合もありますが、これらのことも意識に入れ、自分のプライオリティをどこに置くかを考えなくてはなりません。

転職先のリサーチ方法

 それでは、いわゆる“安易な転職”にしないために具体的にはどのような事前のリサーチ方法があるのでしょうか。

1.会社説明会や面接時に直接質問する
 こういった場では聞きにくいですが、オフィシャルな場ですから、会社は嘘を付けません。気になるポイントは勇気を出して聞いておきましょう。

2.実際に働いている人に会い、ヒアリングする
 知人などを伝って、実際働いている人に直接聞く方法です。ただし対象者が見つかるかどうかが問題ですね。

3.ネットで情報を収集する
 会社の公式ホームページでは読み取れない部分でも、ネット上の掲示板に書き込みがあったりします。真偽のほどはわかりませんが、情報の一つとして頭に入れておいてもいいでしょう。

 それぞれメリット、デメリットはあると思いますが、この3つの選択肢の中で、1は皆さんがもう少し挑戦してやってみる価値はあるのではないのでしょうか。良心的な企業であれば金銭的なことや、福利厚生のことなどの情報については、きちんと答えてくれるはずです。

 転職は、今まで培った会社での地位や仕事、慣れ親しんだ職場仲間を全部捨てることになります。単なる転職ブームに流されることなく、損得勘定をきちんと行なったうえで行動して下さい。

中谷充宏氏

著者 中谷充宏
社会保険労務士・キャリアカウンセラー
1967年大阪生まれ
人事採用コンサルティングを主業務とするM&Nコンサルティング代表。同志社大学卒業後NTT情報システム本部(現NTTコムウェア)にてSE経験を積み、2004年に社会保険労務士開業。IT業界の人事労務問題解決に強みを持つ。現在、就職支援アドバイザーとして埼玉県の非常勤職員も務める


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