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ワタシとカイシャの深ーい溝 労働環境の危険な落とし穴

第6回 長時間労働が当たり前の世界……。
だからこそ、忘れてならない「過労死」対策!

ワタシとカイシャの深ーい溝 労働環境の危険な落とし穴

昨今、ホワイトカラーエグゼンプションの問題などにより、被雇用者の就業形態に関心が高まっている。「残業代がでない」「定年年齢が延びる」など、うかうかしていると就業先の制度は次々変貌し、自分の身に襲いかかってくるかもしれないのだ。病気、けが、失業や老後に関わる労働保険や社会保険、自分の会社の制度をきちんと把握しておかなければ、自分の幸せを勝ち取ることはできない。“お仕事”にしか関心がないSEは危ないかも!?


まずは、過労死認定基準について

 今回は、読者の皆さんはあまり耳にしたくないであろう過労死についてのお話をします。 過労死とは、簡単にいうと休日不足や長時間労働によるストレスや慢性的疲労の蓄積で突然死することです。2001年に過労死の労災認定基準(労働者災害補償保険認定基準)が緩和され、蓄積疲労による死亡が過労死認定対象となりました。過労によるものかどうかの判定基準となる期間は、それまでの死亡発症前1週間程度から6カ月、また残業時間においての規準は、直前の1カ月で100時間などと数値に示され、より具体化されました。

 SEにとって、システム開発の納期が迫ってくれば、会社に寝泊りするなど月に100時間以上の残業なんてよくある話です。しかし、実際過労死した場合の認定は、仕事との因果関係の立証が難しいため、脳・心臓疾患の労災認定申請のうち、認められるのは一割程度と少ないのが現状です。

過労死の前兆は、自分で把握しておく

 過労死の前兆には、全身の疲労感、胸痛、冷汗、息切れ、首や肩の凝り、手足のしびれ、頭痛などがあります。片手がしびれたり、ペンを落としたりするような場合は、脳梗塞などの脳血管障害が考えられます。

 私が勤務していた部署で過労死になられた方は、仕事では納期目前、プライベートではご子息が遠方の大学に合格し引越し等のお手伝い、と多忙な時期が重なり、「なかなか風邪が抜けないんだよね……」と周囲に漏らしていたとか。長時間労働が続き、こういった症状が少しでも現れたなら、何よりも優先して医師の診断を受けましょう。また「多少疲れが長引くかな……」というときなら、過労死予防チェックをネット上でやってくれる無料サービスもありますので、一度試してみてはいかがでしょう。

会社が頑張る過労死対策

 現在、企業は過労死予防のため、産業医などの助言指導を受けるなどして、自らさまざまなリスクマネジメントに取り組んでいます。しかし、それでも過労死という悲惨な問題が一向になくならないのはなぜでしょうか?

 会社を取り巻く経営環境は、経済のグローバル化や競合他社との過当競争など厳しくなり、それに伴いクライアントからの品質向上、納期短縮といった要求は高まるばかりです。会社だって大事な社員を働かせ過ぎで亡くしたくはないのですが、会社業績のためどうしても社員に無理を強いることとなっています。 しかし、会社は社員を過労死させてしまってはすべてを失う可能性があります。過労死を起こした会社と積極的に取引したい企業はありませんし、今まで一緒に働いてきた社員のモチベーションは間違いなく下がります。また、過労死した社員の遺族の憎しみや悔しさは、すべて会社に向けられ、訴訟となれば企業側はその対応で本業どころではなくなります。体力のない中小企業なら即倒産してもおかしくありません。

 このように社員の過労死は会社にとっても大きなダメージを被ります。これを防ぐために企業は、社員が自発的に過剰労働問題を申告できるような社内の過労死防止制度を設け、それをきちんと運営していく必要があるでしょう。また、小規模事業主が産業医の要件を備えた医師を共同して選任した場合や、深夜業に従事する労働者が自ら健康診断を受診した場合に受給できる助成金もありますので、このような制度を積極的に活用するなどして、過労死という労使にとってともに悲惨な災害を未然に食い止めるようにしましょう。

中谷充宏氏

著者 中谷充宏
社会保険労務士・キャリアカウンセラー。
1967年大阪生まれ。
人事採用コンサルティングを主業務とするM&Nコンサルティング代表。同志社大学卒業後NTT情報システム本部(現NTTコムウェア)にてSE経験を積み、2004年に社会保険労務士開業。IT業界の人事労務問題解決に強みを持つ。現在、就職支援アドバイザーとして埼玉県の非常勤職員も務める。


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