昨今、ホワイトカラーエグゼンプションの問題などにより、被雇用者の就業形態に関心が高まっている。「残業代がでない」「定年年齢が延びる」など、うかうかしていると就業先の制度は次々変貌し、自分の身に襲いかかってくるかもしれないのだ。病気、けが、失業や老後に関わる労働保険や社会保険、自分の会社の制度をきちんと把握しておかなければ、自分の幸せを勝ち取ることはできない。“お仕事”にしか関心がないSEは危ないかも!?
今回は、皆さんの最も気になる会社の賃金制度のお話です。現在では総賃金管理といって、会社のお財布の中からいくら従業員に払えるかを決め、その決められたパイを従業員同士で奪い合うのがトレンドです。この制度であれば、もし会社が儲からなくても、それに比例して従業員に支払う給与も減りますから、会社にとっては好都合なのです。
また、給与の固定部分を減らし成果部分を増やすように変わってきています。多くの会社がベア(注1)廃止を決めたように、会社にいれば給与が上がっていく時代はバブル経済崩壊後に終わりました。高度成長期と違い今の経営を取り巻く環境は、下りのエスカレーターに乗っていると比喩されるように、何もしなければ会社の業績はどんどん下がっていきます。これに連動して、一定の決められた成果を出さないと社員の給与は下がっていってしまいます。
さらに追い討ちをかけるように、仕事に直接関係のない手当もどんどん廃止される方向にあります。たとえば住宅手当や扶養家族手当。生活扶助的な意味合いのこれらの手当は、日本的な賃金制度の特徴だったのですが、これらを廃止し、パイの原資に回すようになりました。
注1:ベア
ベアとはベースアップの略語で、会社の賃金テーブルを物価上昇や賃金相場に合わせて一定割合上昇させることをいう
いつの世も会社自身は固定給ではなく、完全成功報酬でやりくりしています。今は、高度経済成長期のように全体のパイがなかなか大きくなりませんし、社員の給与も会社の業績に連動するのはやむを得ない流れと言えます。業績が悪化しているにもかからず、会社は高い固定給を社員に払い続け、その結果倒産してしまったという笑えない実話もあります。従業員にとって「リストラ」はとんでもない悪のように感じます。しかし、経営者は会社を維持していく重責を担っており、重い人件費負担に会社が耐え切れないと判断したら、リストラを断行するというのは、実はごく自然ななりゆきなのです。
今は何事においても自己責任の時代。予期できないことが発生した場合でも、自身の賃金を確保できるようしておくことが大切です。そのためには、社員一人ひとりがなんでも会社頼みにするのではなく、職業人として、どこに行っても通用する高いスキル・知識を体得しておく必要があるのです。
ではどうすれば、このようなスキル・知識を身につけることができるのでしょうか? 基本的なことですが、現在の職業で目の前にある仕事を徹底的に極めることだと、私は考えます。
たとえばスキルアップを考えた場合、MBA(注2)やMOT(注3)を目指してみたいという方も多いと思います。しかし、このような難関資格をわざわざ取得するより、今自分がいる日本の会社ほどビジネスについていろいろ学べる場はないということを、まず知るべきです。 また、たとえば欧米では、OJT(注4)に関して日本のような充実した仕組みはありません。上司や先輩、同僚が自分の仕事の手を止めてまで、仕事のやり方を手取り足取り教えてくれるなんてことはないのです。
つまり、日本の会社で働いているということは、ビジネスについて日々学んでいるのであり、その結果高いスキルを望むことができるということなのです。そして、その成果は給与として、目に見える形で評価されていくという考え方を基本として持つとよいでしょう。
ところで一般的には給与が高ければ働くモチベーションが上がると思われていますが、最近はお金よりもプライベートな時間や仕事のやりがいなどを優先するといった傾向が強いですね。ちなみに、お金だけで社員のモチベーションを上げるためには、平均的な社員の3倍以上の給与が必要なのだとか……。
注2:MBA
MBAとは「Master of Business Administration(経営学修士号)」の略で、あらゆる分野においてのマネージャー、リーダーになるために経営学を学ぶプログラムをいう
注3:MOT
MOTとは Management of Technology の略で、必要な専門的経営能力向上を目指す教育プログラム
注4:OJT
OJT(On-the-Job Trainingの略)とは企業内で行なわれる職業指導手法の一つ。職場の上司や先輩が部下や後輩に対し、具体的な仕事を通じて仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを指導し、修得させることによって、全体的な業務処理能力や力量を育成する
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