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転職経験あり! 仕事人たちのストーリー

ベンチャー企業で働く魅力とは
26歳にして執行役員にキャリアアップ転職

新井元基さん(26) 株式会社ドリコム 執行役員・開発担当
新井元基さん(26)
株式会社ドリコム
執行役員・開発担当

 ブログ機能を利用したソリューションやサービスを提供する株式会社ドリコムで、エンジニア育成を手がける新井元基さん(26)。学生時代にIT系ベンチャーへ飛び込むと、数度の転職を経て同社の執行役員に就任した。新井さんはどのようにして急速なキャリアアップを果たしたのか。その秘訣を聞いた。

新井元基さんの転職成功のポイント
・学生時代からアルバイトで実践的なスキルや知識を身につけた
・アルバイト時代であっても将来なりたい自分のモデル(アルバイト先の社長)を意識できた
・プログラミングばかりではなく、営業なども積極的に行ないコミュニケーションスキルを向上させた

現在の会社へ転職する際の応募データ

応募した企業数面接した企業内定した企業
1社1社1社
企業を選んだポイント
ブログの将来性、経営陣の若さ、社風などが目標と合致したから

何でもできますとハッタリをかまし
そのスキルを入社後3日間で習得した

 新井さんがIT業界に足を踏み入れたきっかけは、学生時代キャンパスに落ちていた1枚の求人ビラだった。ビラは、関心や興味を共有する人々が情報交換をするために集まる「コミュニティサイト」といわれるWebサイトを開発・運営する会社のアルバイト募集であった。大学で過ごす中で「おもしろそうなこと」を探していた新井さんは、この会社を訪問することにしたという。そこで社員1人1人が夢中になってWebサイトを開発している光景を見て興味を抱き、2000年4月にアルバイト入社した。しかし当時の新井さんが有していたWeb系スキルは、高校時代に講座でHTMLを学んだ程度。たとえアルバイトでもおもしろいと感じられる仕事をするにはWebに関するスキルや知識を早く身につけなければならないと考え、技術書を読んだり周囲の社員に聞いたりして、3日で初歩的なスキルをマスターしたそうだ。

「面接でスキルを問われたときに『何でもできます』とハッタリをかましていたので、きちんと仕事ができないとマズイと感じていました(笑)。それにアルバイト代が出来高制だったから、早くスキルを身につけて仕事をこなさないと、ちゃんとしたお金がもらえないんです。だから、必死になってスキルや知識を吸収しました。おかげでPerlやCGIなども覚えられ、1人でWebアプリケーション開発をできるようになりました。雑用から開発まで何でもまかせてもらえる会社だったので楽しかったですね」

 出来高制のアルバイトということで、新井さんは次から次へとWebアプリケーションを開発した。その結果、彼の仕事ぶりを知った同社の社長から、夏休みに東京での仕事に同行するよう声をかけられる。これに即答した新井さんは、社長のカバン持ちをしながらその仕事ぶりをつぶさに観察。これまで経験した開発分野の仕事とはまったく異なる経営職に興味を抱きはじめた。

「この社長さんが『どうして、こんなにがんばれるんだろう』と舌を巻くほど働くんです。きっと楽しい仕事だからここまでがんばれるのだと思い、そんな楽しい仕事──会社経営を僕も漠然とですがやってみたいと考えるようになりました。そして、経営者になる経験を積むために、いろいろな会社を見てみることが必要だなとも感じました。そう考えながらアルバイトを続けていた2001年3月、携帯電話のアプリケーションを勉強するために行った研修先の会社から、契約社員として働かないかと声をかけられました。プログラムのスキルを買われてのことでした。これまで働いていた会社ではPerlによる仕事が中心でしたが、声をかけてくれた携帯電話アプリケーション開発会社はいろいろな言語やプログラミングができるというのでお世話になることに決めました。経営者である以前に、開発者として何でもできる人間になっておきたかったからです」

エンジニアでありながら営業にも積極的に出かけ
ひたすら経験を積んで、将来への道を開いた

 大学生でありながら携帯電話アプリケーション開発会社の契約社員となった新井さんは、自宅の一角を同社の分室にして、数人の友だちと仕事を開始。主にiモード用のWebアプリケーションを開発することになった。ここで新井さんはエンジニア担当となり、用件定義から開発・運用までに携わることに。iモード利用促進キャンペーンのコンテンツを依頼されたときは、思わぬ大ヒットとなるミニゲームも生み出した。またその一方で、大学卒業後に大学院へ進学し、人工知能に関する勉強をしたという。

「当時はまだまだ経営者になるための経験を積むといっても、何の経験を積んだらいいのか分かりませんでした。だから大学院進学など、自分のできることは何でもやることにしました。ひたすら経験を積むことで、いつか将来への道も確かなものになってくると考えたのです。また、携帯電話アプリケーション開発会社の仕事においても営業やプレゼンテーションなどの場へも積極的に出かけ、エンジニアとしての経験にこだわらず、いろいろな現場を体験するように努めました」

 新井さんらが切り盛りする分室は順調に成長し、3年で20~30人の社員を抱える規模になった。こうした成果を挙げたものの、新井さんは現状に物足りなさを感じはじめていた。その理由は、第1に人員が増えたことで仕事が分業化し、プログラムにしか携われなくなってしまったこと。第2にどんなに成果を挙げようとも、学生の契約社員であることを理由にポジションが上がらなかったこと。新井さんは「この仕事を続けるのは、そろそろ潮時かな」と、転職先を探し始めた。そしてこの時、若い人が経営する会社であれば自分も経営陣に食い込むチャンスがあるのではとベンチャー企業を会社を探しのポイントに据えたという。そんな折、アルバイト時代の友人から1本の連絡を受ける。この友人が在籍するドリコムで働かないか、という誘いだった。

「友人からの連絡後にドリコムの内藤裕紀社長のブログを読むと、ブログソリューションについては将来性を感じましたし、おもしろい仕事ではないかと思えました。また経営陣が若い人ばかりなので、この会社なら僕も経営に携われるチャンスがあるかもしれないと思いました。そこで友人に連絡すると、内藤社長との酒席を設けてくれました。その場で内藤社長は、ほとんど一方的にブログについて熱く語っていましたね。このあまりの情熱から察するに『この人は仕事を楽しんでいる人だな』と、ますます仕事に興味を覚えました。そしてこの社長のアイデアにそれまでのプログラマとしてのスキルを踏まえたうえでの受け答えに努めました。そして結局この酒席が面接となったのです(笑)」

ベンチャーならではの仕事の楽しさとキャリアアップ

 こうして新井さんは2004年7月からドリコムで、契約社員のプログラマとして働くことになった。ブログの将来性を確信していた新井さんは勤務初日から会社に泊まりこみ、ブログを利用した社内のコミュニケーションシステム「ドリコムブログオフィス」の開発に着手した。また、製品の機能拡張を手がけるようになると、営業担当者に同行してユーザー企業の声を聞いたり、ほかの案件を手伝ったりもした。

「ドリコムでの給料は、それまでの半額以下でした。でも自分にとって適切と思われる経験を積めることの方がより大切に思えたのです。特に営業担当者に同行したときは、自分が作った製品が役立っていることに感動した一方、ものを売ることの難しさも実感しましたね。おかげで、営業の立場から製品開発を考えられるようになりました。お客さんからの難題に対して突っぱねるのではなく、どうやったら実現できるのかと考えてトライする──それができるようになったことは、エンジニアとしてすごく成長できたと思います」

 そんな新井さんに対して、2004年11月に正社員に昇格すると同時に執行役員に就任するよう辞令が下る。ひそかに入社1年以内に取締役になることを目指していたというが、その目標が半年で実現することになったのだ。エンジニアの視点、営業同行で身に付けたコミュニケーション能力を貴重な会社の戦力として買われたのだそうだ。役員に就任した新井さんは製品開発を続けながら、東京支社の設立のために人材募集や社員育成に奔走。また、売上増のために管理体制を確立するなどして、急成長するドリコムの基盤を支えた。現在は現場を離れてマネージャ育成に専念している新井さん。開発者として働けないことに寂しさを感じつつも、マネージャが自分以上の成果を挙げることが楽しくてたまらないという。そんな新井さんがこう語る。

「やりたいことをやれて、それが認められるという環境で働けたことはラッキーでした。そうした恵まれた環境が、ベンチャー企業の多いIT業界にはたくさんあります。ベンチャー企業で働くことの魅力は、望めばどんな仕事もできるチャンスがあることです。経験を積むことに積極的であり続けることが、キャリアアップに直結するのだと思います」

現在の会社へ転職する際の活動スケジュール
2004年4月転職活動開始(転職先を探す)
下向き矢印
5月ドリコム社長との酒席(面接)
下向き矢印
5月内定
下向き矢印
7月中旬ドリコムに入社(契約社員)
下向き矢印
11月ドリコムに正社員として採用(同時に執行役員に就任)

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